甲状腺腫
今年度になって甲状腺ドックの一次読影を担当するようになり、今まで以上にたくさんの甲状腺検査をチェックする機会が増えましたが、甲状腺の異常は意外に多いことに驚かされます。人間ドックの甲状腺検査は、甲状腺が気になって受けるヒトは少なく、レディスドックやがんドックのセット項目だから意志とは関係なく受けているヒトがほとんどなのですが、実は『異常なし』のヒトは半分もいません。
大部分が『腺腫様甲状腺腫』という良性腫瘍で、過形成(結節性過形成)に分類されるものです。のう胞という袋も多くはこれの延長上で、袋の中が水の成分か充実性かの違いですが、がん化したりするものではありません。40〜50歳代に多く、男女比は1:3〜5だそうです。先日行われた勉強会のときの資料によると、「甲状腺の結節(腫瘤)は日本人の約50%にみられるが、そのうち悪性腫瘍は7%以下」だそうです。 悪性腫瘍の大部分は『乳頭がん』といわれるもので次が『濾胞がん』。甲状腺エコー検査で微細な石灰化像や低エコー腫瘤、境目が不明瞭だったり不整だったり、あるいは長径が縦長だったりすると悪性腫瘍の疑いがある、として精密検査を求める紹介状が発行されるはずです。
甲状腺の腫瘍は基本的に側からみたり触ったりしても見つけられず、特別な症状もないので超音波検査でしか確認できません。日ごろ気にもしていないけれども、あまり少なくない頻度でがんが見つかる臓器ですから、男性の方もたまには検診のときにオプション検査を付け加えてみてはいかがでしょうか。
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