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2016年6月

ケトン体

今月初めに横浜で行われた第16回抗加齢医学会総会に参加した内容の整理が遅々として進まず、もう月が変わろうとしています。7月には医局内の勉強会でレクチャーしなければならないのですが・・・。

抗加齢の実践として、生活習慣病予防の概念が年々変わっていっていることをうちのスタッフにも分かってもらいたくて、そのいい機会だと思ってスライドを作っていたらあれこれ欲張りすぎて収拾がつかなくなった、という感じかしら。

生活習慣病の予防といえば「運動」と「食事」。そう思い込んでいる人がパラメディカルだけでなく医者にも多すぎることをここで嘆いたことがあります。「運動」や「食事」は基本中の基本でそれだけではsuccessful agingは実行できない。それを礎に次のステップとして昨年や一昨年のトピックスは「睡眠」と「腸内フローラ」でした。この2つのワードのここ1年のテレビや雑誌の出現頻度は爆発的(特に「腸内フローラ」は毎日聞かない日がないくらいのブーム)でしたが、でもこれももはや当たり前の単語になりました。アンチエイジングのキーワードとして、昨年あたりから「テストステロン(男性ホルモン)」が巷で聞こえ始め、そして今回の学会でわたしの興味を引いたのが「ケトン体」です。とうとう帰りに『体内年齢がよみがえる科学 ケトン体革命-究極のアンチエイジング理論-』(佐藤拓己著、エール出版)を買って読みふけるようになってしまいました。

「ケトン体」・・・これから流行りはじめそうな予感。

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お米と睡眠

2年前の記事が、レビューの形で配信されてきました。

お米を食べるほど良質な睡眠に?

GIの高い食品が良好な睡眠の質に関連するというのは前から云われていたそうですが、それがごはん、パン、麺類で違うのか金沢医大で調べたところ、ごはんだけが良質の睡眠に関連した、というものでした(PLoS One 2014.8.15号)。

実は、この話題、ちゃんとこのブログでも紹介したことがあります。ただ、先日参加した抗加齢医学会総会で『ブドウ糖を控えることがいかにアンチエイジングに良いか』という内容ばかりを聴いてきて、米飯は明らかにアンチエイジングの敵に見えていた矢先だったので改めて目に飛び込んできたのです。わたしは、就寝する直前に血糖値が上がると成長ホルモンが分泌されなくなって睡眠の質が著しく低下するから寝る前に食べてはいけない、とずっと主張してきました。だから、この報告で「ごはんがいい」というのが夕食のことなのか朝食のことなのかとても重要だと思うのですが、そんなことは論じてないようです。

「米には気分を安定させる『セロトニン』や、睡眠ホルモンの『メラトニン』の材料であるトリプトファン(TRP)が含まれていることが知られている。」「TRPが脳に供給されるには『糖質』の伴走が必要なのだ。」という紹介文章(<お米だって、健康にいい!良質な睡眠をサポート>)にも、ちょっと反応・・・『トリプトファン』もアンチエイジングのキーワードみたいです。

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ファーストキャリア

「ファーストキャリアを成功に導く」

ある専門学校のCMを見ていて、このキャッチコピーに目が留まりました。『ファーストキャリア』・・・社会人として第一歩を踏み出した場所は、自分の想像していたものに近かったでしょうか、それとも期待外れだったでしょうか。今年、熊本でファーストキャリアを迎えた皆さんは、とんでもないスタートだったでしょう。わたしの勤務する病院はまだ入職オリエンテーションが終わらないうちに震災で野戦病院化しました。「自分はとんでもないところに来てしまったんじゃないか」と後悔したフレッシャーズも少なくなかったと思います。わたしが産業医をしている企業でも、就職した途端に震災で、かまってもらえないまま大忙しになっていまだに何をしているのかわからないと訴える社員さんもおりました。

そんな中、入職2年目の若いお嬢さんと先日産業医面談をしました。「職場の雰囲気は最悪です」・・・彼女がそう語る部署が彼女のファーストキャリア。「皆さん、とても仕事ができて優秀だけど周りに対する優しさがない。コトバに思いやりがなくて・・・それに付いていけない自分が未熟なのだと分かっている。ずっと優しい恵まれた環境に育ってきたから、自分には免疫がないのだと思う」・・・時折、大粒の涙を流しながら最後まで淡々と語る彼女のキズはかなり深いことが分かります。そこまで客観的に自己分析できるのはアタマが良い証拠。学生時代から優等生だったと思います。ただ、社会人としては、妥協ができないその性格が周りに馴染めない。「考えが甘い」「幼い」などと評価されるのかもしれません。

