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読影結果(1)

臨床現場から離れて久しいわたしの唯一の臨床の仕事が負荷心筋血流シンチグラフィ検査の読影です。一応、これで若いころに博士号をいただいていますので、わたしの専門領域ということになります。血流に乗って心臓の筋肉に取り込まれる放射性医薬品を注射して、その心筋への取り込まれ方を比較しながら病変部位を探る検査です。今は、わたしが読影した後でもう一度放射線科医が二次読影して最終報告書が出される仕組みになっています。

2人の読みはほとんどの場合同じですが、時々最終読影者によって書き直されていることがあります。ほとんどの場合、わたしがあえて有意所見として取り上げなかった所見を読み足されています。画像診断の場合、目の前にあるものはひとつなのだから真実はひとつで、だれが読んでも答えはひとつのはずだ、それが食い違うのはどちらかがミスしているからだ!と、一般の方は思うかもしれません。たしかにそこに異常所見があるのに見逃すのは、単なる節穴の目をもつ未熟者です。わたしもときどきやらかして自分の未熟さ加減に落ち込むことがあります。でも判定結果の食い違いの原因はそれだけではありません。そこにあるのは経験値とポリシーです。そこに小さな所見が存在することは分かっている。それを意味あるものとして取り上げるかどうか、それは読影者の裁量権・・・その結果を見て、主治医はその患者さんに何らかの治療を施すわけで、同じ所見なのに、そのまま経過観察する場合と手術をする場合とがありえる重要な判断なのです。だからこそ、たとえ目の前の画像の結果はひとつだとしても、読影者はそれに自分の意見というフィルターを通した読影をすることになります。

                                    (つづく)

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