« 2015年4月 | トップページ | 2015年6月 »

2015年5月

生き残るか、ロコモ新基準

「ロコモ度テスト」でロコモを判定 運動器の低下に若いうちから対策

日本整形外科学会、めげずに何度もしかけますね。「『メタボ』の次は『ロコモ』!」と鳴り物入りで切り出したのに、ちっとも世間で根づかなかったけれど、めげずに何度もマスコミに殴り込み(笑) わたしも講演の度にコソっと紹介するんですけれど、やはりマスコミがしっかり食いついてくれないとそう上手くはいきますまい。

今回の「ロコモ度テスト」は「ロコトレ」のキャンペーンの継続でしょう。内容がどう変わったとかいうことよりも、何度も話題にしてもらうチャレンジで、いつか認知してもらおうと必死。とっても大事なことを云っているのに、世間ではどこか重篤感がない。「お前ら、ホントに介護うけるぞ!」と若い連中に云っても、鼻で笑われる。・・・いや、それじゃ困るのよ。わたしを養ってくれるのは君たちなのだから(笑)

●立ち上がりテスト
●2ステップテスト
●ロコモ25

ほら、やってみそ。

| | コメント (0)

待ちぼうけ

毎朝7時過ぎに出勤のために家を出ます。家を出て最初の小さな三叉路の角に、いつも小学生の女の子が立っています。ちょっとだけ避けながらわたしの運転する車を眺める目がいつもどこか寂しげ。先日、事情で出るのが10分ほど遅れたとき、いつもの場所に立つ彼女の目線の先に、もうひとりの女の子が小走りにやってきているのが見えました。「そうか、いつもこの子を待っていたのか」と合点がいきました。待ち合わせ時間は7時なのかな。そして彼女の友だちはいつも10分遅れてくるのかな。そんなことを想像しながら仕事に向かったわけですが・・・彼女たちはお互いにいつもどんな思いで待ち合わせし、登校しているのだろう。あれだけ待たされてもいつも待っているから、きっと仲良しなんだろうなと思うのですが、毎朝待っている子の心境と毎朝待たせている子の心境は、どんななんだろうと思ったりします。それは、「死に行く姿を観察したくて」子どものころからの仲良しに毒物を飲ませたり、あるいは刺し殺したりする殺伐とした事件のニュースとどこか重ね合わせてしまう自分があるからです。

わたしはどちらかというといつも「待つ」側の人間でした。相手がいつも遅れるのだからといって、自分も遅れちゃえ!と思ったことはありません。それをしたら、「自分がダメになる」と思う子だったら。かといって「どうせ遅れるんだから、待ち合わせ時間を10分遅くしようか」と提案することもできない子でした。「どうして遅れるんだろう」「いつもいつもなんだから10分早く起きたら良いのに」とかを考えることはあったけれど、大好きな友だちだから、だから許せたのかもしれませんし、毎朝見かける女の子の立場はよくわかります。

どうだろう。彼女たちの関係は10年後、どうなっているのだろう。あんな凄惨な事件を起こす伏線になっていたりすることはないとは思うけれど。

| | コメント (0)

握力と脳卒中

握力が低下すると心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇

握力なんかでそんなことわかるもんか?とお思いの方は少なくないし、「わたしはこどものころから握力は弱かったのだから」と開き直るお方もおりましょうが、体力(全身の筋力)の指標として、握力検査はよく使われます。うちの施設でも、宿泊ドックの受診者さんに体力テストのひとつとして、柔軟力(前屈)や平衡感覚(閉眼片足立ち)検査と併せて握力検査を行っています。

このカナダの研究チームの報告では、「握力が5Kg低下するごとに、何らかの原因による死亡リスクが16%増加することが判明した。握力が低下することで、心血管疾患のリスクは17%、心筋梗塞リスクは7%、脳卒中リスクは9%、それぞれ増加した」とありました。日本でも同様の報告がなされているわけですが、握力が落ちているからと云って握力だけつけようとしてもそう簡単にはつけられませんし、そんな行為はナンセンス。結局は全身トレーニングをしながら全身の筋力アップを図ることが健康体維持のための早道だと云えましょう。筋トレで握力が改善したらリスクが低下するかどうかの研究成果が出てくると、モチベーションにつながるのでしょうが・・・この証明は、なかなか難しそうです。

| | コメント (0)

社長さんたち

あんしん財団の会員さん方を対象に簡単なドック検査と結果説明をするイベントが先週の土曜日にありました。あんしん財団というのは、個人事業主や中小企業で従業員を抱えている社長さん方がケガの補償とか福利厚生サービスとか災害防止サービスとかを受けられるように、自分たちで会費を出し合って運営している仕組みです。

応募者多数の中から選ばれた30名ほどの会員さんにドック検査や運動負荷心電図検査を行いましたが、検査結果を見て愕然としました。悪すぎるのです。かなり進んだままほったらかされている糖尿病とか桁が一桁違う肝機能とか、あるいは今すぐ何かが起きてもおかしくないような負荷心電図検査の異常とか。

何よりもショックだったのは、受診者のほとんどが今回初めて検査を受けるらしいということ。従業員(労働者)に対しては健診を受けさせる義務と異常なら精査や治療を受けさせる義務があるけれど、事業主自身にはそれがありません。労災保険も利きません。経営資金のやりくりに苦慮している中小企業の社長さん方にとって、自分の健康管理に時間と金を使っている余裕はないということなのでしょうか。 今夜突然死するかもしれないみなさんにしっかり脅しをかける話はしてみましたが、危機感を抱いてくれたでしょうか。「背に腹は代えられない」からこそ、突然倒れられては困る社長さん方こそ、是非、健診を。そして、早い時期に通院を!と、思った次第です。

| | コメント (0)