大企業の最初にたまたま配属された部署・・・それは自分が希望したものではない。最初が違う部署なら違う人生だったかもしれないと考えるとかわいそうな気もしますが、それが”社会人”というものなのかもしれません。

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ヒルクライム

その還暦を超えたばかりの男性は、曇った顔になって、こう質問してきました。

「わたしは今、自転車に凝ってまして『ヒルクライム』というイベントによく参加しているんですが、止めないと危険だということですか?」

ヒルクライムというのは、自転車などでかなりの山道を登っていくタイムレースです。特に最後の最後には立ち漕ぎしながら強烈な無酸素運動で必死に漕いでゴールする、まあその瞬間の達成感を得たくてやっているようなものだ、とわたしの知人が云っていたのを思い出しました。この男性もまたその瞬間に取り憑かれた1人でしょうが、実は今回の人間ドックで冠動脈の石灰化や運動負荷心電図検査での不整脈や軽度高血圧と糖代謝異常などが見つかってしまったわけです。有酸素運動や軽度の筋トレはむしろ有効なのでしょうが、アスリート系の運動は危険だから勧められない、ということになります。

まあそうなんですけどね。「こないだのレースで70歳の人に抜かれて勝ちきらんかったのが悔しかった」と語るその男性を前に、建前論はそこまでにしました。「もう少し軽いレベルに控えてくれ」「ほどほどでやってくれ」などと云ったところで意味はありません。ロードランナーで平地を何十キロも走ることに楽しみを変えることができるのならそれに越したことはないですが、最後の最後の、死にそうになる程頑張るのが楽しくてやっている競技ですから、中途半端にやってもしょうがない。他のスポーツもそうですが、勝ち負けを競ったり自分の記録を更新するためにやるスポーツは、とことんやるか一切やらないかの二者択一のところがあります。「最後は自己責任の話になりますが、せめて周りに多くの人がいるところでやってくださいね」というお返事をしました。それもまた人生かな、と。

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やる気が起きない

大量の雨漏りのために途方にくれた翌日には住宅会社さんの迅速な対応で屋根はすぐに回復したのですが、わたしのココロは思いの外ポッキリと折れてしまっていました。何もかもがどうでもよくなるのです。大震災で全てを失って、『どうでもいい』『やる気が起きない』といっている老若男女をテレビで他人事のように見ていた自分が、ふと気付いたらまったく同じ感覚になってしまっていた、そのことがショックでした。

ずっと続く雨のために日課の散歩にも行けない日が続いても、一向に運動したい衝動が生まれません。毎晩菓子袋を空けた挙句に大量の夕飯を食い、酒を飲みすぎてうたた寝する日々に戻ってしまっても「ま、いいや」と思う。「生活習慣病予防? どうでもいいんじゃないの。生きていく上でそう大したことではない気がする」・・・そんなことを思い始めた矢先のこの事件。「あなた、雨漏りのことまだ引っ張ってるの? わたしはもう吹っ切れたよ。なるようにしかならないんだからしょうがないよ」と云ってのけた妻が少林拳教室に行くのを見送りながら、「これではいかん気がする」と自省したものの、結局外の雨音に怯えながら大酒に浸ってしまって自己嫌悪。

散歩ができないから職場のフィットネスジムに寄って帰ろうと思うのだけれど、いざ帰る時間になると急激に面倒くさくなるわけです。かつて、運動中毒でフィットネスジムに1日一度は寄らないと気持ちが悪かった男と同じ人物とは思えません。それでも、先週は2回、フィットネスジムに寄りました。メチャメチャ面倒くさいのだけれど、ロッカールームに行く階段をもう一階上まで上ればジムがある・・・今の自分をなんとかするためには(それはメタボ予防の意味ではなくメンタルケアの意味で)、無理矢理習慣付けのレールに載せるしかない、と思ったのです。がんばれ、自分。

