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基準の境目

「去年より急に腎機能が悪くなってしまっていてショックです」

診察室に入ってくるなり、受診者さんが神妙な顔つきでそう云い始めました。彼が云っているのは健診特有の数値=eGFR(糸球体濾過量推算値)のことです。結果表を見ると、たしかに昨年までの判定は「軽度異常」で今年は「要再検」です。血相を変えて慌てるのもよくわかります。でも数値をみると、昨年が60.5で今年が59.3・・・おやおやほとんど変化はありません。どっちも正式なGFRを測定すると70以上あるのでないかと推測します。

もちろん、これは判定の境目が60だからです。60のちょっと上が合格でちょっと下が不合格というのも心苦しいのですが、基準値にはどうしても境目が必要なのです。心拍数99は正常範囲内なのに100は洞性頻脈の診断名になるのです。「自分は動悸がする、いつもドキドキするのに心電図は正常と云われるのは不本意だ。99は限りなく100ではないか!」というヒトがむかしいましたが、しょうがないんです。「99はほとんど100だから異常にしましょう」となったら、じゃあ98は異常じゃないのか?となってしまって数値の意味を成しません。これがデジタル数値の宿命です。

もっとも、eGFRの59も60もどっちも高い数値ではないのですから、「ずっと変わらず低い」が正解なことば。日ごろから腎臓をいたわる食事を取るように心がけることをお勧めしました。

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