残留PCB

食品中の残留PCBは高血圧リスク

残留有機汚染物質であるPCBは、食べものを通して体内に入ってきて徐々に蓄積します。一時期、光化学スモッグや大気汚染などの公害の原因として毎日のようにニュースに出てきた単語です。その後、含有量の制限が厳しくなって、そのために表には出てこなくなりましたが、現代社会の中で商品を作っていく上では必ず”微量”ながら含まれている物質です。今回、スペイン・ナバーラ大学のCarolina Donat-Vargas氏らがPCBの食品由来摂取量と高血圧発症についての大規模前向きコホート研究の結果を報告したそうです(Hypertension誌2015年4月号)。

ま、CareNetに書かれている内容はとても簡単なもので、PCB摂取量と高血圧発症リスクの間に相関関係(p=0.017)が見られたとだけ書かれています。実は、最後に必ず書かれる「しかしながら、さらなる長期的検討により、本結果を確認する必要がある」に意味があります。産業界や大企業が絡む健康被害の研究は強力な政治的な圧力が必ず介入してきますから半端な結論は出せません。今後、否定されることのない前向きな研究成果が出ることを祈るばかりです。

| | コメント (0)

解説者

大相撲人気がやっと回復してきて、今場所も全日満員御礼記録を継続したと聞きました。喜ばしいことです。最近、たまに帰宅途中のクルマの中で相撲放送を聴くことがあります。その解説者とかあるいは向こう正面のゲストに呼ばれた元関取や若い親方衆のコメントを聴きながら、とても気になっています。アナウンサーが「今のは良く残しましたね」とか「今場所は白星先行で調子が良さそうですね」とか云うと、決まって「いや、まだあれではダメです」とか「今はたまたま勝ってますけど上半身だけで取っているから続かないでしょう」とか、否定するコメントを返すヒトが多いのです。

愚直でマジメで自分にも厳しいヒトが多いから、云っていることは蓋し正論。プロなのだから、ヒトにお金をもらってパフォーマンスを披露する仕事なのだから、生半可な甘い根性でやってはいけない。もっと上を目指して「相撲道」を極めなければならない、という心意気・・・とてもよく分かるのですが、解説やゲストというのはお茶の間の相撲大好きファンに気持ちよく試合を見させるためにあるのだから、もっと前向きな褒めことばがほしいですよね。サッカーやテニスやフィギアスケートには白々しいくらいの褒め倒し解説者がいます。「もっとプロとしての高い水準の解説が欲しい」と云われていた時期もありますが、最近は彼らがもてはやされます。それは、世間がそういうものを求めているのだと思います。勝っても負けても各力士たちの良い面を見つけ出して褒めた上でさらに良くなるポイントを語ってもらえると、ファンでもないわたしたちですら、気持ちよく取り組みを見れるというものです。稽古中に甘いことばは禁句でしょうが、解説するときは観ているヒトを明るくさせる方法を勉強してほしいです。それこそ、解説者というプロの仕事をする以上は、取材だけでなく話術も勉強すべきでしょう(マジメな方にこんなこと云ってごめんなさい)。

| | コメント (0)

交替制勤務の発がん

交替制勤務者では発がんリスクが上昇する

以前にここでも触れた話題に関連する内容ですが、外国のデータではなく日本のデータとしてもきちんとしたEBMがあることをまとめてくれました。第88回日本産業衛生学会(5月13〜16日)の奨励賞受賞記念講演で産業医科大学の久保達彦先生が発表したのは、交替制勤務と前立腺がん発症リスクの関連です。

夜勤や交替制勤務者の乳がん発症リスクが高いことが報告されたのを受けて、同氏は前立腺がん発症リスクと交替制勤務の関係を検討し、2006年に報告しています(日本大規模コホート研究=JACC Study:Am J Epidemiol 2006; 164: 549-555)。日勤者と比較した相対リスクは3倍だそうです。さらに同氏が細かい評価を改めて行ってみましたが、やはり相対リスク1.79倍の結果を得て、2011年に報告しています。「交替制勤務による乳がん・前立腺がんの発生機序は、抗腫瘍作用を持つメラトニンの分泌低下と、それに伴う性ホルモン分泌亢進の影響が考えられている」と書かれていました。つまり、人間は朝起きて夜寝るように作られており、それに逆らう生活を続けると必ず破綻を来すようにできているのだ、と証明したようなものです。

でも、それは分かっているけれど、それでも夜にすべての機能を停止できる社会ではないことも皆が分かっています。「それがわかったからといって、じゃあ自分はどうしたらいいんだよ」と不安に駆られる交替制勤務のヒトは多いことでしょう。不夜城を維持させざるを得ないのであれば、やはりその犠牲になる方々への労働災害保険の手厚い保護は優先してもらいたいと思います。少なくとも、乳がん検診やPSA採血の補助はきちんとしてあげてほしい。

| | コメント (0)

道しるべ

我が家の近くに水前寺江津湖公園というのがあります(最近は、くまモンの地上絵でニュースに出たこともあります)。ここ10年弱の間に急速に整備されて立派な公園になりましたが、わたしがここに済むようになったときには、この場末の公園に行くには小さな迷路のような道路を巡っていかないと辿り着けませんでした。