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記憶作業とウォーキング

おもしろいですね。『記憶作業をした数時間後にウォーキングをすると記憶力が向上する』という研究報告が紹介されました。

ウォーキングで記憶力を高める スマホや外部記憶に頼らない生活も

運動が海馬を刺激して記憶力を高め、老化防止や認知症防止に良いというはなしは知っていましたが、記憶作業をした直後に運動するより、覚えてから数時間後の運動の方が効果がある、というのはなぜかしら? 『運動をするとドーパミンやノルエピネフリンといった、記憶力を高めるのに必要な神経伝達物質の分泌が促進される。記憶作業の直後に運動すると、その心理的効果が脳の記憶力を高める部位の緊張を高め、効果を得にくくなる可能性があるという。』という解説、わかるようでわからん(きっとこの記事を書いた人があまり理解できずに書いているなと感じる解説文)。

ちなみに、運動云々の前に、『記憶作業』というやつをしなくなったわたしたち。電話番号はスマホや携帯が覚え、メモ書きもPCやスマホで、時刻表やスケジュール表など昔だったら必要なところだけ書き写していたものまで今はスマホ写真でそのまま保存。頭なんか使う気ないですもんね。わたしも記憶に自信がないからすぐにメモる(しかも昔は紙に手書きでしたが今はiPadやiphoneのメモ機能に)ようになったのだけれど、これをするとさらに記憶力はなくなっていくことを痛感します。そのメモを眺めながら、こんな事いつ書いたっけ?と思い出せない。こうなるからメモるんだけど、メモるからこうなるようになったとも云えるかもしれません。

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臨時休刊

諸事情により、本日、休刊いたします。

みなさま、佳き週末金曜日をお過ごしください(笑)

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倒置法

最近、倒置法が妙にキライになってきました。小学校の頃、この『倒置法』という手法を知った時には、文字通り天地がひっくり返るほど感動して、得意の作文にも意図的に取り入れました。なんか、同じことを云っているのにすごくドラマチックで、それを使いこなせる自分がまるで小説家にでもなったように感じられたものです。

それが、急に嫌いになってきたのは、そこに打算があるように感じ始めたからだと思います。このブログや依頼を受けたコラムなどにはリズムがいいから使うことはあるのですが、それはその効果を期待しているときだけです。政治家の演説が舞台役者の大仰なセリフみたいな言い回しになっているのを見ると、これは本心じゃないな、群衆向けのパフォーマンスだな、と思うでしょ? あの感じ、好きじゃない。自分が聞いていて感じることは、他人が自分の表現を聞いて感じることとそう大きくは変わらないはずだから、自分が本当に伝えたいこと、ココロから思っていることを伝えたいというときには、素直に真っ当な表現方法を意図的に選びたいと思うようになったということです。

ヒトのココロに感動を与えるための手法は、形ではなく、やはりココロだと思うようになった今日このごろです。

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診察の表情

人間ドックでは、担当分けしながら各医者が毎日30〜40人くらいの受診者さんの内科診察をします。先日、名前を呼んで診察室に入ってくる人が揃いも揃って苦虫を噛み潰したような難しい顔をしている、と感じた日がありました。「どうしたんだろう、何かあったのだろうか? 待ち時間が長いというのだろうか、誰か不愉快な事件でも起こしたのだろうか、アテンダントのお嬢さんの態度が悪いんだろうか、それとも気候や気圧のせいかだろうか?」などと、受診者さんの顔色を見ながらドギマギして診察業務をこなしたことがありました。

業務を終えた後になってふと思ったのですが、あれはわたしのせいだったのではないかしら? わたしが沈んだ疲れた顔で呼び入れていたから。・・・そういえば、日によっては、どうしてみんなそんなにニコニコしているの?と不思議に思う日もあります。日によって、そんなに陽気な人と陰気な人が集中するはずがない。となると、皆さんの表情を作っているのは、みんなに対峙するわたしの影響なのではないか、と考えるのが妥当。蒸し暑い上に、声のトーンも顔のトーンも低いわたしの顔を見るだけで無意識のうちに不愉快そうな無表情が出来上がったのではないかと気づきました。

かといって、意味もなくニヤニヤしてたらそれこそにらみ返されます。もっと、内から醸し出す明るさ・・・そんな『ごきげん』は一朝一夕では出来上がりません。でも、カラダが痛くてもよく眠れなくても地震で自宅が大変でも、仕事中だけは『ごきげん』だらけの表情ができるプロになりたいものだと思います。

