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交替制勤務の発がん

交替制勤務者では発がんリスクが上昇する

以前にここでも触れた話題に関連する内容ですが、外国のデータではなく日本のデータとしてもきちんとしたEBMがあることをまとめてくれました。第88回日本産業衛生学会(5月13〜16日)の奨励賞受賞記念講演で産業医科大学の久保達彦先生が発表したのは、交替制勤務と前立腺がん発症リスクの関連です。

夜勤や交替制勤務者の乳がん発症リスクが高いことが報告されたのを受けて、同氏は前立腺がん発症リスクと交替制勤務の関係を検討し、2006年に報告しています(日本大規模コホート研究=JACC Study:Am J Epidemiol 2006; 164: 549-555)。日勤者と比較した相対リスクは3倍だそうです。さらに同氏が細かい評価を改めて行ってみましたが、やはり相対リスク1.79倍の結果を得て、2011年に報告しています。「交替制勤務による乳がん・前立腺がんの発生機序は、抗腫瘍作用を持つメラトニンの分泌低下と、それに伴う性ホルモン分泌亢進の影響が考えられている」と書かれていました。つまり、人間は朝起きて夜寝るように作られており、それに逆らう生活を続けると必ず破綻を来すようにできているのだ、と証明したようなものです。

でも、それは分かっているけれど、それでも夜にすべての機能を停止できる社会ではないことも皆が分かっています。「それがわかったからといって、じゃあ自分はどうしたらいいんだよ」と不安に駆られる交替制勤務のヒトは多いことでしょう。不夜城を維持させざるを得ないのであれば、やはりその犠牲になる方々への労働災害保険の手厚い保護は優先してもらいたいと思います。少なくとも、乳がん検診やPSA採血の補助はきちんとしてあげてほしい。

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