先日、イヌの散歩をしていたらむかしからある住宅街の中の小さな交差点に『江津湖公園駐車場600m→』という案内板をみつけました。迷い込んだドライバーさんが聞くから地域の人が作ったのかもしれません。思いがけない道標だったので、「へえ、こっちから行くんだ?」とそれに従って歩いてみたのですが、突き当たりは車両通行止めの歩道でした。「あら?」と思いました。たしかによくここでUターンしている車を見かけますが、あれはこういうことだったのですね。実は、突き当たる前に左に曲がる小径があります。ここで左折すると目的の駐車場前に到達できることを知っています。その肝心な曲がり角に何の標識もないから、「そりゃ直進するよな」と苦笑いしましたが、「600m」というのがその地点なのかもしれません。

新宿駅とかの都会の大きな駅で、目的の出口を探してあちこちに掲げられた矢印表示を追いかけていってたら、突然何も表示されなくなって、大人数が縦横無尽に行き交う地下広場で途方に暮れたことはありませんか?「え、どこに行ったらいいの?ここまで引っ張ってきてどうしてこの一番肝心な場所で放り出すのよ~!」と、アタマが真っ白になったりします。ここまで来たら分かるでしょ?という意味でしょうか?「初めて来る田舎モンに、そんなん分かるかー!」と大声を張り上げたくなる瞬間・・・この無責任な道しるべをみながら、ふとそんなことを思い出しました。

もっとも、今時の方々はスマホのナビ機能で探知機よろしくスマホを眺めながら歩いて行くから、わたしのようなお上りさんでも迷子になることはないのでしょうかね。

| | コメント (0)

コミュニケーション下手

先日、皆さんが和気藹々と盛り上がっている昼休みの談話室を通りすがりに覗きながら、自分がコミュニケーション下手な理由がわかった気がしました。わたしは、あの場の中に入っていきたいと思わないのです。人見知りだし、話題を振って場を盛り上げるのは得意ではないし、かといって無言の場はいたたまれなくなるものだから、「食事の時間が一番もったいない」とか理由付けて食べ終わったらすぐにその場を離れます。あんな場で一人静かにスマホいじったり本を読んだりすることもできません。

それがいかんのだろうな、と思います。知らない場所や初めてのお店に行って、すぐに誰にでも声をかけたり質問したりできる人が羨ましいです。そういう人は老後に一人になってもすぐに知人ができるでしょうし、孤独感を感じる機会が少ないだろうな、と。うちは夫婦ともに似たような性格だから、老後が思いやられます。何か良い打開策はないものかしら。

| | コメント (7)

評論家

「評論家」というのは正式な職業として存在するものなのでしょうか? これを生業(なりわい)として、これで生計を立てているヒトもいるのでしょうかね。テレビ番組の中で、「○○評論家」とか「●●研究家」とかいう肩書きがあると、「へえ、そんな職業もあるんだ?」と驚くことは最近は多々あります。

「評論家」というのは、「評して論ずるヒト」ですから、基本的には何かのことに対して「文句は云うけれど、実際にそれを改善させるために働きかけることはしてはならない(それをしたら「評論家」ではなくなる)」というものなのでしょうかしら。「このヒトたちは文句ばかり云って、あまり現実的でない提案はたくさん思いつくようだけど、それ以上のことは何もしないで去って行く、ただの『お騒がせ』だから、ウザイ!」と思ってしまいますが、マスコミも雑誌も当たり前のことを云うような評論家を求めていないようで、ちょっと突飛でも場をざわつかせてくれるような面白い絵を求めるわけで、そのニーズに合わせないとこの世界では生きていけないのかもしれません。これこそ正しい!という持論をどれだけ叫んでいても、公衆の面前に正式に呼ばれて話す立場でない限り、それは「評論家」とは呼ばないのでしょう。彼らもまた、生きてくためには大変なのですね。まあ、それは理解しないわけではないけれど、番組そのものがウザイので、そういう番組はすぐにチャンネルを替えますけど。

| | コメント (0)

40歳では遅いのか!

40歳代の体力低下が20年後の脳の老化を加速 「若い頃から運動を」

今年のAHA(米国心臓学会)でボストン大学が報告した研究らしいです。1970年代にフラミンガム子孫研究に参加した1271人(平均年齢41歳)に20~30年後(平均年齢59歳)の1999年にMRI検査をしたところ、40歳代で受けた運動検査で体力がなかった者(運動時に心拍数や最低血圧がすぐに上昇した者)は有意に大脳萎縮が見られたのだそうです。低負荷のウォーキングで最低血圧が11mmHg上昇し、心拍数が10増えるごとに脳年齢は0.5歳上昇する計算になる、とのこと。

つまりは40歳のときに体力がなかったら脳の老化が加速してしまうから、20代、30代でしっかり体力を作っておかないと惚けるぞ!という警告。これは、使えるEBMかなという気がします。「60歳の時点で体力が低下していて、血圧値と脈拍数が上昇しやすい人は、さらに10年後に認知症を発症しやすい可能性があります。」と警告されていますから、結局一生動くことが大事だと、いうことですね。

| | コメント (0)

適応力

職場に棟が増設されて、更衣室や駐車場なども併せて移動しました。こういうときに必ず出てくる不満は「不便になった」というもの。前回更衣室が移動したときも「動線が長すぎて改悪になった。こんなところで着替えなんかするもんか!」と怒りをぶちまけたスタッフが居りましたが、今回はどうなのでしょう。

不満といえば、コンピュータ制御されている現在の医療現場では、システムが換わったり新しいシステムが加えられたりする度に不満が出ます。「時間節約ができるようにこれを導入したはずなのに、こんな使いにくいシステムなんて不便なだけで意味がない!」・・・開発のために多くの人間が時間を割いて苦労して作り上げたものなのですが、一刀両断で切り捨てるヒトがいます。

