頼りになる?
最近よく「●●美容外科クリニック」とか「○○法律事務所」とかのPRがテレビで流れます。規制緩和によるものでしょうが、若いイケメンおにいさんやイケイケ姉ちゃん風の医師や弁護士さんが並んで映っています。おそらくCMコーディネートの専門家が「ああせい、こうせい」と云いながらプロデュースしてできあがっているCMなのだろうなと思います。
で、どうなのでしょう。CMの効果はやはり絶大なのでしょうか?少なくとも名前は覚えてもらえるだろうと思うのですが、意外に日本人は”経験値”を重要視する、というか見た印象を大事にする人種です。自分の気になっているところを美容整形してもらいたいと思うとき、あるいは自分が何かを訴えようとするとき、「こんな若造で大丈夫なのだろうか?」「大した経験もなく実験台にされるのではないだろうか?」と二の足を踏むところがあるのではないでしょうか。
むかし、循環器救急に従事していたころ、明け方に広範囲の急性心筋梗塞に罹った中年男性が救急車で運び込まれました。当直をしていたわたしが事の重大性を話し、一刻も早く緊急カテーテル検査と再疎通療法をすべきことを勧めましたが、付き添ってきた奥さんはなかなか「うん」と云ってくれませんでした。朝になって部長が再度説得して、2時間ほど遅れて無事に治療を開始することができましたが、あとで部長がわたしに「『大事な夫の命に関わること、あんな若造のいうことは信用できなかった』だそうだ。きみの説明の仕方が悪かったわけではないからあまり気にするな」と伝えてくれました。「くそったれ!」と思いました。そんなことであなたの大事な旦那さんの心臓は助かるべき多くの部分を腐らせてしまったんだぞ!と。
優男やチャラ男の風貌の若いメンバーだけの彼らのCMを見ながら、世間の意識とのギャップにどう答えていくのかしらと思った次第。
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