日本人は寄付をしない?
もうひとつ、寄付をすることによる幸福感についての研究成果を教えていただいたのが鈴木智子氏です。この話、その本筋と少し違うのかもしれないけれど、日本人の特性がわかってちょっと面白かったです。
『アメリカ人は日常的に寄付をするが、日本人は大惨事の後に寄付をする』
欧米人は、寄付をすることで幸福感を得、その幸福感によってさらに寄付をしようとする。これを『ポジティブ・ループ』と云うそうですが、これに対して日本人は、寄付をすることによる幸福感はないわけではないが、幸福感を感じているヒトはあまり寄付はしない。寄付で得られる幸福感にしても、女性は寄付した直後に幸福感を感じるが、男性は後になって『寄付したことを思い出す』ことで幸福感を得るのだそうです。
この欧米人と日本人の違いは、必ずしもことの善し悪しではありません。日本人はケチだ!というのではなく、元々の文化の特質の違い。欧米人はポジティブであればあるほど善しと考えるのに対して、日本を始めとするアジア人はポジティブな感情とネガティブな感情のバランスを重んじるので、あまり出過ぎたことを善しとはしない、という。この辺の感じ、なんか分かる気がします。「オレは寄付をしてやったぞ」ということを大ぴらに口にするのは恥ずかしいし、なんかその行為が相手を蔑んで(自分が上から目線で)いるように思われるのではないかと懸念する。自分が幸せだと不幸せの人に申し訳ない気がするから、カゲでこっそり援助したり助け合ったりする・・・「良いことしているのに自慢して何が悪い?」という感覚が当たり前の文化のヒトには到底理解できない『奥ゆかしさ』の文化。もどかしいけど、ぼくは好きです。
Eudaimonicとhedonicについてメモも書き留めておきたかったけど、長くなるのでやめておきます。
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コメント
私もあちこちに寄付をしています。他人に言うことはまずありません。それが自然な行為だからです。息子にはかつて「偽善者」と言われたことがあり、当たらずとも遠からず、と感じたことを思い出しました。
幸福感…ナルホド。上座部仏教では布施をする方が「ありがとうございます」と言うのだそうです。これも少しは分かりますよね。寄付をする方が幸福を受け取るのだと思います。
投稿: くろちゃん | 2015年12月 5日 (土) 07時47分
くろちゃんさんは、欧米人ですね(笑)
わたしは、基本的にはしません。目の前に寄付を求める声があって、そこで「寄付したいな」と思ったら寄付しますけど、「どうしようかな」と思ったらやめます。その基準は何もありません。自分のその時の心の在り様に従っています。変な意地やプライドもありません。「無責任だ!それなら平等に全部すべきでない」と意見されたことがありますが、無視しました。寄付は理屈じゃないのだから。わたしの気持ちなのだから。
投稿: ジャイ | 2015年12月 5日 (土) 19時04分