適性
組織のある幹部が急きょ辞めてからもうすぐ1年近くになります。病院から、代わりに抜擢されたスタッフが見事にその穴埋めをしてくれました。
以前の方は真面目に仕事に取り組みました。組織を運営するに当たって中間管理職的な中ばさみの中で悩み苦しみました。その苛立ちと焦りは、きびしく真っ当な理論で仕事を進めようとし、ことあるごとに部下スタッフとも上司とも軋轢を生み始め、うまくいかなくなっていきました。”一身上の都合”で急きょ辞められましたが、おそらくそれが限界だったのではないかと推測します。
その後、任命されてきたSさん。これがまた対照的に人当たりが柔らかく、スタッフの中にすっと溶け込みました。場がなごやかになり、部下スタッフも悩みやアイデアを気軽に打ち明ける関係になりました。ただ、よく見ていると、Sさんはなかなかのつわものです。「そうね、そうよね、わかるわかる」と云いながら、気づいたら嫌がっていた仕事をきっちりさせています。わたしへの仕事の振り方も同様で、「もう引き受けたのでしてくれないと困ります」という云い方はしません。「先生、忙しいでしょ。そうですよね。そこでちょっとこれお願いできませんかね」とやってきて、「わあ、ホントですか?ホントにしていただけるんですか?いやあ忙しいのにすみません」となり、「先生、ちょっと拝見しましたけど、これすごくわかりやすですね。お忙しいのにいつこんなことされたんですか?」とおだて、最後に仕事が終わった後にもさりげなくやってきて「もう完ぺきでした、さすがですねー!やっぱり先生にお願いして正解だったー!」と締めた挙句に、「また、お願いしますね」と云って去っていくのです。
同じことを云って、同じことを部下にさせるとしても、そして部下もしなければならないことはわかっていても、上司がどういう云い方で指示してくれるか、どういう目で自分を見てくれているか、その眼差しをきっちりと感じています。Sさん、あんたは若いのに、すごいわ。
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