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三次喫煙

タバコを取り巻く包囲網はどんどん強固になってきます。ここに来て出てきた単語は『三次喫煙』。「残留タバコ成分による健康被害のことで、タバコ煙が消失した後にも残るタバコ煙による汚染、さらにタバコ煙の残存物質が室内などの化学物質と反応して揮発する発がん性物質による害」・・・「タバコ煙に含まれる物質が、喫煙者の髪の毛・衣類・部屋(車内)のカーテン・ソファなどに付着し揮発したものが汚染源となり、第三者がタバコの有害物質に暴露」(eヘルスネット

自分で吸い込む一次喫煙に対して、受動喫煙の概念は他人の吐く息から出る副流煙による二次喫煙のことだと思ったら、三次喫煙もれっきとした受動喫煙。たしかに、わたしが最近ずっと悩まされるのは禁煙と銘打っているタクシー内の空気の悪さで、産業医業務の行き来にタクシーに乗っている高々15分くらいで異常に気分が悪くなります。そのまま頭痛と吐き気が止まらず夜に就寝するまですっきりしません。禁煙タクシーなのに・・・そう、運転手さんが喫煙者だから。喫煙車の中の空気感とは全然違います。よっぽど、喫煙車の空気の悪さの方が耐えられます。だから、三次喫煙の法的規制、特に公の場での出入り禁止規定の強化を、迅速にお願いしたいと、密かに願っております。

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うつは弱さ?

「ボクの今の状態は、うつだ!」と事あるごとに叫んでみているのですが、「先生に『うつ』なんてコトバ、一番似合わないですよ」とか、「自分で『うつ』とか云っているうちは本当の『うつ』じゃないです」とか、わけのわからんことを云い返されるので、「わかってないなあ。突然休んじゃっても、俺のせいじゃないからな」と内心思っています。

ただ、思うのです。「どうして大したこともしてないのにうつ病なんかになるの? 自分の方が震災以降、公私ともに身を粉にして働いているしヘトヘトだけど、がんばってる。自分の方がうつ病になってもおかしくないくらいだ」と、定刻になったらさっさと帰路につくわたしを見ながら周りの人たちは陰口叩いているに違いないのだ、わたしが医者だから口に出して云わないだけだ、と。そして自分もまた、「うつ病なんかになるのはココロが弱いから」と誤解されたくないから、グチを云いながらも休むことなく働いている。でも、抑うつ状態の程度は決してストレスの強さや長さに比例するわけではないし、ココロの弱さによるものでもないとわかっています。間違っても、「ちょっと調子が悪いけど、こんなことでへこたれてはいかん、がんばれば乗り切れる!」などと思ってはいけないと気を付けてもいます。

自分の感じるままに、日々のワラワラに流されても、自分なら大丈夫。ただ、世間の目(「あの人は意外にココロが弱いヒト」という目)さえ気にしなければ、落ちることなく復活できるはず。なすがママ、キュウリはパパよ、ルンルンルン♪

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心療内科

「『あそこが痛い、ここが痛い』と訴え過ぎたのかしら。かかりつけのお医者様がわたしに心療内科に行くように勧めるの。ショックだったから、『わたしって、おかしい?変になってる?』てあちこちのお友達に電話して聞いてみたんだけど、みんな『そんなことないと思う』って云ってくれるんです」

ある初老の知人女性がそんなことをボヤきました。いつから心療内科と精神神経科が混同されるようになったのでしょうか。たぶん、うつ病やメンタルケアの重要性がクローズアップされて、精神科は敷居が高いが心療内科なら行けそうだみたいなことで市民権を得始めてからおかしくなった気がします。むかし、『心身症』を『神経症』と混同したときのようなものかもしれません。心療内科は、アタマがおかしくなった人が受診するところではありません。うつ病の治療をするところでもありません。心療内科が行うのは心身医学の実践、つまりまさしく『心身症』の治療。『心身症』とは、『身体疾患の中で、その発症や経過に心理的社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態』と定義されています(日本心身医学会1991年)。つまりストレスや睡眠不足などによって胃潰瘍になるとか不整脈が起きるとか、そういうものが心身症であり、自律神経系の不具合の表現として実際に病気が引き起こされているヒトにその原因を取り除いたり軽減させたりして病気を軽減させるのが心療内科です。潰瘍性大腸炎の治療をする病院に心療内科医がいる、というのがどういう意味か考えてもらいたい。

