きっかけづくり
同僚のドクターから相談をうけました。「先生、ちょっと教えてください。先日、自分で糖負荷検査を受けてみたらこんな結果だったんだけど、これってやっぱり異常なの?」・・・示された検査結果報告書には、空腹時血糖100、1時間後170、2時間後102、とありました。
「やっぱり、ボクは境界型なのかな?」と不安気。
「まあ、正常ではないですから境界型と云えば境界型でしょうね。でもまったく大したことないですよ」
「でしょ。心配しなくていいんよね?」
「正常ではないんだから、心配はしてほしいです(笑) けど、この程度の変化なんて、睡眠不足とかストレスが溜まったとかだけでも出てくる値だから、むしろこれを機に生活を見直してみたらいいんじゃないですか?」と答えました。
健診では、こんな異常でも何でもないものに、「今にも糖尿病になるぞ!」みたいな脅し方をして不安に陥れるから、けしからん! と怒る臨床医が居ますけれど、わたしはそうは思いません。その発想はやはり「病気ありき」の医療病です。「そんなもの病気ではないんだから」というやつ。現代社会の中で生活する上で、よほど乱れた生活を送らない限り、こんな検査結果から糖尿病になることなんて絶対にないことぐらい分かっています。ただ、そのヒトに与えられた数値の持つ意味は、「これをきっかけに、少し生活を見直してみてはどうか?」ということだと思うのです。ダラダラとメリハリのない人生を歩んではいないか?ついつい噛まずに飲み込んでいないか?家族や仕事のことで悩みが溜まってきていないか?十分に睡眠は取れているか?「この歳になるとそんなことはしょうがない」と諦めずに、「何か変えてみようかな」と思い始めるきっかけづくりになればいい・・・わたしはいつもそう思いながら、例の血糖上昇のイラストを描いて糖尿病のはなしをしています。
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