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遺影

中学同級の内科医。何度も重複がんや転移を起こしては手術を受けて闘ってきた友人が亡くなりました。「亡くなる直前まで診療をしていたい、という夫の希望はかなえられたのではないかと思います」と気丈な奥さまは云いました。「緩和ケアでの最後の3週間で健やかな表情になって逝きました」とも。

仕事を早退させてもらって、3時間かけて通夜に駆けつけました。長いこと会うこともなかった関係なのに、何かがわたしを駆り立てました。一番前の椅子に座り、お経が上がっている間中、わたしは大きな遺影を見つめていました。「いい写真だな」・・・そう口にしながらも、中学時代の彼の顔と写真の顔を重ね合せようとしてもなかなか一致させられません。それでもずっと彼の目を見つめていたら、3D画像のごとく突然彼の顔が浮き出て動き始めました。「あれ?」と驚いて眺めていたら、彼が笑いました。その顔は、そうだ、中学のときの彼の笑い顔だ! 「おつかれさん」とココロの中で声をかけました。

でも、そのままボーっと眺めていたら、今度は急に顔が険しいシワだらけの顔に変わりました。そのまま目元から壊れていきそうになったので、わたしは慌てて目を逸らしました。しばらくして恐る恐る目を上げてみたら、最初に見たときの穏やかな写真に戻っていてホッとしましたが・・・本当は無念だったのだろうか?こんな運命の自分を嘆きはしなかっただろう。残る家族や患者さんや職員さんのことを慮る気持ちが残ったまま逝ってしまったのだろうか。若くして逝ってしまった友人とというより、彼を思うわたし自身のココロと束の間の会話をして、思いきり泣いたあと、最後にもう一度大きな遺影をしっかり眺め返してから斎場を後にしました。

棺に横になった彼の顔はとても穏やかでした。最期に会えて良かったです。 合掌。

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