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2014年5月

やっぱり、おかしい。

今日は、世界禁煙デーです。

普通に喫煙していた人間として、「別に長生きなんかしたくないから吸い続ける」と宣言したわたしですし、単に吸うと翌朝とてもきついから吸わないだけのわたしですから、「タバコを吸いたい」と云っている輩に「それは健康に悪いからやめろ」とは決して云いません。でも、おそらく税収以外に何の価値もないものだから、「吸わなくてもいいかな」と少しでも思ったヒトは早く縁を切ることをお勧めします。

そんな中、厚生労働省のHPから<2014年世界禁煙デーについて>をみつけました。「オールジャパンで、たばこの煙のない社会を」をスローガンに、様々な企画を並べています。これ、どう考えてもおかしくないですか?これを書いているのは、どこかの民間啓発団体とか禁煙学会とかではありません。厚生労働省は国の機関です。国の機関がこんな内容をスローガンにするくらいなら、タバコ製造・販売を中止させましょう!と宣言してください。吸うのは止めるべきだけど作るのはやめさせられない・・・その複雑な事情はわからないでもないけれど、ここまで書くならもっと強く指導的な機関であるべきでしょう。今どき、「形だけはしておかないと示しがつかないんだよね」的な単なるパフォーマンスで済ませられるほど、世間の目は甘くないのでございますよ。

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たばこはストーカー

日本の社会では、「ちょっと一服」といって仕事中に席を立つことが意外にまだ許されています。「疲れたのでちょっと頭を休めます」「ちょっとコーヒーブレイクでも」などと断って休憩室に行くのと同じ感覚で喫煙室に足繁く通うのがスモーカーの日常。特に統計をみたわけではありませんが、CO中毒の理屈から考えると、おそらく回数を追うごとにその間隔が短くなっていくはず。

これって、「仕事が疲れたから」じゃないですもんね。禁断症状だから、「吸いたい吸いたい吸いたい吸いたい」というエクソシスト様の呪文が頭の中を覆い尽くすから、ですもんね。大好きな女性のことを思うと会いたくてたまらない。「会いたい会いたい会いたい会いたい」と思うと居ても立ってもいられないから突然会いに行く・・・ちょうどストーカーの感覚と同じですよね。ま、ストーカーは犯罪ですけれど。そこにガマンを呼び起こすのが「理性」。だから、腹が減ったらといって仕事中に勝手に弁当を食わないのが社会常識だというのと同じだから、やっぱり就業規定には従うべきでしょうね、そこの敷地内完全禁煙を謳っている職場の花壇の隅に出て行って隠れ喫煙している、某先生。明日は、世界禁煙デーですよん。

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若いのに・・・

「若いのに、たばこ吸ってるんだ?」・・・最近、健診受診者の問診票を眺めながら、思わずそう独り言を漏らしてしまうわたしです。「やっぱりファッションとしてもあこがれなのかなあ」とも。

むかし、自分が吸っていたときにはそれが当たり前の社会で、吸わない人は禁煙した人で、それは健康オタクの人か大病を患った人だと思っていましたからあまり気にならなかったのですが、自分がたばこの意義を感じられなくなって吸わなくなってしまうと、吸っている人はやめたいけどやめられない人で、本人は「やめる気はない」とか云っているけれどやめられるものならやめたいと思っているはずだ。だから吸っている人はそんなやめられない壮年・中年以降の連中で、今時若いうちから吸い始める人なんて少ないに決まっている、と思っている節があります。むかしは隠れてたばこを吸うのがおとなへの登竜門で、夕日をバックにバイクで紫煙をくゆらせたり、ブランデーなめながら一服する姿に憧れて始めたという御仁も多かったと思いますが、今は、吸ってる方がかっこ悪いからあまり憧れなんて抱かないだろうにと思ってしまいます。最近は酒を飲まない若者が多くて社会もそれに市民権を与えているから宴席でも割と堂々とウーロン茶とか飲んでいます。酒を飲み始めることにあまり憧れないから飲み始めないのだと思うのですが、そんな連中でも意外にたばこは始めてしまう。どうしてなのでしょうね。

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レスベラトロールは買いかぶり?

赤ワインのレスベラトロールの健康促進効果に疑問符

いわゆるフレンチパラドクス(フランス人は高脂肪食を好む食生活なのに心筋梗塞が少ないこと)で有名になった赤ワイン。特にその中のレスベラトロールの効果だと云われてきました。だからレスベラトロールのサプリがたくさん出回っていますし、「日頃からアブラまみれの食生活をやめられない現代人のあなたに福音というべき物質」が謳(うた)い文句だったはずです。そういう、努力なんか大嫌いな方々へ、あるいはそういう人を食い物にしたいメーカーの方々に警鐘を鳴らしたかったのでしょうか?

米ジョンズホプキンス大学(ボルチモア)のRichard Semba教授が、「赤ワインやブドウ、チョコレートなどに含まれるレスベラトロールで寿命が伸びることはなく、心疾患やがんのリスクも低減しない」と報告しました(JAMA Internal Medicineオンライン2014.5.12)。だから、食べたいだけ食べた上でレスベラトロールを取ったところで死亡、がん、心臓病が減少するとはいえず、結局は「野菜中心のバランスの良い食事と定期的な運動に勝るものなし」という、きわめて陳腐な(というか、とても普遍的な)ことばに集約されてしまうようです。もっとも、この研究はあくまでも食事によるレスベラトロール摂取の検討であり、サプリなどのように大量に濃縮させた状態での摂取は別物なのかもしれません。そうなるとまったくもってメーカーの思うつぼになりますが、どうでしょう。

