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こっそり

「オレは65歳まで生きたら十分だから、病院なんか行かん。もう電話なんかかけてくるな」・・・精査に行かないまま放置の人間ドック受診者に受診勧奨の電話をかけ続ける保健師さんが、電話口でこう云われたそうです。

先日、そんな受診者さん(62歳男性)の今年の人間ドックの結果説明をしました。「それなら受けなきゃいいのに」と思うかもしれませんが、職場が職員の健康管理のために無理矢理申し込みをする(らしい)のです。今年もたくさんの項目で要精密検査の文字が躍っていました。肺のCT検査ではいつも引っかかる場所とは違うところに怪しい影が複数できていました。頑固な咳が止まらない、と云っています。糖尿病の指標であるHbA1cは11を超えていますし、眼底検査では糖尿病性網膜症らしき出血所見が初めて出現しました。高血圧も年々悪化しています。

どうせ「受診する気はない」と人生を達観しているのだから、わたしはそんな他人の人生観に介入する気はないので、いかにこのまま何事もなくポックリいけるかを考えたときに注意すべき点を中心に説明していましたが、説明しながらふと気づきました。毎年値が悪いから目立たなかったけれど、血糖もコレステロールも肝臓機能も、昨年だけ少しいいのです。「あれ、去年はなんかちょっと良くなってましたよね。今年また悪くなっているけれど、何かが変わりましたか?」と聞くと、「はい。しばらくはちょっと意識して飲む量を減していたけど、去年はまた飲む機会が増えてしまいましたね〜」とちょっと照れ笑いを交えて答えてくれました。

なんだ、一人でこっそり頑張っているんじゃないの。去年は、それなのに「もう病院に行きましたか?」「ほったらかすと危険なんですよ」としつこく追いかけられたから切れてしまったのかもしれません。でも、これが私たちの仕事ですから、しょうがありません。「糖尿病は一筋縄でいきませんし合併症が出ると元に戻れないからチェックすべきところはしておいた方が安心だと思いますが、自分でやってみて、やればよくなるしやらなければ悪くなることは分かったのですから、また生活の仕方を意識してみてはいかがですか」と締めくくりました。

こういう方には、あまり責め立てないで見守りながら後押ししてあげたいものだと思いました。まあ、それでも今年も受診勧奨の追跡をしつこくさせますけどね。

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