こういうときに文句を云う云わないは別にして、いつまでも「こんなの不便だから使わない」「使い方が分からないから触る気はない」と嘯(うそぶ)く人間と、さっさとそのシステムに馴染んでいく人間とに明確に分かれます。どうせそれを使うしかないのですし、導入したと云うことは必ず使いこなせるはずなのですから、さっさと適応した者勝ちだと思うのですが・・・結局取り残されていくのは中堅以上や幹部クラスのアタマの固いヒトたちばかりなのです。「いや、若い連中も『これは使いづらい』って云ってたから」と反論する皆さん、最初のころにそう云っていた若い連中は、もうとっくに使いこなせるようになっていますけど、なにか?

| | コメント (0)

ドレッシング

妻がサラダを作ってくれました。「巷で人気のドレッシングを買ってきたのでかけてみた」と。日ごろわたしがサラダに何もかけないので、気を遣って云ってくれたのかしら。美味しいのかもしれないけれど、正直に云えばわたしには味が濃いかった。せっかくの野菜の味を覆い隠している感じがしました。

キャベツやキュウリなどは味がないか薄いから、ドレッシングで引き立たせると野菜の味も引き立つ、とかいう専門家のコメントをテレビなどで云っているときは聞き流しています。キャベツはね、ずっと噛んでいるととても甘い味が滲み出てくるのに、もったいないな。

十代の女の子に化粧をして、「どう、キレイ?」と云っているのに似ているな、と思いました。キチンと化粧して唇に紅を引いてもらった姿。「キレイ」なのかもしれないけれど、何もつけない素肌の方がはるかに魅力的だとわたしは思う。田舎モンの原石が磨かれて大女優に化ける姿もあるけれど、若くて瑞々しい肌をどうして覆い隠すの? 本当にその装いはあなたの魅力を引き出してくれていると云えるの?と思うてしまう、おじさんです。

| | コメント (0)

母の死に目

今年もこの日が来ました。わたしの大好きだった母の祥月命日です(自分のこのブログを読むたびに涙が溢れます)。

先日、『ALWAYS三丁目の夕日'64』を見ながら、ふと気づいたのです。わたしは父親の死に目に会えませんでしたが、考えてみたら母の死に目にも会っていません。母が亡くなった、という知らせを受けたのは大学の授業中だった気がします。ポリクリにしばらく出れないことを級友に伝えてから特急バスに乗って山越えして帰りました。それで何とか葬儀に間に合いました。その1週間ほど前に最後の付き添いをして病室に泊まったときに覚悟をして帰ったから、死に目に会えないのはしょうがないと突っ張って生きていました。だから、そのことを特別に思ったことは一度もありませんでした。

でも・・・どちらの親の死に際にもそばに居なかったことは、やはり親不孝なことなのだなと、この歳になってふと思った次第です。

| | コメント (0)

ニューデシン

さてさてこの聞き慣れない物質、GW明けの新聞紙面をこっそり賑わわせているみたいですが、ご存じですか。

肥満に関わるタンパク質特定 京大など、薬剤開発に期待>(日本経済新聞)
脂っこい食事続けても太らない? 特定のたんぱく質発見>(朝日新聞)

体内に存在するニューデシンというタンパク質が太りやすさに関わる作用をしていて、遺伝子操作でニューデシンを作れないようにしたマウスの実験で高脂肪食を食わせても太らないことを確認したのだそうです。ニューデシンに脂肪分解を促す交感神経の働きを抑えてエネルギー消費を抑制する作用があるためで、このメカニズムを解明できたら肥満対策の薬剤が開発できるかもしれない、とのことです。

検索すると、「何でも好きなものが食べられる時代が来る!?」とか「太らない薬がもうすぐ開発される!?」とか、早速この内容を紹介するブログも見受けられます。

でも、わたし、なんかしっくり来ないんです。もともとこんなタンパクが存在すること自体、生命維持のために重要だからなわけですから、こういうひとつのタンパクを抑えるクスリの開発とか、そりゃできるのかもしれないけれど、そんなことして大丈夫なのかしら? このマウス実験では、「普通食を食わせたらやせていった」とも書かれています。なんか、間違った(破滅の)方向に向かってないですかねぇ。

| | コメント (0)

「何時間寝ていますか?」

翌日が休みなら、医師もやっぱり寝だめする

いつもはサラッと素通りする記事ですが、何となく目を留めてしまいました。医師3259人に聞く「何時間寝ていますか?」・・・ふーん、平日の睡眠不足を補うために土日に長く寝る「寝だめ」は医者でもやっぱり行われているのですね。「寝だめ」は疲れを回復させず睡眠リズムを乱して結局体内時計を狂わすから勧められない、というのが常識になってきたけれど、わかっていても「朝早く起きなくて良いならもうちょっと寝させて」というのが実情なのですね。

平日はいやいやの早起きだけど、休みの日はやりたいことだらけだから返ってそれ以上の早起き習慣になってしまって10年以上経つわたしにはちょっと理解できません(笑) この結果は分からないわけではないのですが、睡眠の意義の大元は、起床時間ではなくて就寝時間であるはずです。「ゆっくり寝たいと思うからウイークエンドは早めに夕食摂ってさっさと床に就く」というヒトはどうなのだろう?多いのだろうか?という疑念があります。翌朝に早起きしなくていいからこそいつもより遅くまで起きているとか、いつもより多めに酒を飲むとか、そういうヒトが多いのではないかしら?それが遅起きの原因であり睡眠リズムを壊す元凶であるわけですから、睡眠時間の統計よりも就寝時刻の統計結果が知りたかったところです。

| | コメント (0)