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医療費

「最近、心房細動の調子はどうですか?」・・・先日、法事で久々に会った義兄に聞いてみたら、「不整脈は今はずっとあるけどね、もう慣れたからあまり気にしないようにしているよ」との答え。安定している感じが読み取れました。「新しい薬が異常に高いので、『ワーファリンに戻してください』って自分から云っちゃったよ。だってもう定年退職して収入がないのにこの薬代の差はバカにならんよ」・・・続けてそんなグチも出てきました。採血検査が要らないのでワーファリンより管理が簡単でしかも重篤な副作用がないという売りで、心房細動に対する抗凝固剤(血液をサラサラさせるくすり)の新薬が発売されて数年になります。以前に比べるとこれを処方されている方も増えてきた感じです。ただ、薬価が高い。当たり前と云えば当たり前のことですが、毎日服用するものなのでバカになりません。そんな話をしていたらテーブルの向かい側から「ぼくなんか、喘息がある上に拡張型心筋症と椎間板ヘルニアでしょ。もうめちゃくちゃ高いよ、収入がないのに」と笑いながら従兄弟が話に入ってきました。みんな似たようなお年頃だから、病気の話を始めると終わらなくなります。

クリニックの先生などは別ですが、意外に大病院の専門医たちはお金のことを気にしません。おそらく若い先生は具体的に1錠何円なのか知らない(興味がない)のではないでしょうか。「いい薬」「夢の薬」と効能だけに目を向けて新しい薬が出るとすぐに入れ替えをしたりなんかします。「前のより高い」ことは知っているはずですが、自分で払うわけではないのでピンとこないのかもしれません。昔からある薬はものすごく安くて(あまりに安いから割に合わないという理由で製造中止になった薬も数しれず)、しかも意外に良く効きます。高性能の家電が出るとすぐに買ってしまうけど、実は自分の使う機能は昔の器械で十分で、電気代も上がらないとかいうのと同じかもしれません。国は高い薬のジェネリックにご執心のようですが、古くていい薬は世にたくさんあることをもっとしっかりPRしてほしいものです。

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空気を読む

ハンバーガ-屋さんで、あるいはコーヒー屋さんで、商品の注文をするのにあたふたします。初めてのお店ではなくても、いろいろな組み合わせがあって、待っている間にこれにしようと心に決めているんだけれどいざ受付のお嬢さんの前に立つと「どうしよう」と悩んでしまう。あたふたしていると後ろに並んでいる若者も受付をしているお嬢さんも「何もたもたしているんだよこの場違いなオヤジ」と思っているのではないかと考え始めて勝手に焦りだすので一層パニック。気づいたら最初に心に決めていたものでもなくいつも頼んでるものでもなく、何とも不思議なものを受け取ったりなんかして、自己嫌悪。

方や、少なそうだったから急いで並んだレジ。前のお客さんが財布の中から硬貨をたくさん引張りだし始めた。消費税が8%になってから何かと増える1円玉の整理をしている様子。こらこら、それだったら順番待ちしているときに最大限準備できる1円玉を準備しておけよ、わたしのように!と自分の握りしめた左手を見つめて、いらっとする。わたしなんか、そうやって手に準備しているのに予想しない値だったりなんかするともうパニクって、えーいもういいや!とばかりに千円札を出したりなんかする。

先日は宝くじを買おうと並んでいたら、2つ前に並んでいた若者たちがどれを選ぶか決めかねている。悩んだって同じだよ、さっと選べよ!それが運てもんだろ!と心の中で舌打ち。やっとこさ決めたかと思ったら次に横にいた友人が悩み始める。こらこら、ずっと見てたんだから、なんで一緒に悩んでおかない?なんで自分の番になってから初めて悩み始める?それがやっと終わったと思ったら・・・次のカップルも同じことをし始めました。まあ高い金払って運試しするわけだから、しかも10枚だけ選ぶわけだから慎重に選んでくださって全然かまいませんよ。でも、後ろにこんだけ並んでるんだからさ、まちっと気を遣ってくれないかなあ。とか思っているとわたしの番。えーっとバラ●枚ください。えーっとどれにしようかな・・・やっぱ悩むな。

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ハンバーガーセットのフライドポテト

25年くらい前、夫婦で横浜に遊びに行ったとき、横浜駅構内にハンバーガー屋さんがありまして、そこで昼飯にハンバーガーのセットを注文しました。

このとき、私たちの座るテーブルのとなりにひとりの初老の男性。きれいな身なりという感じではない労務者風の男性でしたが、同じようにハンバーガーセットを買ってテーブルに置いたと思ったら、まず最初にフライドポテトに手を出しました。夫婦で見とれていると、むさぼるようにフライドポテトを食べ終わってから、一息ついてやっとハンバーガーを口にし始めました。それを見ながら夫婦で苦笑い。「なんで、ハンバーガーセットを買っておきながら、最初にハンバーガーを食べないんだろう?」・・・初めて見る光景に、さすが都会の人はハンバーガーの食べ方も違うんだな、と感心してみたり。それでもやはり、ハンバーガーを食べたいからハンバーガーを買ったのだから、まずハンバーガーを食べないと、他のもので腹を満たしてからではおいしさが半減するではないか、という思いは変わりませんでした。

ところが最近(滅多にハンバーガーは食べなくなりましたが)、たまにハンバーガーセットを買うと最初にフライドポテトから手を出すようになっているわたしが居ます。最初に芋に手を出すなんて、食事管理の基本に逆らっていますよね。でも、なぜかそうする方が落ち着きます。ポテトをくちゃくちゃ噛んで唾液を出しながら、これからの本丸攻略に挑む準備をしているかのよう。もしかしてこの作業、年齢とともに重要な儀式なのかもしれません。

もっとも、年甲斐もなくそんなこってりものを食べようとすること自体を自らの身体が拒否しようとしているのかもしれませんけれど。たまに食べると絶妙においしいんですよ、この悪魔のささやきが・・・。

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私の性格

最近のわたしは、本当に争い事がキライです。テレビ番組ですら云い争い始めたらすぐにチャンネルを替えます。アタマに来ることはたくさんあるのだけれど、いつの間にか可能な限り怒りはその場に捨てていくような処世術を得ました。

