「眠りと記憶と忘却」
内山真先生の『睡眠のはなし~快眠のためのヒント』について先日紹介しました。あとは自分で読んでねーと〆ましたが、出張中にもう一度読んでいて、どうしても紹介したい衝動を抑えられなくなった内容があります。
第8章 眠りと記憶と忘却
球技の練習やピアノの練習を必死でがんばってもその場ではうまくいかないのに、ひと眠りして翌日やったら突然できるようになっていること・・・たしかにあるなと思っていました。それが、深いノンレム睡眠によってもたらされているらしい、という。つまり、夢を見ているときではなく、脳が完全に休んでいるときに技能の習得が起きるというのです。知識や記憶は睡眠中に脳に固定されるから、試験勉強などは徹夜でするより勉強後にきちんと寝た方が絶対効果があるというのは知っていましたが、それが技術の習得=バッティング練習やピアノの練習でも云えるというのに驚かされました。「練習後に十分睡眠をとることで手続き記憶は強化され、練習した以上に技能が巧みになっていくことを示している」「技能の複雑さが増すほどに睡眠後の技能向上度は大きくなり、さらにこの睡眠中の技能向上度は苦手な動作ほど大きくなるという」って、さらっと書かれているけど、すごいことじゃないですか? 一生懸命練習したら、とにかく寝るんだ、諸君!
この章にはもうひとつ、忘却のメカニズムも書かれています。睡眠には、イヤなことを脳に定着させずに忘れさせる機能が備わっているのだと。「夢を見ているレム睡眠中に記憶を消去されているという仮説を発表した。忘れる機能は、私たちの心の健康にとって重要な役割を果たしている」・・・寝ろ寝ろ、イヤなことは寝たら忘れる!とむかしから云われています。そんな非科学的なこと云って、無責任なんだから・・・と反発したこともありましたが、それは科学的な真実でありました。
人間の機能って、すばらしい! ブラボー、睡眠!
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