今はムリ、ですか

先日、大学時代の先輩と久しぶりに会って酒を飲みました。彼は管理職のしがらみの中で「疲れ果てている」と云い、荒れ果てた生活を吐き捨てるように云いました。

「朝は7時前から出勤して夜は9時10時に帰ってきて、もう後は酒ばっかりや。ビール2缶飲んで焼酎を芋麦米各々2合や」
「そんな酒、おいしくないでしょ?」
「おいしくねえわ。でもな、そうでもせんとストレス発散できんのや」
久々に昭和な言い訳を聞いた気がしました。きっと、酒なんかより他にストレス解消できるものがあるのにもったいない、というのが正直な感想です。

「そんな飲み方しててもストレス発散なんかできてないでしょうに」
「できてねえよ。でもそれしかねえんや。飲まんとおられんのや」
「もともと運動好きなんだから、散歩でもした方がストレス発散できますよ」
「そらあ、今はムリや。さっきも云ったように朝7時前から夜10時まで働きよんのやけん。土曜も日曜もねえんや」
「どうせ誰も付き合ってくれない酒なんだから、そのおいしくない酒の時間に散歩でもしたらどうですか」
「定年退職したらできる。もともと毎日家の周りを走りよったんやけんな。でも、今はムリやな。酒はやめんよ」

飲まんでみたら飲まんでも困らないことはカラダはちゃんと知っているけれどアタマが必死にそれを否定しているのが見て取れましたが、それは禁煙と同じですから、何かのきっかけがないとむずかしい。この日の会話はそのきっかけにはなりきらんだろうなと思いながら、来年再会することを約束して別れました。改札を抜ける彼をみながら、来年、何かが変わっているといいなと思った次第です。・・・まあ、アル中のわたしが云うのもナンですが(笑)

| | コメント (0)

コレステロール制限撤廃の波(後)

(つづき)

一番心配なのは、かつてメタボの腹囲測定論争や高血圧基準の論争がそうであったように、「だから何もかもが信用できないんだよ!」と嘯(うそぶ)いて、今までの努力をすべて反故にするヒトが現れてくることでしょう。彼らは、常にそのタイミングを待っていますから。どうせ自分に返ってくるだけのことだとはいえ、医療者の良識というものがあります。

最後に、講義のスライドを作るために書き写したポイントをメモ書きしておきます。
●肉の脂身や乳製品、卵黄などに含まれるコレステロール/飽和脂肪酸の摂取を減らすことを推奨
●コレステロール摂取のみの制限では改善は期待できない。生活習慣、運動、食事の包括的な修正は必須。コレステロールだけでなく、脂肪酸のバランスにも留意することが大切
●体内のコレステロールのうち、食事由来の割合は20%に過ぎず残りは体内で合成される。コレステロール摂取だけが血清コレステロールを上昇させるわけではない
●食事からのコレステロールの吸収率は、2割~8割と個人差が大きい
●コレステロールは細胞膜やホルモン・胆汁酸の原料となるが、余剰分は身体活動などで燃焼されることなく血中や血管壁などに蓄積し、動脈硬化の進行につながる
●日本人に抗動脈硬化効果が期待される具体的な食事として「伝統的な日本食(The Japan Diet)」を推奨(“和食”ではない:天ぷらやお好み焼きは違う)
●未精製穀類は過剰なコレステロールを体外に排出する水溶性の食物繊維が豊富だから、白米から切り替えるだけで効果がある
●果物は過剰摂取でトリグリセライドが上昇する人がいるので、味を楽しむ程度が望ましい
●脂質異常症あるいは動脈硬化性疾患リスク例の食事療法の重要なポイントとして①肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高トリグリセライド血症の人は摂取カロリーを制限する②高LDLコレステロール血症の人は、より飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に注意する

| | コメント (0)

コレステロール制限撤廃の波(前)

何でもそうですけれど、面白半分(というか読者の気を引く記事を書かねばならない宿命なのか)に駆り立てるマスコミと、何でも扇動したくてたまらない自称”文化人”(これこそ評論家)が騒ぐために、想像していた通り、治療現場の専門医たちが慌てる羽目になります。

コレステロール制限不要? 情報の一人歩きに注意喚起

日本動脈硬化学会が「一連の報道は断片的で誤解を招く部分があった」として記者会見をしたようですが、さてこのGWのまっただ中でどれくらいのヒトがこれについての報道を知っているでしょうか(少なくともわたしは見ていませんが、マスコミはきちんと報道したのかしら?)。簡単に云えば、米国に次いで日本でも発表された「コレステロール摂取制限を設けない」という項目は、あくまでも健常者の心構えであって、今現在LDLコレステロールが高いヒトやメタボ・動脈硬化系疾患の治療をしているヒトには当てはまらないことを留意すべし!と云う内容です。

当たり前と云えば当たり前。きちんとバランス良く摂るべき栄養素なのに妙な健康オタクの理論による”偏食”を牽制する意味合いのある基準です。本当は食べたいのに必死でガマンしている脂質異常や糖尿病の方々が、これ幸いとばかりに堰を切ったようにそればかり食い始めたらどうなるか、自分の身体で人体実験してみても良いとは思いますけれど・・・。それと、ここでも以前に書きましたが、コレステロールの多い食材を摂った摂らないで血中コレステロール値に影響をもたらすのは微々たるもの(もともと食餌から合成されるコレステロールは全体の20%)で、多くは他の食材から体内合成されるのですから、脂質にばかり目を向けてもしょうがない、ということは遠いむかしから分かっていることです。

                                   (つづく)

| | コメント (0)