先日自分のブログを見返す機会があって、母についてのブログを読み直しました<母のこと><母がくれたもの>。そして、それを読みながらわたしは結局母の子なのだなと確信しました。若いころのわたしはにそっくりな性格でした。正しいものは正しい。間違っていることは間違っているのだから、絶対に容認してはならない。争ってでも間違いは正すべきである。担当者が間違っているのであれば責任者を呼び出してでも是正させるべきである・・・自分は正義であり、正義の大義名分のもとで生きてきました。ワタシの亡き恩師の遺言もそれを物語っていました。若いころのワタシの性格はまさしく父、なのに歳を取るにつれて徐々に母の性格に移っていこうとしています(時々突然父が出てきますが)・・・わたしはまさしく父と母の血を引き継いだ子なのだなと実感できる、わたしもそんな齢になりました。

今日は、そんな父の13回忌と母の33回忌を行います。久々に二人に会うことができるでしょうか。

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究極の選択?

「大好きなものの量を少なくして食べるのと、大して好きでもないものをたくさん食べるのと、どちらか一方を選べと云われたら・・・わたしは絶対後者を選ぶ!」

先日、夕食の準備をしていた妻が突然そう叫び、わたしには野菜の天ぷら丼を作って出しながら、自らはキャベツとミニトマトのサラダだけ食い始めました。「いいの、わたしはがんばるの」と云いながら、サラダの小皿3杯目を食べ始めたときには、ちょっと心配になりました。「そんな食べ方しても絶対やせないと思うよ。というか、絶対に夜中に無性にお菓子を食ったりジュース飲んだりしたくなる思うのだけれど、それでもがまんしてそんな生活をこのまま続けられるの?」と思ったりなんかしたけれど、結局口には出しませんでした。

ま、いいかな、と。別にそんな宣言したからと云ってこのままそれを続けなければならないというわけでもなし、食べたくなくなったらやめればいいし、他のものが食べたくなったら他のものを食べればいいし、これから自らの人生を修行に捧げる覚悟を確認する必要もない。それこそが「食事」というものだよな、と彼女を見ながらそう思ったのでありました。

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不公平感は持つだけ損

仕事を2人で分担しているのにいつも相方はほとんどしないで気づいたら自分ばかりが仕事をしている。不公平で不愉快だ!と感じる状態。これ、日常生活の中で社会生活を送っていると意外にたくさんあります。わたしたちも、たとえば検査の読影作業や結果説明作業など、その曜日に決められた担当表に従って複数人でやっていますが、「誰が何人」と割り当てているわけでもないので、ちょうど半々になる場合もあればほとんど全部一人でやってしまうことも珍しくありません。

「あれ、今日は●●先生がメインの担当のはずなのにまだ全然読影されていないじゃないか」とか「このままいったらわたしが全部やってしまうことになるじゃないか」とかいうシテュエーション・・・これ、怒ったら絶対的に損。自分がイライラしたところでだれも得をしません。相方も大して影響を受けません(意図的であっても意図的でなくても感じ方に変化は生じないでしょうから)し、自分のココロも決して晴れません。激しいグチを口にしたところで周りは聞き流します。

不公平感というのは最初に均等分配すると思っているから生じますけど、「みんなで100%やること」としか周りは見ていませんから、全体として仕事をやったら評価され、やらなかったら批判されるだけのことです。あいつは何もしてないのに同じ給料もらうのはおかしい!と叫びたくなるかもしれませんが、それで自分の給料が減らされたわけではないし、最初から自分で全部を引き受けていたら給料が多くなるわけでもありません。他人が得したかどうかはわかりませんが、少なくとも自分はほとんど損をしていません。それなのに、「不公平!」と血圧が上がるほどグチって不愉快な毎日を送る分だけ損をしてことになります。だから、不公平感で怒るのは絶対に損だと思うのです。ちゃんと見ている人は見ていますし、間違いなく周りからの信頼を得ることはできているはずです。

大学時代、部活の作業に遅れてきた先輩に向かって、「ふざけんなよ、バカヤロー!」と怒鳴って物を投げつけた挙げ句に作業の途中でその場を立ち去ったというエピソードを持つわたしがこんな悟ったようなことを書いても説得力はないかもしれませんが、ね。

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右下か左下かそれは大問題だ。

最近、自分の姿を鏡で見ると本来真ん中分けまたは若干左分けのはずの髪型が右分けになているのに気づきました。つむじ方向に逆らう形なので完全に逆立っている感じになるかそのまま下向きにつぶされているかなので、妙に収まりが悪いのです。

なーんでだろ?といつも不思議に思っていましたが、昨夜、ふと気づきました。ここ1、2ヶ月、意図的にアタマとカラダを右下にして寝ていたからです、きっと。なぜ右下にしているかと云うと、左下にすると夜中に突然胃液を吐くからです。なぜ吐くかというと食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎を起こすからです。右下にして寝ることでその恐怖から逃れて安眠できるようになりましたが、その代償としてこの寝癖的な髪型・・・これはこれで自称ダンディなおじさんとしてはどこか許せません。

と、書いて、妻に話したら「何っているの?逆流性食道炎予防は左下にして寝るのが当たり前でしょ」と笑われました。え、そっちこそ何云ってるの?と云い返しながら、そういえば最近よく受診者さんが「左下、左下」と云っていたことに気づきました。先日NHKの『ためしてガッテン!』で云っていたと異口同音に。あわててネット検索すると意見は半々。でも理論は左下が正解らしい。参ったな、わたし、自信を持って「左下は間違い!」って云い張ってきましたよ、診察室で・・・。だって、わたしは左下にして寝たら吐くんです。右下にしたら安眠するんです。理屈よりも現実が優先。この事実は覆せません。だからこれからもわたしは右下にして寝るでしょう。でも・・・他人には「左下が正解らしい」って云うでしょうね。はっきりしていることは、当分わたしのまとまらない髪のことは解決しそうにないな、ということだけです。

