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なぜ若く見られたいのか?(後)

(つづき)

ところが、進化のメカニズムには、この”自然淘汰”のほかにもうひとつ、”性淘汰”というものがあります。種の保存のため配偶相手を手に入れるために有利な形に適応進化していくわけです。シカの角やイノシシの牙のようにオス同士が戦って勝つための進化もありますが、メスへの求愛行動に合った形への変化も起きます。これは「メスによる選り好み」・・・悲しいかな、オスはメスに気に入られるように形状を変えていきます。どんなに強くてもメスに気に入られなければ勝ち残れないのです。だから、たとえ重くて疲れる飾り羽であってもメスの好みであるならばそれに合わせて形を変えることがある・・・涙ぐましい努力・・・つまり、「自然淘汰上は不利であるにもかかわらず、性淘汰上、それを上回る利益があるならば」進化するのであります。

さて「若さ」 のことですが、ここで重要なことは、ヒトは成長速度が著しく遅い上に、寿命が長いのに女性の繁殖可能期間がきわめて短い、という事実です。それは他の霊長類と決定的に異なります。ヒト以外の霊長類は寿命が尽きる直前まで繁殖可能なのに、ヒトは閉経以降繁殖不可能となります。とすると、その女性が繁殖可能かどうかを見分ける手段は、外見上の「若さ」しかありません。女性の若さを性的魅力と感じることのメリットはそこにあります。女性の若さに対して敏感に反応し、それを魅力と感じることこそがヒトの繁殖戦略において決定的に重要な要素である、と長谷川先生は解説しています。なるほど、とここで合点がいきます。たしかに、チンパンジーのオスは、育児経験が乏しく子育てが下手で初めて発情したような若いメスには積極的に交尾を求めにはいかないものなのに、ヒトのオスは、若い女性ほど発情してしまう。男性は若い配偶者を獲得することを求め、女性は自分を若くみせるように努力する。それは、そんなヒト特有の特殊な事情があるからなわけです。

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