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愛おしさ

夏の間、いままでの散歩コースの4~5分の1くらいしか歩けなくなっていたうちの老犬が、最近またフルコース歩けるようになりました。「涼しくなったから?」とか「アレルギー治療のために少量のステロイドを飲むようになったから?」とか妻は云います。それもあるかもしれないけれど、実は他に理由があることをわたしは知っています。

小一時間、歩いている間中わたしは彼女の姿を見、彼女の歩調に合せるようにしました。いままでもしていたつもりでしたが、今考えると、まったくそうではありませんでした。なぜなら、今まではゆっくり歩いているつもりでも気付くと必ず彼女のリードを引っ張る形になっていたのです。つまり、自分が思っているいる以上に彼女の歩調はゆっくりにかわっていたのですが、それに全然気づかなかったのです。引っ張られると必ず立ち止まって動こうとしなかった彼女が、リードを引かないようにしてあげただけで、極めてゆっくりではありますがしっかりとしたペースで普通に歩いてくれました。

歩調を合わせてココロで寄り添うこと。たとえばまだヨチヨチ歩きのわが子を見守りながら寄り添う母親と、足取りがおぼつかないなりにマイペースの母親に寄り添って歩く娘と、どう違うのか。同じ愛おしさでも、きっと質はまったく違うのです。ついこないだまでもっと早くしっかりと歩いていた母の歩みには、どうしてもそのころの残像が重なって邪魔をします。今の母親の歩調は、もっともっとおぼつかなくなっているのです。「ペースを合わせる」のではなく、一緒に語り合って歩くと分かる本当のペース。うちの老犬とは直接会話できませんが、最近はココロの中で会話しています。だから、全行程を彼女を愛おしむ目で見つめながら歩くことができるのです。

自分のペースを守りながらそれでもわたしのペースに気を遣ってくれるようになった彼女のことを、本当に愛おしいなあ、と感じました。なんか二人だけの空間にいる恋人同士みたいな小一時間になっています。

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