困ったもんだ。蛇足ですが、週末の法事に備えて、昨夜髪を染めました。

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アメリカの脂質管理事情

Medical Tribune 2014.5.15号を読んでいたら、「成人における動脈硬化性心血管リスク減少のための血中コレステロール治療2013 ACC/AHAガイドライン」(2013.11に発表)では、コレステロール値に管理目標値が設定されなくなったということが書かれていて、少なからず驚きました。

●LDLコレステロールやnon-HDLコレステロールによる管理目標値を撤廃する。
●スタチン(コレステロール合成阻害剤)による動脈硬化性心血管疾患減少の有用性が明確なグループを同定してその対象者には忍容できる最大強度のスタチンを積極的に投与する。

というのが骨子のようです。そのグループとは、動脈硬化性心血管疾患の既往、LDLコレステロール190mg/dl以上、糖尿病合併、10年以内に動脈硬化性心血管疾患初発リスクが高いなどで決定されるそうです。

つまり、『動脈硬化によって心血管疾患にかかる危険性が高い者には、生活療法などと云う大して効果が期待できない隠れ蓑などでごまかさずにさっさと強力な薬剤治療を始めなさい。使えば必ず病態は改善し、リスクは確実に減少することがすでに立証されているのだから』ということになりましょう。ここまであからさまな決定ができるなんて、さすがは合理主義国アメリカ。ま、この考え方はアメリカだけではなく日本の医療界でもあるようで、食事管理なんか机上の空論で実際には絶対できないのだから、努力にゆだねないですむような薬を早く開発するべきである、ということばをその分野の指導的立場の教授から聞くとちょっとがっかりします。一応、日本では「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012」の方針に修正や変更は行う必要がないと学会発表したようですが。

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アメリカ人と食物線維

Care Net.comで配信された<心筋梗塞後、食物繊維の摂取が多いほど全死因死亡低下>の記事を読みまして、驚いたことがあります。

発表はアメリカ・ハーバード公衆衛生大学院の先生。健常者と同様、心筋梗塞後の患者さんであっても穀物由来の食物繊維を発症前よりも多く摂ると、全死因死亡と血管死亡が有意に低下するという大規模前向きコホート研究の結果です(BMJオンライン2014.4.29)。

この結果は、わたしがずっと抱いていた人種に対する持論にそぐわないものなのです。日本人のような農耕民族は穀物由来の食物繊維だけ食っておけば勝手にどんどん健康になっていくはずだけれど、狩猟民族である欧米人は肉だけ食っていた方が健康になるはず。なまじ健康ブームに乗っかって日本食なんか食い続けていたらスカスカボロボロの血管になるのではないか、というのがわたしの考えなのです。

日本人がそうであるように、欧米人も、生き延びていくために段々と進化(変異)して自然淘汰され始めてきたのでしょうか。

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冷たいメシ

「こんな冷えたメシなんか不味くて食えるか!」と、配給された幕の内弁当を前に怒っている御仁がおります。以前は何にでも難癖つけるのが好きそうな頑固オヤジに多かった台詞ですが、最近は高校生や若者がすぐにそんなことを云ったりなんかします。

基本、「弁当は冷たいもの」という常識の元で育ってきたわたしは、特段気にならないのでそのまま食いますが、そうするとわざわざ、「先生、そんな冷たくて不味いものを無理して食べなくても、レンジで温めますよ?」と声をかけてくれたりなんかします。丁寧にお断りします(温かい方が若干おいしいのかもしれませんがそのために数十秒待つデメリットと天秤にかけたら大した差ではないように思うから)が、明らかに不服顔。この感覚は、結局保温式の弁当箱や電子レンジが世間に普及し、さらに売店やコンビニで無料温めサービスが当たり前のサービスになってしまったための現象なのでしょうから、ありがたい時代になったとは思います。

でも、それが当たり前になったがために、「温めた方がおいしい」「お昼に温かい弁当が食べられてありがたい」と感謝するのではなく、冷えてしまった弁当は食べ物じゃない!とまで云わしめるのはむしろ「味覚の退化」ではないでしょうか。先日、大阪の中学生が給食の量が少ないことの意見に加えて「料理が冷えていておいしくないので温めほしい」と云っていたのを見ながら、まっとうな意見ではあるけれどきっと冷えた昼飯なんか絶対口にしないまま育っているんだろうな、とこっそり舌打ちをしてしまいました。

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云いのがれ

「夕飯、食い過ぎんでください」と云えば、「大丈夫です。わたしは夜はメシは食わんようにしてますから」と答えるひとが多く、この場合「夕飯」を「ごはん」と勘違いしていることは容易にわかります。だから、「ごはんの意味じゃなくて夕食全部のこと、特におかずのこと」と強調してあげます。「酒を飲むからごはんは食わん」という男性には「よっぽど酒飲まずにごはん食べた方が健全ですよね」と皮肉を付け加え、ダイエットのために夕食の炭水化物を絶っている女性には「ごはんを食べないんだから、おかずもあまり食べる必要はないですよね」と云い足す意地悪さを忘れません。これは以前にもここで書いたことがあります。

一方、最近多いのは、「胃をいたわるためには、食べ過ぎない・飲み過ぎない・いらいらしない・良く噛んで食べる、が基本です」と云うと、すかさず「あ、わたしはお酒は飲みませんから大丈夫です」というひと。「は、それが何か?」と言い返したくなるくらい、カチンとくるわたしはまだまだ人間ができていないな、と反省。この4つが1セットの必須条件で1つでもクリアできたら無罪放免だとでも思っているのでしょうか。もちろん、「この4つの中の1つでもあったら要注意だ」と云いたいのだと書いたら、蛇足中の蛇足ですね。