以前、わたしの受け持ち会員の方に毎日精魂詰めて仕事をしておられる方がいて、循環器系の不具合が噴出してきたので心療内科受診を勧めたときにも「わたしの症状は気のせいとかじゃないんだ! わたしをキチガイ扱いするのか!」と烈火のごとく叱られました。心療内科はれっきとした内科学なのですが、なぜかプライドを傷つけられた気がするらしい。『自律神経失調症』などという実態のない病名があるのも物事を複雑にする原因になるのかもしれませんが、今一度原点に戻って、世間の皆さんに心療内科とは何かということを、きちんと認識させたいものだと思います。

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フォース

先日、学生時代の同級生から連絡がきました。「Aくんが悪性腫瘍で余命数ヶ月だと宣告されたらしく、最後に親しかった友人に会いたいということで、地元に戻ってくるらしい」とのこと。

わたしは仕事上、終末期の患者さんに会うことはある意味普通のことですし、それが身内や親しい友人であっても取り乱すことなく別れの会話をすることができます。の進行胃がんが見つかった時にも驚くほど冷静でした。

年齢のせいか、自分の同級生たちの不治の病の知らせは毎年届きます。昔ながらの仲間たち、それは当時それほど親しくなかった連中でも、同じ時を過ごした旧友として時が経てば経つほどかえって結束していきますので、その知らせに驚き、もし会えるなら是非最後に会って元気な姿を目に焼き付けて、そして「最後までいい人生であれ」とエールを送ってあげたいと思ってきました。

なのに、今回はその気持ちになれませんでした。Aくんとは最近も親交があり、彼が闘病生活にあったことは知っています。でも、会いたいと思わなかった。むしろ会いたくないと思った自分にちょっと驚いています。おそらく、今の自分に、彼に 何かを与えるだけの元気がないからだと思います。終末期を迎えたヒトが旧知のヒトたちに会いたいと思うのは、人生の区切りであり思い出なのかもしれないけれど、会いに行く者の使命は当人に何らかのフォースを与えること、生命力というかオーラというか安らぎというか・・・むかし脳腫瘍で亡くなった恩師も「君たちの強い念(フォース)を僕に与えてくれ」と云ってその場に来た全員と硬い握手をされたことをふと思い出しました。でも、今のわたしには他人に与えるフォースがない。下手をすると、かえって弱っている彼から力を吸い取ってしまうかもしれない。そう感じています。

わたしの方がむしろ、かなり弱っているな、と思います。

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心疾患一次予防のスクリーニング

心血管疾患1次予防のためのスクリーニング、効果が高いのは

BMJ誌オンライン版2016年6月8日号に英国・リバプール大学から心血管疾患の発症や心血管死の予防効果が最も高くなるスクリーニング法を検討した結果が報告されていましたが、それによると、「喫煙者や不健康な食事摂取をしている集団に絞ると同時に、最も心血管疾患リスクの高いことで知られる貧困層にのみ実施すること」だそうです。

それはおそらく日本でも同様なのだと推測されます。ただ、最大の問題は、そういうリスクの高い集団は住民健診や特定健診を受けに来ない、ということです。無料だとしても受けないでしょう。お金を出したら少しは来るでしょうか? こちらから出向いて採血や検査をその場でさせてくれ、と押し売り的にアプローチしたら受けてくれるかもしれない(パチンコ屋とかに押しかけて採血した取り組みもあるやと聞いています)けれど、それでもその後、検査異常者を医療機関への受診行動にまで引っ張っていくことができるかどうか。病気は心配だけれどそれのために生活の文句を云われたり医療費を払ってクスリを飲んだりさせられるのは煩わしい、と思う人も少なくないでしょう。

人海戦術で治療を受けさせたり生活指導をしたりせねばならないのか、多数に行動変容させられる集団的なアプローチ法があるのか、そこまでをシュミレーションして費用対効果の判断をしないと、結局は机上の空論に終わりかねません。

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掃除好き

わたしは無類の掃除好きです。時間があれば掃除をしたくなり、どんなにむしゃくしゃしていても掃除をすると気分がすっきりします。

でも、「そうでしょうね。先生は几帳面だから、机の上もいつもきちんと整理整頓されてますもの」と云われると、「それ、ちょっと違う!」と反論したくなります。『掃除好き=几帳面』という発想は、それは掃除嫌いなヒトの考え方です。『几帳面』の意味は、『きちんとしていて、隅々まで規則正しくするさま』『生真面目で神経質で細々したことも完璧にやるさま』です。掃除好きとは全然意味が違う!

