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恐るべし腸内細菌

Medical ASAHI2014.12号の特集から、第46回日本動脈硬化学会総会のシンポジウム『腸内細菌と代謝異常』の記事を切り取ってずっと持って歩いておりましたが、やっと読むことができました。10年以上前、腸内細菌がアレルギーや代謝のコントロールをしているようだ、という記事を読んで甚く感動していたら「そんな眉唾物のはなしをまことしやかに語っていると、先生自身の品格を問われるからやめておいた方がいいぞ」と先輩医師から忠告されたことを思い出しました。そんな扱いだった腸内細菌叢のメカニズムは、今や動脈硬化学会のシンポジウムで特集される時代になったのですね。それ自体が、感動ものです。

ヒトの腸内の常在細菌の数100兆個以上(人体の細胞数60兆個より多い)、1.5キロの重量を持つ腸内細菌がヒトと共存しているわけですが、これらが腸管から栄養吸収して、腸の免疫や病原体の感染予防に働いている一方、ライフスタイルの変化や医療行為によって腸内細菌のバランスが壊れるだけでクローン病や潰瘍性大腸炎などを引き起こすことが分かっています。さらに、腸内細菌のバランスの乱れが肥満、糖尿病、アトピー、喘息などをも引き起こすのです。

筑波大の渋谷彰先生は、抗生物質によって腸内のカビ(カンジダ)が増加することが引き金となって血液中や気道のプロスタグランジンE2が増加し、それが血液を介して肺に達することでマクロファージ増加をもたらして喘息が重症化するメカニズムを説明しています。

神戸大学の山下智也先生は、動脈硬化危険因子のコントロールだけでは心血管イベントの抑制はできないことに触れ、慢性炎症疾患である動脈硬化予防が腸内細菌による腸管免疫機能の調節制御でできるようになるのではないかという可能性について述べていました。

慶応大学の入江潤一郎先生は、腸管がひとつの独立した内分泌代謝臓器であるという考え方を示されました(ちょうど脂肪細胞がホルモン産生臓器であるという概念と似ているように思います)。腸内細菌が産生したり分解したりするホルモン系が代謝異常の原因になるわけで、肥満も糖尿病もそれで説明することができるから、腸内細菌叢を変化させることで代謝異常の治療ができるのではないかという取り組みが模索されていることを示しています。

なんか、ワクワクしますよね。

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