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小児糖尿病が増えている

米国小児科学会学術集会に併せたJAMA小児健康特集号で、米国における小児・青少年の糖尿病の動向が発表されました。それによると、2001年と2009年を比較したとき、1型で約20%、2型で約30%の増加が見られています。これを人種別に比較したところ、1型では米国先住民に有意な変化はなかったが、白人、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア・太平洋諸島米国人では有意な増加を認めています。それに対して、2型は白人、ヒスパニック系、アフリカ系で有意な増加ですがアジア・太平洋諸島系と米国先住民では変化がなかったと報告されています。糖尿病は環境因子が大きく影響しますから、同じ環境下で比較された人種別動向はとても意味深いものだと感じました。

ただ、例によって、こういうデータを読んでいるとわたしは全然違うことを考えます。「太ってしまった子どもをやせさせるのは至難のワザなんだよなあ」ということ。大人なら最悪断食すればいいはなしですけど、育ちざかりの世代の減量ですから何かと周りも躊躇するし、本人もガマンが利きません。やはり、育ちざかりの食べ方は初めからきちんと専門家に教わってそれに従うべきでしょう。きっとそうなると親御さん自身もガマンしないといけなくなるし、すぐに脇からジジババが口出しするから面倒くさい。だから、食育は喫煙指導と同じように子どもたち本人に直接教えるのが一番だと思います。本人は、必ずきちんと理解して自分のためだからちゃんとガンバれます。この中に親やジジババが介入するとすべてが台無しになるか、あるいは親御さんの信じきっている大人のダイエットを強要することになりかねないのです。

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とけい

8年前に妻から誕生プレゼントとしてもらった自動巻き腕時計をオーバーホールに出しました。どうも戻って来るのに1か月近くかかる予定なのだそうで、今はずっと腕時計をしていません。

最初は不便かなと思ったのですが、さすがにそんな生活にも慣れました。うちの職場は決して始業チャイムが鳴るわけではありませんし、終業の合図もありません。あくまでも自己判断の始業・終業ですから時刻はとても重要なのですが、あって無きがごとしの概念でもあります。時計がないからパソコンの時刻表示かスマホの時計が大事で、5分前行動をするのかと思いきや、朝8時の開始と、昼13時の開始前にさえ診察室に座っておれば何とかなります。通勤電車に乗るわけでもないし、定刻ちょうどに会議が始まる職場でもなく(こらこら)、かえっていい感じにいい加減な時間感覚になっております。

こんな生活もいいかな。

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コーヒーと糖尿病

Care Net配信の記事はさらに糖尿病とコーヒーとの関連にも言及しています。

プラス1杯のコーヒーで糖尿病発症リスクは低下するか」(2014.5.9)

米国成人12万3000人のデータ分析によると、コーヒー摂取量が4年間で一日1杯以上増えた人の糖尿病リスクが低下していたのに対して摂取量が減った人はリスクが上昇していたという報告です(米ハーバード大学Frank Huら)。その原因についての言及はともかく、砂糖やクリームを入れたらその効果は減少し、ノンカフェインコーヒーやお茶ではリスクに変化はなかったというわけですから、無糖のカフェイン入りコーヒーは何らかの効果をもたらしているのでしょう。

ただし、「糖尿病の発症予防には減量と運動のほうが効果的であるから、糖尿病予防のためにコーヒー摂取を勧めるようなことはしない」と強調するあたり、糖尿病患者さんの心理をよく把握しておられますね。動かず食べる量をいじらず痛い思いをしないで解決できるなら何でもやります、というのは万人の本音なのだと思いますから。

「コーヒー摂取量が増えると食べる量が減るのかもしれないし、より早く満腹になっていることも考えられる。あるいは、カフェイン入りコーヒーを飲む人はもともと運動をするエネルギーに満ち溢れているのかもしれない」などとコメントしているアメリカの内分泌医師(Alyson Myers氏)の意見はどうでしょうね。少なくとも日ごろ飲まないコーヒーを飲み始めたうちの妻は、夜目が冴えて食欲も増してしまったから、太ったのはコーヒーを飲み始めたせいだ!と云ってましたけど。

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うつ病と栄養

Care Netは今、うつ病の話題が旬なのでしょうか。

無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与」(2014.5.8)
若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき」(2014.3.3)
1日1杯のワインがうつ病を予防」(2013.9.20)

いずれも前向き試験ではありませんから、積極的にワインや無糖コーヒーやあるいはナッツ・果物・ビタミンCなどを毎日取っているとうつ病が予防できる、という研究成果ではありません。うつ病の人とそうでない人の食習慣を比べたらこんなものに差があったというものですから、原因と結果の関係はどうなのかわかりません。なにしろ、セロトニンなどのホルモン分泌に効果的だとかどうだとかいう理論の前に、うつ病になるとそんなもの口にしたくなくなるだけなのかもしれませんし、自分はうつ傾向だから今のうちにコーヒーやワインを飲んでおこう、などということを考える余裕がある人は、たぶんうつ病にまではならないのではないか、という気がします。

それでも、身近な大事な人がうつ病であれば、これらの食材を意図的に食卓に載せてあげて、無意識のうちに口にさせるように仕向けておいて損はないようにも思います。

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めんどうくさい

「子どものころは夏休みの宿題を最初のうちに全部終わらせてしまうタイプじゃなかったのかい?」と先日高校時代からの友人に云われました。

そうなんです。ここでも何度も書いてきたように、わたしはしなければならないことがあったら最初にそっちを済ませないと心安らかに遊べないタイプでした。おかげで夏休みの半分方はその重い足かせに支配されていて、気付いたらもうお盆、なんてことは普通でした。でもそれで心の安静を保っていたわけで、そういう性格が変わるモノとは思ってもいませんでした。

