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若年性心筋梗塞

むかしは、三十代の男性が胸痛の訴えで救急外来を受診しても、「どうせ心臓なんか関係ないから慌てなくても大丈夫」とか云って、ヘタをするとペエペエの研修医に診に行かせたりした(というか、わたしは行かされた立場ですが)ものです。ところが、最近は普通に三十代、四十代の心筋梗塞患者がいて、驚きます。若い心臓ドック受診者の心電図を判読していて、「あれっ?」と思いながら「この歳だからな~」と躊躇していたら既往歴に『心筋梗塞』と堂々と書かれていて、「これはやっぱり心筋梗塞の心電図でいいんだね」と納得したパターンなども、本当に最近何度も経験しました。

どうしてこんなに若いヒトの心筋梗塞が増えてしまったのでしょう。「交通事故で亡くなった小学生の司法解剖をしていると、すでに十歳にも満たないこの歳で大動脈に動脈硬化の所見がみつかったりする。日本人の生活習慣病の進行は末恐ろしいものがある」と、何かの講演で聞いたのは10年以上も前のことです。たしかに、日本人の食生活の欧米化は、若いヒトを中心に想像以上に進んでいるとは思いますが、それでも人間の生命維持機構は繊細かつ頑丈ですから、何十年もそんな生活を続けなければ、そう簡単に病気にまでは進展しないものだと高を括っていました。

実は、こういうヒトたちが糖尿病や肥満や脂質異常がひどいのかといえば、必ずしもそうでもありません。血圧も高くないし喫煙もしないのに・・・という若者患者も少なくはないのです。だから、こういうヒトたちに何と云って生活指導をしたらいいのか分からなくなります。よほどのストレスがかかったり脱水の程度がひどかったりしたときに血管が詰まったのでしょうが、これから先の生活でどんなことに注意したらいいのか、はっきりいって、わかりません。わたしが小脳梗塞になったのも四十代前半でした。「もっとのほほーんと過ごしましょ」という助言はできるのかもしれませんが。

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