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落し物

「わたしは先日とても寂しい光景を見ました。廊下に小さなゴミが落ちていたのですが、その横を何人もの若い職員の皆さんが何もなかったかのような顔をして通り過ぎて行ったんですね。みなさんの目の中には映っていたはずのゴミをだれひとりとして拾おうとしなかったんです。悲しかったですねぇ。どれだけ立派な建物で立派な医療をしているところだとしても、ゴミのひとつを拾おうともしない職員ばかりの職場で良いのでしょうか?」

かなり昔、ある管理者が全体ミーティングのときにこういう話をしたことがあります。お話の内容、とてもごもっとも。うわべだけの立派さに中身がついていかないようでは人間としてダメだということ。ただ、医療現場出身ではないこの方にはちょっと理解できないかもしれないのですが、病院の廊下やフロアに落ちているものは無造作に拾ってはいけないものも実はたくさんあるのです。綿花やガーゼではなくて単なる紙切れや布であっても、感染物の可能性がある。そのものではなくてフロア自体が汚染されているかもしれない。それが病院というところですから、現在の感染予防の考え方・リスクマネージメントの考え方からすると、「歩いていてゴミが落ちていたから拾ってゴミ箱に捨てた」という行為は必ずしも奨励されない時代です。おもむろにゴム手袋を取り出して拾い上げるなどということはしないでしょうから、許されるのはせいぜいティシュペーパー越しに掴むくらいまで。無防備に素手で、なんてことは言語道断なのです。「そんなことするくらいならそのままにしておいてください、専門の人がそうじしに来ますから」と云われます。

ERに行けばゴム手袋とゴーグルをして準備万端で救急車を待ち構えているスタッフたち。ちょっと異様ですが、むかしのように思わず見ず知らずの心肺停止の患者さんの上に馬乗りになって素手でマッサージするなんてことしてたら、どこの無知なお医者さん?これで感染したら迷惑千万!という目で睨まれてしまいます。感染防御の一番はまず自分を守ること、なのです。

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