スライド作り、このゴールデンウイークがリミットだなと思ってUSBメモリに移して持って帰ったのにパソコンに繋ぐことすらしなかった。以前はそれでも、毎晩パソコンのパワーポイントを開けるところくらいまではしていたのに、段々ズボラになってしまって、「ま、何とかなるんじゃないの?」と高をくくるようになりました。

「面倒くさくなる」というのはこういうことなのだなと実感するようになりました。「面倒くさくなった瞬間から人間は歳をとり始めるんですよ」といつも受診者さんに云ってきたわたしは、実は「面倒くさい」などという単語は自分の辞書にはないと信じていたところがあります。歳とってきた証拠だなあと、しみじみ思います。でも「いかんなあ」とは思いません。そんな時期も通り過ぎました。このズボラさ加減、自分にとっては悪いことではないんじゃないかと思い聞かせています。枯れてきているというより悟り始めてきている、ということで。まあ、こうやって毎日こまめに書くブログは、結局は悟りとは程遠い「逃避」の道具なのではありますけれど。

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不健康意識

「健康意識」と「不健康意識」・・・わたしの最近の悩みはここに集約されている気がします。

「最近は皆さん健康意識が高くなって・・・」という云い方をします。厚生労働省はその傾向にほくそえみ、各企業は健康産業を大きく展開させていきます。でも、わたしの目には「健康意識」ではなくて「不健康意識」にみえます。自分が今、いかに不健康かを思い知り、どうしたら修正できるかについてもがいている。”健康番組”や”健康商品”に助けを求め、健診に結果を求めています。

「健康意識」というのは、心身ともに健康な理想の姿をあがめ、それにあこがれて、それになれるように日々の生活に磨きをかけることなのであって、「病気にならないように注意する」こととは異なる次元のもののように思います。

「そんなの結果としては同じことでしょ!」と簡単に云い切る方もおりましょうが、たとえ同じことをすることになったとしても、それは全く違うと思うのですよね。

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手助けとしての使命

毎年、特定保健指導の研修会で講師としてお話をする依頼が来るたびに、スライドを準備しながらいろいろなことを思います。大筋同じことなのですが、毎年再確認するということは重要なことなのかもしれません。

「自分は、受診者がこれから楽しく明るい人生を歩むための手助けがちゃんとできているのだろうか?」・・・最近のわたしは毎日このことを自問自答している気がします。単に検査値を良くするための手助けに過ぎないことをしなかっただろうか?という想い。「何をいってるのですか。検査値を良くするための働きかけを行って実際に検査値が良くなるような生活改善ができれば、自ずと楽しく明るい将来が待っているに決まっているじゃないですか!」という保健師さんもいるのでしょうが、わたしはそうは思いません。楽しく明るい人生を送れるようなことを実行した結果として検査値が良くなったら一石二鳥だとは思いますが、第一目標は検査値ではないと思っています。

・夕食を前にして家族みんなで溜息をつかせていないか?
・誘惑に負けた自分の不甲斐なさに対して反省と懺悔ばかりさせていないか?
・健康のための運動を強いてはいないか?
・今がんばれば将来は必ず明るい未来になる!と云ってはいないか?
・明るい今日(今晩)を迎えられるためのアドバイスを何か提案できたか?

こんなチェックポイントのスライドを作りながら、聴衆はこれをどういう思いで見るのだろうか?と思いました。なるほど、と思ってくれるのか?何を云ってるのかしらと鼻で笑われるのか?

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「家庭血圧測定条件設定の指針」

『高血圧治療ガイドライン2014』が公表されまして、もうすぐある講演で話さないといけないので一生懸命読んでみているのですが、その中に載っている『家庭血圧測定条件設定の指針』(日本高血圧学会)をスライドに起こすために書き写しておりました。これからは値が診察室血圧と家庭血圧が食い違う場合は、家庭血圧を優先して用いることになるそうなのです。

それを写しながら、「すごいなあ」と独り事。たとえば、
 2.測定環境:1)静かで適当な室温の環境 2)原則として背もたれつきの椅子に脚を組まずに座って1-2分安静後 3)会話を交わさない環境、とか、
 4.測定回数:1機会原則2回測定し、その平均をとるが、1機会に1回のみ測定した場合には1回のみの値をその機会の血圧値として用いる、とか・・・。

細かすぎないか?という思いとともに、まあ基本、素人の測定を信用していないのだなという感想なのですが、どうしてここまで条件を一定に保って客観性を保とうとするのでしょう。「血圧は常に変動しているから、可能な限り一定基準に則らないと正確な比較ができないからだ」と云うのでしょうか。でもそんな常に変動する値だからこそ厳格な条件下でのチャンピオンデータだけをみても日常は分からないのでは?と思うのです。だからわたしはここに書かれているような条件での血圧測定を一切薦めないことにしています。「巷の血圧計を見かけたらとりあえず手を突っ込んでください」と。

ただ、この指針の最後の注釈に、現場が患者さんに血圧を測定させることへの大きな懸念が想像できます。何とかもっと気軽に血圧測定をする雰囲気がほしいものだと感じています。
注1)家庭血圧測定に対し不安をもつ者には測定を強いてはならない
注2)測定値に一喜一憂する必要のないことを指導しなければならない
注3)測定値に基づき、勝手に降圧薬の中止や降圧薬の増減をしてはならない旨を指導する

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早寝

最近急激に太った妻が、顔色を変えてダイエットを始めました。「起きていると食べるから寝る」といって先日の休日は昼間の間ずっとベッドに入っていました。彼女のダイエット法らしいです。

そんな彼女は超宵っ張りなので、「まずは夜中のゲームをやめて、早寝早起きすることから始めないとやせられないと思うよ」と助言したら、「どうして?睡眠時間はあなたより多いはずよ」と反論。「いや、夜に出るべきホルモンが起きていると出なくなるからエネルギー消費できなくなるし細胞の補修もできなくなるんだよ。『寝ない子は太る』は今や常識」と説明したけれど、今一つ聞き入れてもらえません。

「だって、友人の○○さん、毎日早朝から起きて仕事に行くし、夜は『眠い、眠い』と云って9時には床に就くけど、太ってるじゃない?おまけに食べてすぐ寝るから逆流性食道炎にもなっているし」・・・たしかに彼女は早寝早起きだけど一向にやせないなあ・・・。負の実証をされてしまうと云い返せないけれど、彼女は特別なのであって、やはり誰が何と云っても”早寝”がダイエットの基本なんだよぉ!

