既読症候群(前)
先日、となりの中学校でスマホやパソコンの医学的な影響について30分ほどお話をしました。そのときには睡眠不足の影響やブルーライトの弊害などについての説明に時間を費やし、スマホ依存・ネット依存の話はあまりする機会がありませんでした。
講演の準備をしていて気になったことがありました。日本小児科学会が「『子どもとメディア』の問題に対する提言」として2004年に5つの提言をしました。心身の成長期である乳児期は身近なひとと関わり合い、遊びの実体験を積み重ねることで人間関係を構築する一番大事な時期で、これによって心身が成長するのに、その時期のこどもをテレビやゲーム漬けにすると、親子が顔を合わせて一緒に遊ぶ時間をなくし、ことばや心の発達の妨げになる、というものです。5つの提言とは、2歳まではテレビ・ビデオを控えようとか、授乳中や食事中はテレビ・ビデオは見ないようにしようとか、あるいは1日の時間を決めたり、家庭内でルールを作ったりしましょう、というものです。
ただ、これを見れば時代がわかりますが、この当時のメディアとは基本的に一方通行のメディアでした。夜遅くまでテレビをみないとかゲームをしないとか、自分が情報を得るだけのメディアでした。でも今は違います。世界中に爆発的にシェアが広がったLINEに象徴されるように、主体はバーチャルコミュニケーションです。ゲームも自分だけが暇つぶしにやるテレビゲームの類ではなく、他人と対戦したり一緒に戦ったりするものです。そこには、良くも悪くも”仲間”がいます。仲間に入れてもらうためにはこのツールが必須アイテムなのです。 (つづく)
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