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塩のはなし

ここのところカナダのMcMaster大学のMartin O'Donnell氏の研究=PURE試験というのが話題になっています。世界17カ国から10万人のデータを集めて尿に出てきたナトリウム/カリウム量と心臓血管イベントや死亡に関して平均3.7年の前向きコホート試験を行った結果、3~6グラム/日のナトリウム量がベストで、それ以上でも以下でも心血管イベントは増加する、というものです。

こんな至極当たり前の結果に何を騒いでいるのだろうか?と思っていたら、世界の心血管疾患予防ガイドラインの推奨するナトリウム摂取量は1.5~2.4グラム(塩分換算して3.8~6.0グラム)/日なのだそうです。そんなもの、どう考えても達成できるはずがないし、そんな量で生活したら、へなへなな生活になるぞ!と思うのは、わたしが日本人だからでしょうか。そういえば、むかし、研修医だった頃、大学病院に低ナトリウム血症の患者さんが入院したことがありました。原因不明の倦怠感と筋力低下か何かが主訴だったでしょうか。NaCl点滴を繰り返してもなかなか血中ナトリウム量が上がらず往生した記憶があります(わたしが受け持ちではなかったですが)。ナトリウムは生き物の細胞を維持する上でなくてはならないものです。少なけりゃ良いってものじゃないでしょう、当然。まあだからこそ、人間は、これ以上少ないと危険だということをカラダが分かっているから、そう簡単にはそんな少ない塩分量を維持できないようになっているのだ、というのも日本人ならではの考え方(いやいや単にわたしが高血圧患者で塩分大好き患者だから)だったりしますか?

幾多の解説文のうち、日本の高血圧の第一人者である桑島巌先生のCareNetに書いた一文・・・「注目すべきは、7g以上の高ナトリウム排泄量(塩分17.5g以上)では、ナトリウム排泄量と心血管死/脳卒中との関係は血圧値で補正すると有意でなくなるが、1日ナトリウム排泄量3g未満(塩分換算7.5g未満)の低減塩摂取例では、血圧値で補正してもなおかつ全死亡、心血管死、脳卒中発症とのオッズ比が有意なことである。これらの結果は、高塩分摂取によるイベント発症は高血圧の関与が大きいが、過度な減塩による死亡率上昇には血圧以外の要因が関与している可能性が示されている点である。」というところが気になりました。つまり簡単に云えば、高血圧のヒトは減塩に励むべきだが、血圧が高いわけでないヒトは塩分制限しすぎると危険だぞ!ということ・・・それでいいのでしょうか?

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