判定変更希望
銀行勤めのNさんは、人間ドックの結果説明に必ずわたしを指名します。とても神経質な方で、手に持つ大きな茶封筒にはとても細かい字でぎっしりメモが書かれています。あれ、後で読み取れるのだろうかと心配するくらい。
で、そんな彼が必ずわたしを指名する理由は、わかりやすい説明をしてくれるからではなく、結果判定を変更してくれるからです。「この『要精査』や『要治療』を何とか軽くしてもらえませんか」と必ず云い始めます。「紹介状が出たことがうちの会社の人事に知られると仕事に響くんです。だから、何とかならんですか。必ず病院には行きますから」が口癖です。個人情報保護法のおかげで健診結果を会社関係者が覗き見できなくなって以降、自己申告しなければならないのはわかりますが、それが仕事に影響するなんてことはありません。彼が誤解しているだけでしょう。でも、それが変わるまではしつこく食い下がるのです。生活習慣病や不整脈はいつも苦笑いしながら『経過観察』に変更してあげますが、今年は便鮮血がひっかかったので、「がん統計に関係するので申し訳ないけれど変えられません」と振りきりました。
そんななので、スタッフのみなさんは彼を悪く云います。でも毎回説明しているわたしはよく分かっています。彼は口から出まかせではなくて、きちんと病院で検査を受けて問題ないことを確認していますし、きちんと生活の見直しをして生活習慣病でひっかからないように日々節制しています。毎年、検査値が改善していて、数年前に比べると別人の様です。単なる誤解だとはいえ、異常を指摘されないようにまじめに日々がんばっている結果をみると、こういう誤解も有効なのだなと思います。
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