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休み明けに臨む

先日、ふと思いついてfacebookにも同じことをアップしたのですが、ゴールデンウイークの最終日だった昨日は皆さんどんな過ごし方をされたでしょうか。

大体、5月4日を過ぎると「もう休みも終わろうとしている」と悲しくなるサザエさん症候群の人が多いことでしょう。ゴールデンウイークに限らず、長期休暇の最終日はゆっくり休もうと思っている人が多い気がします。いよいよ仕事が始まるから、最終日だけはゆっくりして体調を整えよう、と。でもその過ごし方は決して良くはないように思います。最終日に休むと、生活リズムも狂いますし、疲れだけが実感として残るものです。仕事リズムに戻るためには、最終日の過ごし方が一番大事だと思うのです。

わたしは、長期休暇の最終日は大好きなことをガッツリやることにしています。最後の最後に一番大好きなとっておきのことをやると、カラダは疲れてもココロは絶好調になるはずで、仕事に戻る時にもテンションが移行しやすい気がしています。昨日はわたしの贔屓のプロサッカーチームの応援のためにとなりの県まで日帰りしてきました。残念ながら惨敗しましたが、それでも最終日にフル稼働できたことに満足しております。

さて、それでは仕事モードに戻りましょう。

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覇気がない

見るからに覇気がない男性の診察をしました。別にうつ病なわけでもなく問診上も問題になるようなことは書かれていないのですが、なんともはや声に力がなくて動きにも覇気がない。その数分後に、今度は元気いっぱいの女性が入ってきました。豪快に笑いながら野太い声でああだのこうだの話されるので「少し黙ってもらっていいですか」と云ったくらい。病気なんか飛んでいきそうなくらい元気のいい女性でした。

たまたま連続して経験したこの二人を見ながら、でもどう感じるかはきっと自分のココロの持ち様なのだろうなと思いました。元気いっぱいの女性を見ながら「明るくて元気がいいなあ」と思うか「うるさくて鬱陶しい人だなあ」と思うか。あるいはわたしが「覇気がない」と感じた男性を見て「静かで落ち着いた人」あるいは「自分も同じかもしれない」と感じる人もいるでしょう。自分が健康な位置に居るなら、元気な女性と覇気のない男性のどちらも客観的に許容できるところがあります。でも、自分のココロが落ちているとすべてが感情的、情緒的になっていくところがあるような気がします。

まわりのひとたちの姿をながめながら、自分のココロを映し出すなんて・・・また一段と悟り始めましたよ、わたし。

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和食は昭和50年代

定期購読しているメルマガ「大人の健康生活ガイド」から、<和食の理想は1975年のメニュー 内臓脂肪をためずに老化を抑制>という話題が送られてきました。

理想食と云われる「伝統的な日本食」ですが、実はいつの時代のものをいうのかわたしもモヤモヤしていました。何事にも文化の和洋折衷が得意な日本国民は何でも取り込んで自分のオリジナルに仕立て直してしまう力がありますから。で、このたび、東北大学大学院農学研究科食品化学分野の都築毅准教授らがマウスで実証して、3月に開催された日本農芸化学会や日本薬学会で発表したのだそうです。<伝統的日本食は長寿に有効である~現在の日本食と過去の日本食の比較試験より~(東北大学プレリリース)>

それによると、1975(昭和50)年ごろの和食が、長寿や健康維持にもっとも効果的であるそうです。1960年のメニューは「炭水化物の割合が多く、おかずの種類・量が少ない」特徴があり、75年に比べると栄養バランスに劣り、1990年は「乳製品や肉類が豊富だが、食の欧米化の影響で脂質が増え、野菜類はもっとも少ない」傾向にあり、2005年は「炭水化物が少なく、肉類、油脂類が多く、魚介類が少ない。単身者が増え、おかずの少ない丼ものなどの単品メニューが目立ってきた」とのこと。1975年ころの和食は、「内臓脂肪が蓄積しにくく、脂肪肝の発症リスクも抑制されており、血中のコレステロールの値が低く、、肝臓での脂肪分解が活発に行われているのに加え、学習記憶能の維持にも有効で、がんの発生率も低かった」と至れり尽くせり。

昭和50年といえば、わたしは高校生。ガンガン欧米化してはいたもののスーパーは17時には閉まるしコンビニなんてわたしの田舎では影も形もない存在。やっぱり基本は日本食ですわねえ。とかいいながら高校時代に体重が15kgくらい増えましたから、どんな理想食でも食いすぎたら一緒ですね。

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日本人の食事摂取基準2015

『日本人の食事摂取基準』ということばは以前にもここに出しました(高齢者の脂肪摂取量が基準より少なすぎるという内容で:2012.4.1「健康意識が過剰?」)。

今回、5年ごとに更新される基準の2015年版(2015~2020年度用)案の発表があったそうで、いろいろなところでリリースされています。今回の目玉は、健康維持のための摂取基準の指標をこれまでの「カロリー」から「BMI(体格指数)」に変更したことだそうです。まず各年齢の目標とするBMI値を設定してそれが維持できる食事量を基準とするものです。まあ確かに、性別や年齢や活動量で決められては、あまりに体格差が大きすぎる昨今、やはり個人による体格の違いは反映させないと予防改善にはつながらないでしょうね。それと2型糖尿病の予防にも深く言及しています。

でもやっぱりわたしが気になるのは若い人たちの過カロリー・過脂肪ではなく、高齢者の栄養失調です。高齢者ほど健康意識が高いのは、死のことや病気のことに切実に直面するようになってきたからなのでしょうが、巷にあふれている若いヒト向けの健康情報には高齢者のことはあまり考慮されていないことをいつも意識しておいていただきたい。今回の改正では、年齢が高くなるほど栄養状態が悪いヒトが増えてサルコペニアの危険性が高いことを踏まえて、転倒予防や介護予防の観点から50歳以上(え、50歳?)の目標BMI値の下限値を若干高めることにしたのだそうです。高齢者社会が進む一方の昨今、もう少し高齢者に特化した栄養指標も前面に出して解説してほしいなと思うのは、自分自身の切実な問題になってきているからでしょうか。

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特保は効果あり?