健康経営・データヘルス

朝のNHKニュースの特集で『データヘルス・健康経営』というのがあっていました。最後まで見たかったのですが仕事のため中途でスイッチを切らざるを得ませんでした。

『健康経営』と聞けば、多くの人は「健全経営(企業が健全な経営をする)」を思い浮かべるでしょうが、そうではありません。

健康経営』というのは、従業員の健康を管理して健康な従業員作りに励むことで結果として企業の経営が発展するという考え方のことです。団塊の世代が高齢者になり、若者の人口が減り、定年が65歳に引き延ばされる中で、企業の保険料に影響を与えるのが医療費。特に生活習慣病の占める割合が年々増えて40歳代から一気に増加する。ということは、企業として20代、30代の若者の健康管理に介入していかないといけないぞ!というわけです。メタボ健診対象になる40歳から慌てたところでもはや遅い、というか、この世代は健康に目を向け始めるものの仕事も一番忙しくて、分かってはいるけれど・・・という世代ですから、もっと前から習慣づけさせるマネージメントに励もう!とのこと。詳しいことを見れなかったのがとても残念ですが、「そうか、そういう時代になって来たのか」と、感動した次第です。

| | コメント (0)

頑固者

近くの公園でイヌの散歩をしていると頑固者のお年寄りに出会います。対向からものすごい勢いで歩いてくるのですが頑なに右端を維持しながら「そこのけそこのけ、ぶつかるぞ!」という形相で向かってきます。こっちはイヌ世界のルールに従ってリードを左手に持っている(上位者が右側)ので自ずと左側通行になることが多くて、たしかにこっちが悪いわけですが、公園内の小径ですから実際は右も左もないようなもの。イヌの散歩をしている者同士は遠くに見えたら何となくお互いに避け合うような不文律のルールができています。そんな中でのこの眉間に皺をよせながら(つまり明らかにこっちを見据えながら)向かってくる老人の姿は端から見てもちょっと異様です。

「何もあんな態度をとらなくてもいいでしょうにねえ」ととなりで妻がぼやきます。
「まあ、あっちの方に優先権はあるからねえ」
「そんなこと云ったって、ただの公園の歩道なんだから、ひとりで歩く側がちょっと避けたら済む話じゃない?なんか”親の敵”みたいに睨みつけられたよ、バカみたい」

妻はかなりアタマに来ているようでした。イヌが偉そうに自分の邪魔をするのが許せないのか、あるいは目上の者(年齢の上の者)を敬うのが当たり前だ!と云いたいのか、単に「右側通行優先」を主張しただけではないだろうな、と思いました。

先日、県道脇の、すれ違うのも大変なほどの小さな歩道を高校生の自転車が2列で勢いよく向かってきました。「え、なんでそのまま来る?」と思ったらムカッときました。「おまえら何様だ!」という思いで睨みつけてやりましたが、結局わたしが避ける羽目に・・・。たしかに、こっちのことなどお構いなしに楽しげに向かってくる集団をみるとアタマに来るバイ!と思ったときに、ふと、くだんの老人のことを思い出した次第です。

| | コメント (0)

酒で赤くなるヒト

「酒に弱い人」は冠攣縮性狭心症のリスクが高い

日本循環器学会(通称「日循」)の演題発表は亡きボスの時代からステイタスシンボルで、毎年休み返上でテーマに向かっての研究をしていたころを思い出します。

熊本機能病院の水野雄二先生が発表したこの内容も、なかなか面白く読ませていただきました。日本人に特に多い冠動脈れん縮性狭心症の研究は熊本大学がいつもリードしてきましたが、意外なところに目をつけたなと思います。

酒を飲んですぐに顔が赤くなる(アルコールフラッシング症候群)ヒトはアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)という物質の活性が低下していて、食道がんになりやすいので内視鏡検査のときに食道の検査をすることが重要、というのは存じていました。日本人の約4割にこのALDH2遺伝子多型がみられるそうです。で、このALDH2遺伝子多型のヒトは冠動脈れん縮性狭心症を起こす確率も有意に高いという結果を報告されました。

「酒を飲んで顔が赤くなるヒトは食道がんだけでなく冠動脈れん縮性狭心症にもなりやすい」という結論です。冠動脈れん縮性狭心症といえば最大の誘因は喫煙ですから、お酒好きであれ雰囲気だけが好きであれ、たばこの煙でもうもうとした中での酒宴は、完全に自殺行為になるようですのでご注意を。

| | コメント (0)

じじばばのタバコ

高齢者の喫煙リスク~50万例でのエビデンス/BMJ

いつものようにわたしの雑学の源=CareNet配信の話題ですがね。喫煙による冠動脈疾患や脳卒中発症リスクについて高齢者に絞って研究した結果がドイツがん研究センターから発表されています(BMJ誌オンライン版2015年4月20日号掲載)。

自分が近づいたからというのもあって、「高齢者=60歳以上」という定義にはちょっとムッとしますが(笑)、そんな高齢者になればなるほど命にかかわる脳血管疾患が起きやすいわけで、「RAP(リスク進展期間=あるリスク因子に曝露した集団において、曝露していない集団と比較し、そのリスク因子に起因するイベント(たとえば疾患の発症や死亡)の発生が早まる期間)は喫煙者が5.50年、元喫煙者は2.16年であり、いずれも心血管死が非喫煙者に比べ有意に早く発生した。また、喫煙者の心血管死のリスクはタバコの消費量が多いほど高く、元喫煙者のリスクは禁煙開始以降の時間が長いほど低かった。」ということに何ら反論はありません。

