エピジェネティックス(前)
『肥満症の改善はなぜ、難しいのか?〜ここまで明らかになった!病態解明と治療の最前線〜』(日本内科学会雑誌4月号)という特集で、興味を引くのは、肥満の原因が単なる生活習慣の乱れや肥満遺伝子、あるいは内分泌疾患以外にもあるということです。
(1)環境因子による遺伝子発現制御機構
(2)腸内細菌叢(フローラ)
(3)生体リズム障害
どれもわたしの大好きな内容なので一度や二度はここで取り上げています。当時の常識からするとエキセントリックで眉唾もの扱いされそうな感じで、そのまま話題にあまり上がらなくなったから抹殺されたのかと思ったら、きちんと検証されて今やその筋では常識になっているようで、嬉しい限りです。(2)(3)はテレビでも話題になってきているので省略します。
(1)は要するに胎児としてお腹の中にいるときのお母さんの生活の仕方(精子のレベルでのお父さんの影響もあるとかないとか)がその子の一生を決めるぞ!という話です。妊婦が飢餓状態だと生まれた子どもの遺伝子に飢餓の記憶を植え付けてエネルギーをためやすいカラダになり、しかもそれが一生続くから、妊娠中のお母さんが炭水化物制限したりダイエットに励みすぎる現代の風潮が危険だと。逆に妊婦が過食だと子どもはやせやすいのかと思いきや、あにはからんやそんなお母さんから生まれた子どもは肥満や糖尿病や脂肪肝になりやすいという動物実験があるそうです。
若いお母さん方にお伝えします。子どもの一生はお腹の中にいるときのお母さんの生き方によって決定づけられるのだそうですよ。
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