コレステロール制限撤廃の波(前)
何でもそうですけれど、面白半分(というか読者の気を引く記事を書かねばならない宿命なのか)に駆り立てるマスコミと、何でも扇動したくてたまらない自称”文化人”(これこそ評論家)が騒ぐために、想像していた通り、治療現場の専門医たちが慌てる羽目になります。
日本動脈硬化学会が「一連の報道は断片的で誤解を招く部分があった」として記者会見をしたようですが、さてこのGWのまっただ中でどれくらいのヒトがこれについての報道を知っているでしょうか(少なくともわたしは見ていませんが、マスコミはきちんと報道したのかしら?)。簡単に云えば、米国に次いで日本でも発表された「コレステロール摂取制限を設けない」という項目は、あくまでも健常者の心構えであって、今現在LDLコレステロールが高いヒトやメタボ・動脈硬化系疾患の治療をしているヒトには当てはまらないことを留意すべし!と云う内容です。
当たり前と云えば当たり前。きちんとバランス良く摂るべき栄養素なのに妙な健康オタクの理論による”偏食”を牽制する意味合いのある基準です。本当は食べたいのに必死でガマンしている脂質異常や糖尿病の方々が、これ幸いとばかりに堰を切ったようにそればかり食い始めたらどうなるか、自分の身体で人体実験してみても良いとは思いますけれど・・・。それと、ここでも以前に書きましたが、コレステロールの多い食材を摂った摂らないで血中コレステロール値に影響をもたらすのは微々たるもの(もともと食餌から合成されるコレステロールは全体の20%)で、多くは他の食材から体内合成されるのですから、脂質にばかり目を向けてもしょうがない、ということは遠いむかしから分かっていることです。
(つづく)
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