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適材適所

昨年、関東のある医科大学の教授から電話がありました。わたしが東京の病院で働いていたころに同僚だった先生です。教室員の若い医師が実家のある熊本での仕事を希望しているが、うちの病院はどうか?という相談です。わたしは早速循環器内科の部長に話をつなぎ、部長が直接本人と会って面談をする運びになりました。

その後、部長に会う機会があったので、どうなったか聞いてみましたら、「あの話はお断りしました」とのこと。会って小一時間いろんな話をしましたが、「彼は、うちのような病院で働いたら壊れてしまうかもしれない」と感じたのだそうです。輝かしいキャリアがあり人柄も温厚で申し分ないのですが、「彼のような医者は、うちのような回転の速い救急現場で毎日を忙殺させるより、もう少しゆっくりとしたサイクルの中でじっくりと学研的な研究をするのが向いている」と。

人手不足の現場ですし、わたしの専門分野である心臓核医学検査に詳しい優秀な先生が来てくれたらとても助かるなと期待していたわたしは、意外な結末に驚きましたが、現場のトップは、いつでもきちんと人材の有るべき位置を見極める目を持っていないといけないのだな、と思った次第です。医学部を卒業して国家試験に合格すると「医者」となりますが、医者には臨床家向きのひとと研究家向きのひとが居ます。前者には戦場のような救急現場に身を置くのが合っている者とゆっくりとした時間の中でじっくりと患者さんと対峙するのが合っている者とがあります。適材適所・・・ことばは簡単ですが、それが実践できるためには多くの人の手助けがいるのです。

くだんの若い医者は、結局となりの都市の九州を代表する大きな病院で放射線治療に従事することが決まりました。将来、彼がその分野の第一人者として周りをけん引する立場になったとしたら、それはうちの病院のN部長のおかげだと云えるかもしれません。

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