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思いの外、重症だった

健診の運動負荷検査なんて虚血のスクリーニングには無能だ!という批判を受けながら、そして今は循環器内科の外来でも運動負荷心電図検査は積極的に行わない時代でもあります。

その人は、有意な接合部型のST低下を呈しました。たしかに今までの負荷試験は陰性でしたから新たに出現した異常所見ですが、症状もなく、この程度で専門医への精査指示を出すと、『こんな程度で紹介状なんか出しやがって!忙しい外来が一層忙しくなる!』オーラ満載の「異常なし」「所見あるが治療不要、健診で経過観察」という無機質な返信が返ってくるのがほとんどなので、判定に躊躇します。それでも、勇気を持って『要精密検査』指示を出したのは、この人が高血圧症と糖尿病の治療中(決してコントロール不良ではありません)だったから、この人に運動指導をする上での保険がほしかったからというだけでした。

ところが、約一ヶ月後、「ちょっと疲れやすくて心配だ」という理由で外来受診して受けた心臓CT検査の結果は意外なものでした。左主幹部に75〜90%狭窄病変・・・主幹部病変は心臓の栄養血管(冠動脈)の2/3に影響を与えますから、突然死もあり得る重症病変です。彼はその日のうちに緊急入院して緊急で血管形成術(PCI)を受けたようです。

ほら、やっぱり健診の運動負荷検査は重要じゃないですか!といいたいのではありません。この経緯を聞いて、とても怖くなりました。今までは気軽に『要経過観察』判定をしていたこの所見の中にこんな重症な病変が隠れている。でも、この例を経験したからといってもこの程度の所見だけで今後みんな精査指示にするようになるとは思えないのです。毎日似たような所見の人はざらにいる中で、わたしの胸先三寸の判定で違う人生を送ってしまう人がいるかもしれない。そう思うと、悩ましいばかりです。

 

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