« デパートの階段 | トップページ | やっつけ仕事 »

落としどころ

先日、電話で受診者さんからのクレームを受けました。これもわたしたちの大事な仕事です。この日は、夜に行った温泉センターでも、受付の前で中年の夫婦が大声で騒いでいました。

わたしも若いころからすぐにカッときて声を震わせながら怒鳴るタイプだったから、世が世なら間違いなくブラックリストに載るようなクレーマー。彼らの云っていることはそれなりに理解できます。最初の注意や質問は大したものではないのに、それに対して相手が理不尽な対応したり、不真面目な誠意のない対応だったり、あるいは「はいはいごもっとも。こちらが悪うございました」的な紋切り型の聞き流す態度だったりと、火に油を注ぐようなことをするから収まらなくなるわけです(もっとも最近のモンスターさん方は最初からアタマから火の点いた油を自分でかぶってから飛び込んできますから、火傷どころか家ごと炎上してしまいますが)。

で、こういうクレーム騒動の場合、途中から、云ってる側も云われている側もどこで収めるか、その落としどころを探り合い始めます。振り上げた刃を無意味に振り回しながら、同じことを云い始めたら、云ってる側はそろそろ鞘におさめたいわけです。「で、どうしてほしいの?」「そのまま云い続けても何もおさまらないよ」と云われている側が感じているときには、もちろん云ってる側も分かっていますが、自分から引くわけにはいかないのです。「で、どうしてほしいんですか?お金ですか?」とか云ってしまったら「なんだその態度は!」と暴れ始めるかもしれない。だって、自分では収め方が分からないんですもの。陳腐な方法で良いので、なんとか云われた側から建設的な提案をしながら、「ふん、まあ今度はこの程度で許してやるさ」と云わしめるように骨を折ってあげてください。難儀ですけど、それが処世術というものです。

|

« デパートの階段 | トップページ | やっつけ仕事 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« デパートの階段 | トップページ | やっつけ仕事 »