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画像別健診判定マニュアル

健診判定の標準化を進めている日本人間ドック学会では、公式ホームページ上に画像診断するときの判定マニュアルを画像別に公表しました。基準ができることは大変ありがたいのですが、わたしが担当する心電図判読マニュアルをながめながら、そっと溜息をついています。

想像していたとおり、判定基準がうちの施設の基準よりかなりきびしいのです。心拍数101の洞性頻脈は要精密検査、高電位も要精密検査、完全右脚ブロックやI度房室ブロックは要経過観察・・・などなど。云っていることはわかるのです。わたしも循環器内科に従事していた人間として、その所見に隠れているかもしれない病気や今後悪化する可能性などが「ないわけではない」わけで、健診やドックはスクリーニングとしてふるいから漏らしてはならないということ。白でも構わないから、念のために精査したり経過を見たりするのが健診の存在意義だということ。確率論で語ってはいけないこともよく分かってはいるのですけど、でも実際的ではないと思うのです。明らかなやせ形だったり、明らかな緊張しいだったり、あるいは貧血だったり甲状腺肥大だったりは、心電図だけで判定しなくても問診や診察や採血検査でひっかけてくれます。網はたくさんあった方が逃さない。分かっています。分かっていますけど、たくさんの網のためにゴミまでたくさん拾いこんでしまうことは現実的ではなく、安心を得るために仕事を休んでもらうにはあまりにデメリットの方が多すぎる気がして、どうしても二の足を踏んでしまうのです。もっと軽い判定から総合的に判断すればいいのではないのかしら、と。

まあ、お上がしろと命令するのならやむを得ず判定基準を替えますけど、臨床現場は無意味に忙しくなり受診者からはクレームの嵐になるか精査受診率の低下につながるかであろうことは想像がつきます。いいのかしら、それで?

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