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自信

先日、地域で行われたマラソン大会に参加していた当院の医師が、途中、心肺停止状態で倒れている男性を見つけて即座に心臓マッサージを始め、そのおかげで一命を取り留めました。その若い医師は初めての経験だったそうですが、救急医療に携わっている日常だからこそ対応できたのだろうと自ら話していました。

思えば、もう20年近く前、空港で飛行機に乗るためのシャトルバスの中で、突然泡を吹いて倒れた男性に遭遇し、思わずかけよって心臓マッサージをしたことがあります。数回したら「プー!」と意識を取り戻したので事なきを得て私はそのまま飛行機に乗り込みました。循環器救急の医師としてバリバリだったあの頃、意識を失って倒れていて脈が触れなかったら何も考えずに即マッサージをする、というのは常識でした。というよりもカラダが勝手に動いていました。人間は「急変する」というのが当たり前に想定されていたからです。

さて、そんなわたしが今、同じシテュエーションになったときに躊躇なく心臓マッサージができるだろうか?現在はシステマティックに一番効果があるマッサージのリズムが数年ごとに改められ、AEDの普及と併せて一般市民も蘇生術ができる時代です。わたしがそこ退けそこ退け!で割り込んできてマッサージ始めたら「それ、間違ってますよ」とか云われたらどうしよう、とか思うと二の足を踏みます。それ恥ずかしいよねと意味のないプライドが見え隠れ。わたし、ちゃんと1年前にICLS講習(日本救急医学会主催の医療従事者のための蘇生トレーニングコース)を受けて修了書をいただいているんですよ。でも、というより、だから・・・今がむかしと全然変わってしまったことを知ってしまったがために、逆に行動力をにぶらせる気がしてなりませぬ。

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