大気汚染
新年に送られてきたMedical Tribuneに、『心疾患患者はラッシュアワーの外出避けるべき』という記事がありました。欧州心臓病学会(ESC)が2014年12月9日に発表したもので、「心疾患患者はラッシュアワーで渋滞した道路での歩行や自転車運転は回避すべき」「運動は道路沿いではなく公園や庭で」などという奨励項目が含まれているのだそうです。大気汚染の深刻さがいよいよそんな時代になったのか・・・以前から冗談交じりに交わされていたブラックジョークも、確信のあるエビデンスのもとで公に発表されるとなると、企業や政治家の圧力をしても抑えられないほどに重篤な現実としてとらえるべき現状なのでしょうね。
記事によると、2010年の大気汚染による死亡者は世界で300万人、疾病負荷の寄与度でいくと大気汚染は9位で、10位の運動不足や11位の塩分過多より上位にあるのだそうです。大気汚染の健康被害は呼吸器の疾患だけでなく循環器疾患にも関与していることは、わたしたち循環器内科医でなくても知られていることですが、それが心血管疾患を持つ人の病態を悪化させるだけでなく、心血管疾患を新たに発症させる危険性もあるということがPM(粒子状物質)に関わるエビデンスとして示されているようです。まあ、PM2.5の影響(つまりはタバコの影響)を考えれば容易に想像つく話ではあります。
できるだけ外に出ないでクリーンな室内環境で生活する時代・・・いよいよ近未来の映画さながらの荒廃した地球の時代が現実になって来ています。恐ろしくも悲しいお話です。
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