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天気痛

天気の変わり目に痛みを訴える慢性疼痛患者さんがたくさんいることは医療従事者でなくても周知の事実です。そんなもの医学的ではないからと一笑に付される歴史の中で、それを医学的に研究したレポートが先日配信のCareNet.comに出ており、興味深かったのでご紹介します(名古屋大学 佐藤純先生)。何よりも、愛知医科大学にある「学術的痛みセンター」に「天気痛外来」というのが開設されているということ自体がかなり面白いですが。

天気痛は上半身の痛みとして出ることが多く、日ごろいくつも痛みのある人は偏頭痛や肩こりなど上半身のもののみに天気の影響が出てくるようですし、筋肉や関節深部の痛みは天気の影響を受けるけれど皮膚表面の痛みには関係ない、などの傾向が見られるのだそうです。むかしからよく云われているように、低気圧は天気痛の大きな要因です。低気圧曝露試験というのを行ってみると、たしかに低気圧状態にすると痛みが出てきますが、実は気圧を元に戻すと痛みが取れるヒトと、元に戻しても痛みが続くヒトがいることが分かり、どうも痛みが出る要因は気圧の低さではなくて気圧の変化なのではないかと推測されています。気圧の低下によって慢性疼痛が増悪するメカニズムとして考えられているのが「交感神経依存性疼痛」です。多くの患者さんがストレスが強まると痛みが増すのですが、気圧や気温の変化というストレスで交感神経を興奮させるために痛みが増すのではないかと考えられています。

面白いのは、そのセンサーが内耳にあるようで、だから上半身に発生しやすいのではないか、あるいは交通外傷などで首を痛めた患者さんで偏頭痛やめまいなどがある人は天気痛症状が強い傾向にあるのもそのためではないか、という点です。結局その治療は、自律神経への介入が効果的なのだから、起床や就寝のリズムを整え、昼間に日光を浴び、ストレスをかけない生活をする、などになるわけですから、医者が天気痛の存在を認めることから始める必要があるといえましょう。

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