騒音が乳がんを作る?
なかなかインパクトのあるタイトルが先日配信されてきたCareNetにありました。
「デンマークがん協会研究センターのMette Sorensen氏らは、デンマークの人口ベースのコホートにおいて、居住地における道路や鉄道の交通騒音と乳がんリスクの関連を検討した。その結果、交通騒音によりエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクが増大する可能性が示唆された。」というものです(International Journal of Cancer誌オンライン版2013年11月8日号に掲載)。
50~64歳の女性を12年追跡して、閉経後乳がんの発症の確認だけでなく、各々が居住していたすべての場所の道路や鉄道の交通騒音を計算したというのですから、やっぱり疫学調査って根性と情熱が要りますね。
結果としてわかったことは、乳がん全体としては関連がなかったけれど、エストロゲン受容体陰性乳がんのリスクは騒音量に比例して増加するということです。エストロゲン受容体陰性乳がんとか陽性乳がんとかのことに全然詳しくないので、「へぇ~」と思うしかないのですが、交通騒音として耳から入るストレスや体内を揺らす音波などが影響を与えるのか、それとも交通騒音による「イライラ」が悪いのか、あるいは騒音量の問題ではなくて騒音量に比例して大気汚染がひどいとか、排気ガスがエストロゲン受容体陰性乳がんを引き起こしたとかなのか・・・普遍的なデータとして世に認められるまではまだかなりの追試がいるでしょうね。何しろ、都市開発や交通産業などの利権が絡むドロドロっとした世界のはなしだから一筋縄ではいきますまい。ちょっとした興味だけでやった疫学調査なのに、そのままこれがライフワークになってしまう若き公衆衛生学レジデントさんなんかが居たりしたらおもしろいのですが。
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