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血圧はいつ測る?

ある会社の営業の仕事をしている42歳の男性。血圧が高いのでそれに言及しようとしたら、「心得ています」とばかりにわたしのことばを遮って、「血圧はこんなところでは高くなりますけど家では120とか70とかの値です。すぐに緊張してしまうんです」と誇らし気な顔をして云いました。これまでの人生で育まれた処世術でしょうか。保健師さんやお医者さんにこう云えば逃れらえることを経験値として学習してきたのでしょう。

甘いです。わたしを甘く見ては困ります。「それが、何か? 云うことはそれだけですか?」という空気を漂わせながらゆっくり口を開きます。

あなたのようなパターンをむかしから「白衣高血圧」と呼んできました。緊張すると上がるけれど日ごろは正常血圧だというヒトのことです。ただ、日ごろが正常なのかどうかは24時間血圧計でもつけてみない限りわかりません。「緊張すると上がる」だけど「症状がない」ということは、仕事中に上がっているかもしれません。あなたは日中の大半を働いていますから、仕事中に上がっているなら、ずっと高血圧に曝されているのに気付いていないことになります。別に、10分間くらい安静にして深呼吸した後の血圧で成績発表をしたいわけではありませんから、「日ごろ」という限りは、昼休みや朝起きてすぐや外回りから帰ってきたときなどの血圧を測って、もっと日常を知ってください。むかしは「白衣高血圧」という単語が免罪符になっていましたが、白衣高血圧の方の約1割が10年以内に持続性高血圧に移行することが分かってきたので、白衣高血圧も高血圧治療の対象として日常管理をすべきだと云われています。

そして、もうひとつ。あなたは厄明けしました。あなたが高血圧体質を持っているとしたらこれから発現します。30台までの人生のことは忘れてください。「日ごろは低いんです」と云っているけれど、あなた、最近測ってないでしょ?過去の栄光なんか忘れてください。

ご多分に漏れず、わたしに出会ったがために彼は「高血圧症」の奥深さに打ちひしがれて診察室を出ていくことになりました。がんばってくださいませ。

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