『掃除嫌いな几帳面』・・・居るでしょ? ハタから見るとぐちゃぐちゃに散らかっているように見えるけど、「自分の秩序できちんと並べてあるんだから、触るな!」と怒鳴る偏屈小説家さんとか学者さんとか・・・あれは几帳面以外の何物でもないです。あんな偏屈几帳面オトコに憧れないわけじゃないけれど、掃除が好きだからわたしには無理。とにかく、「几帳面だ」と云われるのも、「掃除好き」と思われるのも嬉しいですが、「几帳面だから掃除好きだ」と云われるのは心外です。掃除は単なるわたしの趣味なのですから。

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食が細い

「あの人は食が細いもの、病気にもなるよ。覇気がない!」・・・昔からよく吐き捨てるよう云っていた妻の口癖です。彼女がわたしを気に入ったのも、『何でも美味しそうによく食べるヒトだったから』だとか(笑) 嬉しいことだけれど、好き嫌いは別にして、食事の摂取量とか力強さとかは結局各々のカラダが欲する欲求量(その時の必要十分量)だから、食が細いヒトが『カラダのために』などと一念発起して必死に食ったところで、決して太りませんし、かえってお腹を壊したりするのがオチ。病気でもないのに食べる量が少ないことで悩むことはありますまい。

食べたくもない時に無理して食っても決して身にはなりません。病気をした時や痩せた時には、自分で何とかしたいと焦るのかもしれないけれど、そんな時に余分にカロリーを摂取しても身にならないことは経験でわかるでしょう。病気で点滴を受ける時、脱水で水を意図的に飲む時、そういう時でも同じです。今回の震災後に痩せてしまったからと日頃食わない白米を倍量食って内臓脂肪だけ膨らました老若男女が何人かおりました。日頃食が細いヒトはちょっと食べないと萎み方が目立ちますから気になったのでしょう。でもこれまでにも何度も書いてきましたが、食欲が落ちたわけでもないのに痩せた場合は、それがたとえガンや特殊な病気だったとしても、余分に食うことに意味はありません。今まで通り普通に食っていれば、カラダが必要だと認めた時に増えるでしょうし、必要だと感じなければそのままでしょう。それが『代謝のプラトー状態』なのですから、それで何の問題もない。

だいたいが、「食べなきゃダメよ」とお節介に勧めてくれる連中、決まって食べるの大好き人間で、自分の生き方とみんなは同じだと思っています。「男なら、もっと食べなさいよ、情けない!」なんて云われたら、つい無理してしまいますよね。わたしはそんな自分にも自分の家系にも存在しない『食が細い』という生き方、むしろ憧れなんですけど。

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一番えらいのは、僕

借りていた一軒家が2度の大震災で崩壊して住めなくなった義母はしばらく我が家に同居していました。新居を借り直したのでいろいろ家財や衣類の買い直しをするために私たち夫婦や友人と一緒に買い物に出かけることが何度もありましたが、先日、一緒にデパートに出かけたときのことです。

ふと気づくと、妻と友人が小物売り場でブレスレットか何かを楽しげに見て回っていました。彼女たちは、世の女性たちがそうであるように、そういうウインドーショッピング的なことが好きで、買うわけでもないのに「ねえねえ、これかわいいよね」「こっちの方が良くない?」などと騒いで回ります。

そんな姿をわたしと並んで遠くから眺めていた義母がつぶやきました。「あの人たちはえらいと思う。わたしにはあんなこと絶対できない。わたしは目的のところに行って、目的を済ませたら脇目も振らずにさっさと帰らないと気が済まないの。買うわけでもないのに、あれこれ見て回る時間がもったいないのよ。だからあの人たちと街に出るのは好きじゃない」

確かに。わたしもそのタイプですからその気持ちよく分かります。「でもね、お義母さん、本当に一番えらいのは、僕ですよ。毎回毎回、あんなことやっているのを文句もいわずに終わるまでじっと待っているんだから」「そうよねえ、あんたたちはみんなえらいわあ(笑)」

そう云いながら出口近くの椅子に腰掛けた義母を置いて妻たちのところに行ってみたら、レジでお金を払っています。「え、買うの?」「いいじゃないの、この震災で毎日頑張ったわたしへのご褒美」・・・見ているだけじゃなかったのね。「はいはい、どうぞ」・・・わたしって、ホントにえらい!

