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認知症ドックの落とし穴

軽度認知障害(MCI)を見つけ出して早期から管理することで認知症の進行を少しでも遅らせたい・・・そういう発想で、認知症ドックの類があちこちの施設で行われています。実際、脳ドック受診者の半数は自分が認知症になりかけていないかという懸念が受診動機であり、そのニーズに応える内容が既存の脳ドックには備わっていないので、うちの施設でも始めたいという事でワーキングチームができました。それが、今、大きな壁に立ち塞がれて暗礁に乗り上げています。

専門分野の医師からノーを突きつけられているからです。気軽に検査して気軽にMCIだと診断して気軽に専門医を紹介するのはいいけれど、その絶対治らない進行性の病気をその後ずっと診ていくのは自分たちなのだ!というわけです。いろいろな理由を又聞きに聴いている中で、一番納得できたのは、必要に迫られて悩み抜いた挙句に病院受診を決断した患者さん(あるいはその家族)と違って、人間ドック受診者の大部分は『自分は違う』と云ってもらいたくて検査を受けているということです。病院受診者とは覚悟が違うわけです。がんの遺伝子検査やがん検診そのものと同様、受診する目的は『否定』であり、『取り越し苦労だった』と云われて胸を撫で下ろすことです。だから、「あなたは認知症です」「あなたは将来認知症になります」と宣告されたときに狼狽えるのが必至。その後、必ず紹介された医療現場でトラブルのだそうです。本人よりも検査を受けたことすら知らされていなかった家族の方がパニクるのだと。

受診者は、そのドックを受けるにあたって相当の覚悟を持ち、不治の病の宣告を受けても狼狽えない心構えが必要なのだ、とある臨床医が教えてくれました。でも、世間では普通にそんなドックが行われ、むしろ時代を反映してブームにすらなっていますが、そういう施設では、アフターケアをどういう形で行っているのか、この話を聞きながら初めてそんな部分が気になり始めました。

 

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