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受診は仕事である。(1)

徐々に糖尿病が悪化して、昨年専門医宛の紹介状を渡した受診者さんがいます。地場の大きな会社の二代目社長さんです。その彼が今年、さらに一気に糖尿病を悪化させてやってきました。昨年ちょっと頑張っていた野菜から食べる食べ方もやめてしまったし、ストレス解消が食べることだから、どうしてもガマンできなくなった、と自嘲気味に保健師さんに語っていたそうですが、その結果説明のときにわたしが云ったのは一言だけです。

「努力なんかしなくていいから、病院に行ってください」

彼はまだ昨年もらった紹介状を持ったままでした。「仕事が忙しくて行けなかった」という言い訳は、受診したくないからの逃げ口上の可能性もありますが、むしろまじめな性格の彼のことだから、従業員や幹部職員に云い出せないのかもしれないと思いました。自分が頑張ればいいだけの個人の自己管理の問題だから、社長という立場もあって、個人の事情で公務の時間を受診に費やすわけにはいかない、と。空いた時間に行かねばとは思うけれど時間ができないのだ、と。

彼は間違っていると思います。もはやこれは彼の個人の問題ではありません。忙しい仕事中に心筋梗塞で倒れられたら会社全体が困惑するだけでなく、顧客も、関連企業もみんなが迷惑するのです。仕事の合間に時間を見つける? 甘く考えられては困ります。「病院受診するから、その時間は会議を入れないでくれ」というスケジューリングすることは、もはや管理者としての彼の義務だと思います。   (つづく)

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