言い訳の打開
先日受診された妙齢の女性は糖尿病ですが、スーグラと低炭水化物ダイエットのおかげで1年ですっきりしたカラダになりました。本人も満足しています。でも、これじゃダメなのです。この歳で体重減少した理由は筋肉と皮下脂肪。つまり”しぼんだ”ということ。これだと、典型的なサルコペニアになってしまう。でも、彼女は「わたしは膝が悪いから、運動はムリ」と主張するんです。保健師さんもそう云われると取りつく島がない。やせたものだから、もう完全に満足。細かいことは美容整形で、みたいな。
『人間に運動欲はない』中で、どうやったら人間は動くことに目覚めてくれるのでしょう。こんなダイエット事情は、彼女だけでなくもっと若いお嬢さんたちも同様です。彼女たちはできるだけ動かないでスリムになることを考えます。女性にとって皮下脂肪は命と同じくらい大事なものなのにそれを削ることに執心し、やせられるなら筋肉でも惜しむことなく捨て去る覚悟。「そんなことしたら、20年後に大変なことになるよ」と云ったところで若い彼女たちには糠に釘。ただ、彼らにはまだ余裕がありますが、くだんのアラカン女性は数年でダメになります。無くなった筋肉は戻らないのです。だから、何とかしてあげたいのだけれど、この「膝が悪い」はほとんど免罪符扱いなので、いかんともしがたい。
運動という生活習慣病対策の常道は、みなさんが考えているほど大変なものではありません。動けばいいのですから、姿勢を正して腹筋使っているだけでも十分な身体活動。膝を使わなくても何でもできる、というよりも、痛めた膝に無理をさせないようにしながら膝の周りを鍛えてあげないと人生そのものがムダに制限されるようになってしまいます。本当は何でもできたのに、何もしなかったせいでできなくなってしまうのです。ただ、「面倒くさいことはしない」・・・それが人間のサガですから、この言い訳はいかんともしがたい。わたしが教わっている少林拳の師範は「膝が悪くてもいくらでもカラダは鍛えられますから、連れてきてください」と云います。問題は、どうやったら行く気になるか、それだけです。
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