前立腺と男性ホルモン
はげている男性は悪性度の高いタイプの前立腺がんになるリスクが高いという報告がJournal of Clinical Oncology9月15日号に掲載された、という記事が届きました。
わたしが学生だったころ、前立腺肥大は女性ホルモンのなせる業で、前立腺がんは男性ホルモンのなせる業で、だから前立腺肥大になりやすいヒトは前立腺がんになりにくく、前立腺がんになりやすいヒトは前立腺肥大にはなりにくい、男性ホルモンの多い人は前立腺がんに要注意だ!と教わりました。あまりまじめに出ていない臨床実習(ポリクリ)でもそう教わった記憶があります。でも、その後その世界から完全に離れて(循環器内科医として救急医療に従事)いましたら、その常識は常識でもなんでもなくなっておりまして、今や前立腺肥大と前立腺がんが同時に発生することはまれではない、というのが常識のようですね。
でも、昔の知識が半端に残っているわたしには、今回の論文にあまり新鮮味を感じません。「2006~2008年の追跡期間中、1,100人を超える被験者が前立腺がんと診断され、このうち600人弱が高悪性度の前立腺がんであった。男性型禿頭症の人は、禿頭症でない男性に比べ、高悪性度の前立腺がんを発症する確率が39%高かった」といい、「当面、医師はこのタイプの禿頭症の40代男性を注意してみるように勧めている。『将来的に、男性型禿頭症は前立腺がんのリスク評価にある程度利用でき、スクリーニングに関する医師と患者の話し合いに役立つ可能性がある』と、研究著者の1人である米国立がん研究所のMichael Cook氏は述べている。」というのですが・・・結局テストステロンの問題でしょうから、そう驚くことでもありますまい。それよりも「はげた若い男は注意する」ということ自体が、何を求めているのか?がよく分かりません。健診を受けて、定期的にPSA検査を受けておけ!ということではダメなのかしら。「悪性度の高いがん」ということは、「PSA陰性がん」が多いということなのかしら?ここのところをもっと知りたいですよね。
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