見ないモラル
佐世保の女子高生による猟奇的殺人事件の報道が連日マスコミを騒がせています。徐々に内容はエスカレートしていて、各局のTVニュースも単なるワイドショー的になってきています。「少女に何があったのか、早く解明することが重要です」と、有名キャスターが揃って云ってますが、そんなことはない。当事者にとってはもちろん重要なことだけれど、それ以外の人間にとっては好奇心の満足を得るための獲物以外の何物でもない。もうそろそろ、少なくともテレビニュースでの報道は、自主制限をかけるべき潮時なのではないでしょうか。
そんなことを思っていた矢先、妻が、「あ、やっぱり」とスマホを見せてくれました。そこには鮮明なる加害者の女子高生の顔写真やあるいは父娘のそろったスナップ写真・・・ネット社会は人間の欲求に対して容赦ありません。今後この写真閲覧ができなくなってもすでにあちこちにコピーされてしまったであろうこの写真がずっとネットの中を飛び回ることでしょう。それが非人道的であることは分かっていて、そういう術がない時代にはモラルの力で抑え込むことができていた、それが日本人の美徳だと思っていました。でも、絶対にそれを無視する輩がいて、それを面白がる連中は、「見たがるヒトがいるから出すんだ」とうそぶく。
日本でも、良心とか道徳とか、そういうことで管理できる時代ではなくなったと実感します。もはや、モラルを求めるとしたら、それは出し手側ではなく受け手側に対してしかないのかもしれません。湯水のごとく流れてくる報道や情報に目を向けないモラル。見ないモラル・・・そんなことまで思うに至った今回の事件報道でした。
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