わたしゃ胃は心配しとらん
「ドックの結果のご説明をしますね」といつものように始めました。「まず、胃カメラの写真をお見せしましょう」と云ったら、そのオジさんは間髪入れずにこう答えました。「わたしゃ胃は心配しとらん。去年、十二指腸のがん治療を受けて、その後に 何回も胃カメラとかCTとかしてもろたけん。『問題なし』と◯◯先生が云ってくれたもんな」
「いやいや、心配してください!」いけずなわたしの天邪鬼魂に火が付きます。それなりにしっかりとした萎縮性胃炎をベースにあちこちで表層性胃炎やびらん性胃炎の所見があります。外来の治療医に云わせればこんなものは取るに足らないものかもしれませんが、胃はかなり健気に頑張っているのですから、もっといたわってあげてほしい。大きな病気、特に悪性腫瘍を経験した方々に共通して云えることは、自分が治療を受けた病気は生死に関わる大変なもので、生活習慣病や良性の炎症とは格が違うのだと思っているのではないか、ということ。医者たちも本人もそれが治った後に心を占めるのは、また他にがんができないかとか再発しないかとかいうことばかりで、糖尿病や高血圧は二の次、萎縮性胃炎やびらん性胃炎に至っては、今そんなことを気にしている場合ではないのだ、と。
大変な時期を乗り切ったのは、自分のココロだけではなくカラダの各臓器も同じこと。胃はいつも強烈な治療の矢面に立って耐えてきた臓器です。優秀な戦士にいたわりのココロをもってあげてほしいと思うております。
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