アタマがおかしくなる
突発性難聴発症3日目を迎えて、霧が晴れるようにすーっと良くなると聞いていたのに、かえってどんどん耳鳴りと耳閉がひどくなっていきました。まあ、これは波だと思うのであまり気にしなかったのだけれど、耳鳴りがひどくなるにつれてアタマが働かなくなる感じ・・・小さなシミがどんどん滲んで広がっていく感じなんです。「あれ、ぼくの病気の名前はナニ難聴だっけ?」から始まって、うちの職場のナースの名前が浮かばない。眼の前にいるお嬢さんの名前は何だったっけ?パソコン画面に書かれている名前のお嬢さんはどんなヒトだっけ?となりの診察室に居る医者の名前は?ウソのようにどんどん消えていく記憶。午後の仕事を1時間休ませてもらって、事務所の名簿一覧を眺めたり、パソコンの名簿を眺めたり、あるいは事務所にいるスタッフの顔を眺めて名前を確認したり・・・一人でこっそり焦りました。脳神経のトラブルってこんな感じなのか?つまり今、神経線維のどこかに断線が起きていて記憶の修復や再合成が必死で行われている・・・それはそれはものすごい不安感に苛まれました。
15分ほど仮眠したら少しずつ名前が出始めてきました。アタマは重いままで耳は両方とも詰まったままでしたが、登山中に襲われた濃霧が少しずつ晴れてくるように、どっしり重くのしかかっていた不安感が薄れ始めてきました。でもこれ、いつまた濃くなるかわからない。アルツハイマーとか痴呆症とかは、こういうことを繰り返しながら少しずつ大事なものが消えていくのだろう。脳腫瘍で亡くなったわたしのボスが生前一番恐れていたこと=自分が自分でなくなっていくこととは、こういうことなのだと実感しました。
結局夕方に強い眩暈を起こして救急外来に無理やり連れて行かれました。採血やMRI検査も受けて、我が病院が誇る精鋭たちの診断をうけて無事に帰してもらえました。ベッドに寝ている間やMRI検査を受けている間、家族やスタッフや友人の名前をアタマの中でひとりひとり確認。少しずつ明確になる中で最後まで思い出せないままのヒトがまだ数人・・・(笑)。おそらくはステロイドの副作用だったのではないかと推測しますが、とにかくこの難聴と耳閉が最悪治らなかったとしてもしょうがないけれど、記憶が消えていく恐怖だけはもう二度と経験したくないと痛感した次第です。
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