血圧管理の喧々囂々?
<降圧目標が変わる! AHA2015でSPRINT試験発表~SBP 120mmHg未満目標群でイベント25%,総死亡27%の減少>
今年のAHA学会でアメリカから報告された研究で、「50歳以上の高リスク高血圧患者9,000例超において,収縮期血圧(SBP)120mmHg未満を目指した厳格降圧群では140mmHg未満を目指した標準降圧群に比べて,心血管イベント25%,総死亡27%の有意なリスク減少が明らかになった」という記事がMedical Tribuneに早速掲載されていました。日本がずっと主張してきた目標値は低すぎるからもっと緩やかで良いのではないかという風潮だった欧米諸国に与えるインパクトは絶大なものがあるでしょう。
もっとも、先日、採血検査の基準値を引き上げる動きを紹介したばかりで、この血圧騒動も結局はまだまだもめることと思います。「降圧薬の追加に懐疑的であった患者に対して,今回のデータは,(服用の)動機付けをもたらした」というコメントが書かれていましたが、これがはたして「くすりを飲み始めると止められなくなるから飲まない」といっている患者さんの説得材料に本当になるのかどうか。いや、その前にそんな都市伝説を研修医のころに指導医に教わってから今でも盲目的に信じている医者たちが、まずこの結果の意味を理解して意識改革する機になるのかどうか。そして、真実が何であれ、理屈でああだこうだと医療界がもめている、その間中板挟みになる患者さんたちがかわいそう。
ウソでも本当でもどっちでもいい。いろいろな病気の患者でもあるわたしが最近痛感するのは、間違っていても社会のすべてが「それが常識!」と考えられた中でクスリを処方されるのと、学問的な賛否両論の中でする側もされる側も半信半疑の気持ちでクスリを処方されるのと、どっちがいいかといえば迷わずわたしは前者を選ぶだろうということです。『確信』は真偽に関わらずココロを落ち着かせることができます。
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