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過剰診療?(前)

CHOOSING WISELY in JPAN  〜LESS IS MORE

「それ、違うな」って思わず口にしました。

「総合診療系学会のワークショップでエビデンスのない予防医療をやめようとずっと訴えてきました」というある臨床医のことばを読みながら、そう思いました。

なんかね、論点がわたしの感覚と完璧にずれているのです。『人間ドックは病気を作り出している』という感覚は一般市民の誤解だと思っていたら、医者たちがそう思っているのですね。結局は 『予防は早期発見』だという数時代前の感覚をいまだに引きずっているわけでしょう。たしかに、CKD該当者に対して健診の医者が「あなたは人工透析になるから早く専門医を受診しろ」とか云うらしい。そんなことを云われてショックを受けたという受診者に何人も会いました。それを聞いていると健診に携わる医者自体にもまだまだ素人が多いと思う。予防医学は、病気の早期発見などではないのです。そこが医者の中で啓蒙できない限り、前には進めないと痛感しました。

本当はドックや健診はすべきではないけれどしないと病院の収益が低下するからやむを得ないとか、異常を引っ掛けて自分の病院の外来に引っ張って来るとか、そんなビジネス健診をやっている施設が今でもそんなに多いのですか?

ここに書かれているように、その領域の専門医は可能性のある病気を除外するための検査はすべてすべきだと必ず云います。循環器内科医だったわたしも、健診の世界に入った時は心電図の細かい所見にひとつひとつ危険性を感じて精査指示ばかり出していました。それは命に関わる病気で救急外来に担ぎ込まれてきた患者さんばかり見てきたからです。でも、健常者の心電図ばかり見るようになると、その多くは何も起きないに違いないという確信を持つようになります。もちろん、確率論ではないから、一人でも見落としたら意味がないということはわかっています。でも、この程度で自分だったら外来受診するか?と自問自答した時、自分だったら受診しないと思う所見に 『要精査』指示を出すことができなくなります。

これが健診専門医 の判定です。健診や人間ドックに従事するなんてどんな医者でもできる、各臓器のスペシャリストの方がはるかに次元が高いのだ、と思い込んでいる医者が多いからこんな問題が出てくる。診療の片手間で健診業務をやっている連中に何がわかるか?こんな問題は、健診のスペシャリスト=健診専門医にしか解決できません。 健診専門医こそ、もしかすると最強の臨床医かもしれないと思い始めているわたしです。

 

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