厚生労働省から特定保健指導の成果についての報告がありました。積極的指導を受けた人は1年後に、体重や血圧や血糖などの値が改善し、男性の3割、女性の3~4割がメタボから脱却できたというものです。

第12回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(厚労省2014.4.18)>

わたしは、特定保健指導の行われる6か月間は十分改善するものの、その中の大多数が1年後には元に戻って(あるいは前よりも悪化して)帰って来る感じがしてちょっと国の取り組みを猜疑的に見ていましたが、多少のリバウンドはあるとしても、生活の見直しをした人たちはそれなりに意識が維持できているということになるのでしょうか。「結局ほとんど元に戻ってしまいました」と健診結果を前に気の毒そうに言い訳する受診者の方々は、もっと胸を張って良いのではないかと思います。特保のストイックでマニアックな生き方をそう長くは続けられないかもしれないけれど、それをすることが思っていたほど大変ではなく、何よりも自分にできたといういう実感と自信はもっと大事にしてほしいと思いますし、1年後の健診結果を踏まえてまたリトライしたらいいのではないでしょうか。

もっとも、特保の改善効果は年度を経るにつれて弱くなっており、厚労省は「意欲高い参加者はとっくに改善しており、徐々に修正困難な参加者が増えて来ているせいではないか」と分析しています。まあたしかにそうでしょうね。中には何度も対象になって繰り返しているヒトもおりましょう。医師国家試験とかと同じように、何度もトライするうちにカラダ自体の反応も悪くなるしモチベーションも落ちて来るでしょうし。ただ、この対象者の中には、早くクスリを飲んだ方が良いのに意地でも特保を隠れ蓑にして逃げて回っているヒトもいるのではないかということを懸念します。保健指導担当者の方々は「指導技術の研鑽を継続して実施する」だけでなくもう少し広い視野で見守ってあげてほしいと思った次第です。

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孫の力

この歳になると、友人知人の家庭では孫の話題が尽きません。ちょっとだけ蚊帳の外感を感じる瞬間です。

先日のCareNetComの配信<孫と過ごせば脳の力が高まる>を読みました。高齢女性は毎週少しの時間だけ孫の世話をしていると頭脳明晰に保ているというメルボルン大学(オーストラリア)からの報告です(Menopauseオンライン版2014.4.7)。

この報告、「毎週少しの時間だけ」というのがミソのようです。「毎週少しの時間だけでも」ではありません。孫の世話を週1回だけすると効果があるけれど週5日以上世話をすると返って成績が悪くなるのだそうで、世話をする時間が長くなるほど孫の要求が高まり、心身ともに疲れるようです。さすがに孫は健康器具ではないので、そう都合よくは行きますまいが、つかず離れずの距離に住んで、週1回はおばあちゃんに預けてあげるのが理想のようです。

「先週まで夏休みで孫が帰って来ていて、やっと帰ったからドッと疲れが出ました」という患者さんの言葉を聞きながら、本心は寂しいのでは?と思っていましたが、実際に心身ともに疲れているというのが本当なのでしょう。

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結果報告書の眺め方

人間ドック受診者さんの事前カンファレンスをやっていてとても気になったことがありました。多くの医療スタッフのみなさんはどうもHマーク(基準より高値)とLマーク(基準より低値)、あるいは判定結果(経過観察、要再検、要精査、要治療)にしか目が行ってないように思うのですが、いかがでしょうか。

「彼は食事内容も見直して運動も始めたのでデータがかなり改善しているけれど、まだ基準値に達してないからもうひと頑張りさせましょう」と云っているほかのグループのカンファレンスに聞き耳を立てながら、「その値なら十分なんじゃないの?」とこっそり心の中でツッコむわたしですが、先日はうちのグループのカンファレンスで「生活習慣の改善に取り組んだ結果だいぶ良くなりましたが血糖値は思ったほど変化ないのが残念です」という報告をうけた初老の男性のデータをみて、「あれ?」と思いました。糖代謝はもともと食後高血糖パターンの異常ですから改善してもしなくてもいいこと。ただ、今まで一度も基準値内に入ってこなかった(ずっとHマークだった)LDL(悪玉)コレステロール値が完璧なる正常値になっているのです。LDLが170~200だったのに140以下になっている。あまりに急に基準値内に入り込んでいる・・・これを最初に「おかしい」と気づいてほしいなと思いました。HマークとLマークに気を取られて「無印=正常」はアタマの中で黒塗りにされているのではあるまいか。

これまでも頑張っていたのにビクともしなかった異常値が突然目立たない値に”改善”したときは要注意なのです。こっそり何かを始めた(内服だったりサプリだったり)か何か特別な病気が発症したかの可能性があるから。コレステロールが急に下がったときは甲状腺機能亢進や悪性腫瘍のことがあります。単に食習慣改善の努力がやっと報われたのだろうと簡単に考えてはいけません。この方の場合は、よく聞いてみたら2週間前から内服を始めたそうで、「問診のときに云い忘れた」とか。一安心しました。

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