ただ、むかしから講演会などで質問されるように、「うちのじいちゃんは若いころからヘビースモーカーで大酒飲みだけど80歳になる今でも病気知らずです」というヒトはたくさんいまして、すでに体質も環境も含めて自然淘汰されながら生き延びてきているこんな高齢者さんが、いまから禁煙することに本当に意味があるのか? 「元喫煙者」と一言でくくらず(わたしもここに分類されます)、高齢になってから止めることのメリットをもっと明確に示したデータがほしいものだと思っています。

| | コメント (0)

四つ葉のクローバー

「歩いていたらキラッと光るものが目に入って、それは必ず四つ葉のクローバーなのよ。むかしはすぐに見つけられたのに最近はあまり見つけられなくなったけど、これはわたしが歳を取ったからかな?それとも四つ葉のクローバー自体が減ったのかな」「四つ葉のクローバーは突然変異だから、踏みつぶした跡とかに多いのよね」

公園を散歩していると辺り一面にクローバー(シロツメグサ)が「今が旬!」とばかりに敷き詰められていますが、ここを歩きながら妻が蘊蓄を語ります。先日大量の四つ葉のクローバーを持って帰って押し草のしおりを作っていた彼女(わたしが旅行していたときにイヌの散歩しながらじっくり探し出した模様)が、「職場のスタッフに聞いたんだけどね、四つ葉のクローバーができやすい株というのがあって、その株を引き抜いて持って帰って家に植えたらそこから大量の四つ葉のクローバーが生えてくるんだって」と云います。そしてその翌日、前日に四つ葉のクローバーを大量に見つけ出した場所から本当に一本の株を持ってうれしそうに帰ってきました。

「それってさあ、意味あるの?」・・・わたしは聞いてみました。
「あるよ。だって、苦労して見つけ出さなくてもあたりが四つ葉のクローバーだらけになるんだよ、すばらしいと思わない?」
「いやいや、三つ葉のクローバーの中にたまに四つ葉があるから『幸せの・・・』なんだからさ、四つ葉だらけになったら何もありがたくないんじゃないの?」
「それを云ったら元も子もないでしょ。いいの、わたしは幸せな気持ちになるんだから」

| | コメント (0)

アルツハイマーとメタボ

アルツハイマー型認知症 「メタボ」が発症・進行のリスク

生活習慣改善メルマガの紹介記事から、もう一つ、この記事が目に留まりました。

高齢になったら、「やせろ、やせろ」ではいけない。むしろ高齢になってやせると筋肉も落ちてサルコペニアになるからよろしくない、という常識があります。ところが、「アルツハイマー型認知症の発症にはメタボリックシンドロームが関与」していると書かれています。アルツハイマー型認知症で増加する脳神経破壊物質=『アミロイドβ』・・・異常増大した内臓脂肪から分泌される悪玉のサイトカインの中にこのアミロイドβを凝集させるモノがあり、またアミロイドβを分解して脳神経を保護する作用のあるインスリンは機能が低下するから、内臓脂肪の異常増大が基盤であるメタボリックシンドロームではアミロイドβが増えることになるそうです。

もちろん、動脈硬化に起因する血管性認知症も多いわけだし、動脈硬化がアルツハイマー型の悪化因子なることも明白なのですから、生活習慣の改善は高齢になっても重要であることは間違いないのでしょう。でも最後まで読んでみると、高齢者になってからやせることを求めているのではなく、そんな高齢者にならないように若いうちからきちんと生活管理をしなさい、ということを書いているようです。つまりは、「サルコペニア肥満」の予防と同じことですね。

| | コメント (0)

「ごはん」は主犯じゃない。

米好きの肥満防止法 食物繊維を先に、よく噛んで

MS撲滅委員会の生活習慣改善メールマガジンを通して配信された記事です。白米大好きな”ヤセの大食い”のヒトたちの食べ方から、大好きなコメ飯をガマンしているダイエッターたちがどうやったら太ることを気にせずに思う存分「ごはん」が食えるかの具体的な提言をしている内容です。

たしかに、現代社会では、「ごはん」=「炭水化物」=「肥満」の式を当たり前と思うヒトばかりですが、実際には肥満の原因は「ごはん」の食べ過ぎのみではないことくらい、本当はみんな気付いているはずです。昔ながらの日本食ばかりを食っているヒトに太っているヒトは少ないのです。「ごはん」が大好きなら、いろいろな理屈に右往左往することなくただただ食い倒せばいい。それで太るなら、それは「ごはん」のせいではないのだから、逃避せずに他の犯人をきちんと捜しなさい(というか、捜した上でそこに注意を払いなさい)、ということを書き並べている記事だと思いました。

でも、個人的には、これまでに何度も書いてきたように、「ごはん好き」なヒトほどほとんど噛んでなく、「ごはん」の本当の味なんか知りやしないヒトばかりだと感じています。それも全部含めて「ごはんが好き」なのでしょうけれど、「ごはん」は噛み倒せば噛み倒したほど美味しいのですよ。そしたら、量なんか要らないのですけどね。

とにかく、「ごはん」に悩むのは損です。ココロからそう思います。

| | コメント (0)

どう思う?(後)

(つづき)

特定健診の講演のために作ったスライドですが、これを学会誌から書き写しながら、自分の心境の変化に気付きました。

むかし、『ブレスローの7つの健康習慣』(1.タバコを吸わない、2.定期的に運動する、3.飲酒は適量または飲まない、4.1日7〜8時間の睡眠、5.適正体重を保つ、6.朝食を食べる、7.間食をしない)というのを健康講話のたびに見せながら、「こんなもの、わたしが子どものころには、タバコのことを除けばどれを取っても当たり前でした。だから、いちいち考える必要もありませんでした。ところが今は意識しないとこんな生活が営めない。不便な時代になったものです」と話しておりました。

