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遺産(レガシー)効果

I型糖尿病と診断された時に、初期の段階で可能な限り厳格な血糖管理を行うと、従来の血糖管理を受けた患者さんよりもその後の合併症が有意に少なくなることを遺残効果またはレガシー効果と云い、もはや糖尿病管理をする上では常識です。その後の血糖管理が全く同じに行われても、最初に厳格管理されたかそうでないかで、何年もあとの腎障害や心血管イベントの発症率に有意な差が生まれるのだそうです。このたびさらに死亡率の差を比較したデータがJAMA(2015;313)に報告されたそうですが、何と27年経った後ですら、死亡率に有意な差を認めました。これは大変な結果です。初期の治療を誤ったら、その後どんなに反省して頑張ってももはや一生その差は埋められないぞと引導を渡されたようなものです・・・残酷ですねえ。実はこのレガシー効果はII型糖尿病でも云えることがすでに報告されています。

さて、一方、イギリスの後ろ向きコホート研究によると、高血圧患者さんにも似たような結果が出たことが報告されました(BMJ 2015;350)。降圧療法を強力に行うようになったときの血圧が130~150mmHgだったら心血管イベントや全死亡リスクは上昇しないけれど、150mmHgを超えていたらリスクが上昇したというのです。上昇してから治療を開始するまでの期間が1.4ヶ月でも2.7ヶ月でも同じだった、つまりたとえ軽症でも躊躇せずに早期からきちんと降圧剤治療を開始すべきである、あとで後悔してももう遅いぞ!という厳しい結果だと読み解きました。クスリは飲むべきか否かが永遠のテーマである高血圧の世界でも、患者さんも医者も両方を悩ませる結果の報告です。わたし的には、手段はともかく、とにかく血圧は早々に下げておくに越したことはない!と思います。わたし自身、もしそうしていたらあの冠動脈の石灰化は起こらなかっただろうなあ、と。

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