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思い込み

今年も年報編集の季節になりました。わたしはメンバーが書いた原稿をチェックする担当。これが、なかなか大変で、毎晩夜中まで赤ペン先生になって悪戦苦闘中。

「なぜ、こんなことを間違っておきながら平然と提出できる?」・・・毎年のことながらブチ切れそうになります。誤字があるとか、文法がおかしいとかいうのはセンスだからあまり気にせず訂正しますが、そんなことではないのです。挿入されたグラフの数値を足しても本文の数値と一致しないとか、単純な割り算が間違っているとか、そういうレベル。 「そんなもの間違うはずないでしょ。だって、エクセルが勝手に計算してくれるのだから」・・・あるスタッフがそうつぶやきました。みんなそう思い込んでいるんです。だから、その表計算ソフトが打ち出した数字を疑うことなくそのまま写しているのでしょう。計算は正確かもしれないけれど、それに数値を打ち込むのは人間です。あるいは膨大なデータをコンピュータから抽出して並べ替えるのは人間です。どうして自分のやった作業を疑わないのでしょう?機械は疑いません。絶対の自信があるから、どんなとんでもない答えを出しても、正確無比な結果を誇示します。その数値が間違っていないかどうかを確認する作業は人間の仕事、それは常識。こういう統計報告の書物は、数字の1つでも間違っていたら、他にも必ず間違いがあるに違いありませんから、一冊全部が信用できないただの読み物になってしまうのです。

声を大にして云いたい。「数値は記号ではありません!」

やむを得ず、いちいち電卓を出してすべてを検算しているわたし。毎年のことだから、そろそろ期待を裏切って「取り越し苦労だった」と云いたいけれど、結局今年も大量の計算間違いを見つけました。わたしがチェックするのは年報全体のごく一部。他のチェッカーが確認済みの原稿をちょこっと覗き見してみたら簡単に間違いを見つけ出しました・・・残念ですけど、きっと他の原稿にも大量の計算ミスが隠れています。編集長には伝えられない、とっても悲しい現実です。

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