おいしいと思うこと
日本病態栄養学会が今年の学術集会で『京都和食宣言2015』というのを発表した、という話題がMTProに掲載されていました。昨年末に和食が世界無形文化遺産に登録されたこともあり、和食が欧米食と比べていかに健康維持・増進のために優れているかのエビデンスを国内外に発信しよう!というものだそうです。
和食がいかに健康にいいか、予防効果や病気の改善に有効か、各分野の研究が進むことはすばらしいことだと思いますが、食事は理屈ではありません。クスリでもありません。おいしいことが重要ですし、それの値段が高くないことが大前提です。和食が若い人たちや庶民に定着できなかったのは、日本庶民が飢えをしのぐために口にしていた貧相な食事に比べて、欧米から入ってきた天使のような食べものが今まで経験したことのないおいしさで日本人の舌を狂わせたせいです。しかもそれが安く手に入るようになってきた。和食の粋を極めた料理人の味はすばらしいかも知れないけれど高くて庶民の毎日の食卓には載せられないのに対して、洋食やファストフードの多くは大量でも安い。
和食の復活を促す方法は明快です。若いヒトの舌が「おいしい」と認めるものを生み出して、子どものころから好んで食べるようになること。そしてそれが安くていつでもどこでも簡単に手に入ること。食の安全性が叫ばれる昨今、理屈より実益で和食が他の食材を凌駕できるようになることを願って止みません。
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