今、この『動脈硬化性疾患予防のための生活習慣改善』とか『食事』とかを見てわたしが思うのは、「こんな生活をするのはもちろん健康にいいのかもしれないけれど、残された人生を健康のためにばかり費やしていいのだろうか?」ということ。健康のためにはあれを食べるのがいい、あれは食べないほうがいい、これをした方がいい、といったウンチクを並べながら健康オタクになること自体は楽しいし面白いかもしれないけれど、あるいは結果としてこれに合致した生活になったというのならいいけれど、したいことをガマンして健康を考えるのは不健康な生き方なのではないか、総論として『いいこと』でも、各論は必ずしも『いいこと』とは限らず、それがアタマとカラダの両方が求めていないことだとしたら、ちょっと悲しい人生にならないのかしら。

なんてなことを思うわたしって、やっぱり変人ですね。

| | コメント (2)

どう思う?(前)

動脈硬化性疾患予防のための生活習慣改善

1、禁煙し受動喫煙を回避する
2、過食を抑え、標準体重を維持する
3、肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす
4、野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
5、食塩を多く含む食品の摂取を控える
6、アルコールの過剰摂取を控える
7、有酸素運動を毎日30分以上行う
   (動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012  日本動脈硬化学会)

動脈硬化性疾患予防のための食事

1、エネルギー摂取量と身体活動量を考慮して標準体重を維持する
2、脂肪エネルギー比を20〜25%、飽和脂肪酸を4.5%以上7%未満、コレステロール摂取量を200mg/日未満に抑える
3、ω-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
4、炭水化物エネルギー比率を50〜60%とし食物繊維の摂取量を増やす
5、食塩の摂取は6g/日未満を目標にする
6、アルコール摂取を25g/日以下に抑える
        (動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012  日本動脈硬化学会)

                          (つづく)

| | コメント (0)

カリウムの取りすぎ?

82歳の女性。毎年人間ドックを受けに来られるとても元気な女性です。「気候も良くなったのでしばらくやめていた運動も再開したばかりです」と快活に語られました。

「唯一心配なのは、かかりつけの先生に『腎臓が悪いからカリウムを取らないようにしなさい』と云われたことです。わたしは高血圧だからわざと野菜や果物を多めに取るように心がけてお昼には野菜たっぷりの宅配弁当を注文しているくらいなのに、急にカリウムはやめろと云われてとても戸惑っています」と心配そうに質問されました。彼女の血中クレアチン値は0.71(年齢的に当てはまりませんが計算上のeGFRは58.9)、血中カリウム値はまったく正常範囲内です。これは決して腎不全になるような腎臓ではありませんし、むしろこの年齢でこの値はエクセレント!と拍手したいくらいの素晴らしい値です。おそらく主治医は、「腎臓が歳とともに少し弱ってきたので無理にカリウムを取りすぎないようにしてください」と云ったのだと思います。「カリウムは野菜や果物にたくさん入っているから注意してください」と。それを聞いて、「カリウムを取らないようにしなさい。野菜や果物を食べてはダメ!」と云われたと勘違いした、というところでしょうか。

言葉というのはとてもデリケートです。取り違えると真意が伝わらないだけでなくかえって不信感に進展します。「野菜はたくさんとっても全然大丈夫です。ただ、カラダに良いものばかり大量に取っているとただの『偏食』になりますから、何事もほどほどにという意味でしょうね」と答えたら嬉しそうに帰って行かれました。まあ、正直なところ、この先生の助言は明らかに蛇足だと思いますけれど。

| | コメント (0)

一生懸命ということ

やりたい夢に向かって一生懸命生きる人たちを見ていると、素晴らしい!と思います。一度だけの人生なのだから、悔いの残らないように一生懸命生きる。それが人間のあるべき姿だ! 何も考えずに漫然とのほほんとした日々を送るのは堕落した生き方だ。そうあってはならない、常に前に向かって日々精進こそが美徳だ。

そう思って生きてきたのですが、なんか最近、一所懸命に頑張る人たちを見てもあまり憧れなくなりました。素晴らしい! ブラボー! 世界の未来は明るいぞ! と思って拍手しますけど、「それには及ばないながらも自分も少しは頑張らねば!」と自分を奮い立たせるきっかけにはならなくなってきた、と云ったらいいのでしょうか。『人生、日々精進、常に勉強、常に向上心たれ! それが、生まれ落ちた人間の義務である』『人生、そうでなければならない』という思い込みが消えようとしてるのにそれを『堕落』とは感じなくなっている自分。それはいいことなのか悪いことなのかわかりませんが、まあとりあえず自分の感覚に素直に従おうと思います。

| | コメント (0)

話をそらす

「先生、これは酒の飲み過ぎが原因ですか?」
「それは、タバコのせいですよね!」

奥さんが横からそう云う度に、
「体重がなかなか減らんですね〜」
「すい臓がんとかは心配なかですか?」
と、これ見よがしに違う話に持って行こうとするだんなさん。

その、誰でもわかる子どものような誤魔化し方が、微笑ましい限りです。
まあ、その続きは家に帰ってからやってください。
「先生がそう云った」「云わない」でもめるのでしょうね。わたしは一切答えてないのですから、あまりわたしをダシに使わないでくださいね(笑)

「やっぱり焼酎の飲み過ぎはいかんですか、先生?」
「そうでしょうね。『⚪︎⚪︎し過ぎ』の単語にいいものがあるはずはありませんね」
自分のことを自分でいうときは、まず間違いありません。

 

| | コメント (0)

« 2015年4月 | トップページ | 2015年6月 »