不整脈の精査とドクター心理
健診の事後フォロー、つまり精査や再検査、あるいは治療などの指示を受けたヒトへの受診勧奨はかなり大変です。とりわけ病院職員の二次精検受診率は極めて低く、中でもナースやドクターといった医療職の受診率の低さは群を抜いています。「医者の不養生ってやつですね」と思うかもしてませんが、そんなものじゃない。たしかに忙しくて外来受診する暇がないというのは嘘ではないかもしれないけれど、基本的に単なる言い訳であり詭弁です。その所見の意味も意義も知っているから、それが本当に受診する必要があるか自己判断するわけです。あるいは、外来で云われることがわかっているから行っても無駄だと思っているわけです。困ったものです。まあプロなのだから自己判断してくれても構わないのだけれど、何らかの返信をしてくれないとそれをフォローしなければならない私たちはたまったものではない。最近は医療機関の精検受診率の低さに労働局もメスを入れ始めましたから、それが追い風になって少しでも受診率が上がるといいのですが。
ただ、たしかにわかります。今年の職員健診でも、心電図検査で不整脈が頻発していて精査指示を受けたヒトが数人います。種類によっては突然死をもたらすこともある危険な不整脈です。毎年指摘されてほったらかしています。その中の一人はマラソンの趣味があることを私は知っています。だから、メディカルチェックとして精査をすべきだと思うのですが、自覚症状がないだけでなく、毎年いくつものマラソン大会を走っても何ともないのです。さて、外来に行って何をする? 心エコー? 負荷心電図検査? 24時間ホルター心電図検査? その結果で、内服治療を要する可能性はほとんどない。そこまで想像できるのに、どうして精査が要るの? 「ほっとても大丈夫だよ」・・・同僚の循環器内科医に相談したらそんな返事をもらうことも想像できます。
そんなことをわかっていながら、それでも私は彼が精査を受けてくれるまではしつこく精検指示を出します。それが仕事ですから。
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