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わたしの何が悪いんですか?(前)

ずっと糖代謝異常(というよりもすでに完全なる糖尿病)で何年も前から内科受診の指示が出ているのに受診していないアラフィフ男性受診者が、わたしの診察室に連れてこられました。HbA1cが一昨年6.9、昨年7.1でしたが、今年は一気に8.9まで跳ね上がっていましたので、いよいよインスリンが枯渇し始めてきたのではないかと懸念されます。わたしは素直にその旨を説明しました。するとしかめっ面で暗い顔をしていたその男性がやっと重い口を開きました。「わたしはもう1年以上毎日10キロ以上ジョギングしているし、夜は米飯は取らないで野菜をたくさん食べるように注意しているんですよ。わたしの何が悪いんですか?」

「わたしはがんばってないわけじゃない。自分なりにこれだけがんばっている。なのに悪化するのは、わたしのやり方が悪いのか?それともやり方が足りないのか?」・・・こういう思い込みの方はたくさんおられます。間違った情報を流すマスコミも悪いし、きちんと啓蒙啓発してこなかったわたしたちも悪いと思います。

彼らのやっていることに何の問題もないし、これからもしっかりと続けていってほしい、というかそれは基本。ここまでやっているのに血糖値が悪化するのはなぜか? もはやインスリンの反応が生活療法だけでは付いていけなくなっただけ。薬剤系で手助けしてあげないと悪化するレベル。「何が悪いのか? 別に何も悪くないけれど、強いて云うなら『生まれてきた時代が悪い』ということですかね」と、優しくお答えしました。「知人に薦められてサプリを飲み始めたけど、これがいかんかったんじゃないですか?」まだまだ食い下がってこられます。「サプリで悪化したわけではなく、サプリでは効かなかったということですかね。もうやれることはやり尽くしたのだから早めに医療機関でインスリンコントロールをしてもらった方が健康的だと思いますよ。もう早くはないけれど、早く下げないと薬を止められなくなってしまう」と云ったら、「薬は飲み始めたら止められないって本当ですか?」と・・・結局そこに行くのか。うんざりです。

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