「忙しい」は迷惑
今年の健診で高度高血圧と心電図変化(高度陰性T波所見)を指摘された男性。昨年も一昨年も同じ所見(徐々に増悪)で紹介状が発行されていますが未受診のまま。その理由は、「仕事が忙しくて受診する時間が取れない」・・・これ、健診後の医療機関未受診の理由の半数以上をいつも占めています。
お歳はわたしと同世代のヒトだから、会社でも重要ポストにいるヒトなのでしょう。こういうヒト、本人は「会社のため」と思っているかもしれませんが、会社はきっと迷惑です。むかしは従業員の健診はただの義務だったので「とりあえずやりました」的なやり捨て健診でしたけれど、今は従業員の健康管理は会社の重大な責任になります。こういうヒトが、仕事中に倒れられてしまうと、それは管理監督の怠慢という判断になってしまうのです。わたしが産業医をしている企業でも、昨年度から高血圧の管理はとても厳しくなって、高血圧をほったらかしにすると呼び出されて、それでも受診しなかったら、かなり厳しい制限付き業務を指示されます。大義名分は、従業員本人の健康管理は健全な人生の基本だから、あるいは管理不足で突然倒れられると会社に損失が出てしまうから、ということになりますが、実質は「勝手に不健康を野放しにしておきながら何かあったら給料だけもっていく給料泥棒」だからだと思います。
自分は責任あるポストで、無症状の大したことのないことのために仕事に穴を開けるわけにはいかない、と思い込んでいるのは本人だけ。周りは「早く受診してくれよ」と思っていますし、「突然倒れられたら突然あんたの仕事が回ってきて大変なことになるんだよ!」としか思っていません。外来受診しに行く時間なんて、誰も気に留めていませんから、むしろ自分が思っているほど周りは自分を必要としていないことがわかってショックかも。「なかなか自分のプライベートの理由で職場を休むことはできない」という日本人的発想はもう10年も20年も前の考え方のようです。もっとも、せっかくの有休を病院受診に使うのはもったいないと云えばもったいないですけれど(笑)
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