欧米には、なぜ寝たきり老人がいないのか(1)
asuka3hさんからのご質問で読ませていただきました。
<老いのレッスン、「欧米には、なぜ寝たきり老人がいないのか」>
「寝たきり老人」は日本の専売特許で、欧米ではあまり見かけない。スエーデンの場合は、延命処置をしないからだ、という宮本顕二氏の記事はまあ別として、日本人は畳で寝るから簡単につかまり立ちできないとか、狭い部屋なのでバリアフリーが難しく車いす生活もままならないとか、あるいは日本人の老人に対する考え方の違い(=老人を敬い、何もしなくても良いように家族や若い者が気遣いするのがよいとする)や入院期間の長さなども挙げられていました。
ただ、わたしは別のことを考えました。むかしの日本人は寝たきりだったか?もちろん、寿命も短く、まさしく寝たきりになれるほど医療水準が高くはなかったことはありますが、歳を取ったからとか足が不自由だからとかいう理由で悠々自適な隠居生活を送るようなヒトはさほど多くはなかったはずです。年老いても、動ける限りは農作業をし、家事をし、若い者に迷惑をかけたくない、という想いで生きてきたように思います。それが、日本人の日本人らしい美徳であり、生き方でした。
日本人に寝たきり老人が増えた理由、それは日本が中途半端に欧米化し、欧米的な人生の考え方がスマートでカッコいいと考えるようになってからなのではないかと思うことがあります。病後のリハビリ制度が、欧米に比べて日本は貧弱です。できるだけ早く離床し早く退院させるのが良いというデータを元に可能な限り短い在院日数で追い出しますが、出てからのリハビリ制度が日本にはほとんどありません。欧米は地域が守り、家族以外の周りのコミュニティが守るのが当たり前なので、退院後の医療介入の方が濃厚ですが、日本にはそれがありません。ありませんというか、なくなりました。良くも悪くも「隣組」・・・隣近所がみんなで守り助け合う文化は日本の方が欧米より深かったかもしれないのに、戦後の「カッコ良く生きる社会」への転換はコミュニティどころか家族の在り方さえも変えました。だから、早々に中途半端に追い出された患者さんは家にいるしかなく、家族も本人も何をしていいのかわからず、中途半端に動けなくなります。 (つづく)
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