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NCD関連疾患てなに?

日本人の死因の約6割を占めるNCD関連疾患、改善のカギは…>という題名でケアネットから配信の記事を読んでみました。

まず、NCDってなんぞや? Google検索するとNCD=National  Clinical Databeseとしか出てこないし・・・この記事の場合はWHOの云うところの「非感染性疾患」(non-communicable diseases)というものらしい。ケアネットによると、「NCDとは、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病を中心とした継続的な治療が必要な慢性疾患の総称である。厚生労働省の調査によれば、近年このNCDに関連した疾患は、日本人の死因の約6割、国民医療費の約3割を占めている」らしいです。

「非感染性疾患」でググるとたくさんヒット。
非感染性疾患(NCD)の予防に向けて行動 WHO世界保健統計~対策をすれば心疾患や脳卒中の80%は予防できる
非感染性疾患 NCDs(Non-Communicable Diseases)

内容は目新しくはないけれど、そしてこういうすぐに略号を使いたがるものは総じて普及しないけれど、わたしたち予防医療従事者は用語くらいは知っておかねばなりますまい。「NCD関連疾患患者に対して必要な施策とは一体何か」「『前向きな治療意識』『疾患コントロール意識』『生活満足度』の3つの意識を高めること」・・・はい、メモメモ。

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新しい恋人

黒のおしゃれなサイフに替えてから1年近くなります。前に使っていたサイフがあまりに汚くてみっともないから替えようよと妻に云われて渋々買いに行ったのです。新しいのはおしゃれだけど、前のに比べて使い勝手が悪い。小銭を入れるとパンパンに膨らんでしまうし、取り出しにくい。カードを数枚並べてもパンパンになる。やっぱり見た目より使い勝手だよねーと買い替えたことをかなり後悔したものです。

でも、今は全然気になりません。以前は持たなかった小さな小銭入れ(何かの付録でもらったけど使わず引き出しの片隅に投げやられていたモノ)を一緒に持つようにしたので、一円玉や五円玉を無駄なく使えるようにもなりました。小銭を入れるべきスペースだと思い込んでいたところにはカードや名刺を入れるとちょうど良い収まり具合。前はなんでもかんでも投げ込んでいましたが、限られたスペースなので小まめに整理して最低限必要なものだけを持ち歩くようにもなりました。今はこのおサイフにして良かったと思っています。

いつも仕事に使っている布製バッグもだいぶボロボロになってきました。そろそろ新しいのに替えたいなと思うのですが、これまたどうしても二の足を踏んでいます。今のバッグがとても気に入っているからです。新しいのにすると、また同じような不満が生じるに決まっています。前のバッグはとても使い勝手がよくて優れものだったのに、新しいのはどうも物足りなくて使いにくい、と。でも、新しくなったらなったで、別れた恋人の思い出に浸る時間は思ったほど長くなく、さっさと新しい恋人の良さを探し出して、「これは宿命的な出会いだ」と肌身離さず持ち歩くに決まっているのですけれど。

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子どもとカフェイン

カフェインは子どものカラダに良い? 悪い?

食後のコーヒーを一時マイブームにしていた妻が、「コーヒー飲むと眠れないどころか動悸を打つので止めた」と突然云い始めました。「へえ、でもチョコレートは食うんだ」とは思っただけで口には出しませんでした。カフェインの効能はいろいろ報告されていますが、わたしはこういうものに反応が鈍く、良いことも悪いこともあまり起きません。

たしかに、「カフェインは刺激物だから大人になって取るもの」という教育をわたしも受けてきましたし、そう信じて来ました。これだけ食文化が変貌し、生活様式が変容した中で、子どもが大人の食べものを普通に口にし(というか、親が頓着することなく食べさせ)ている現在においては、こういう『かつての常識は今でも通用するのか』という分析はとても大切です。

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こんなものにまで

ジャガイモは高血圧のリスク?

ジャガイモは糖質のあるがカリウムも豊富なので高血圧に有利なのか不利なのか?という研究で、アメリカではNo!(高血圧発症リスクである)という結果になったそうです(BMJ誌オンライン版2016年5月17日号)。「米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLea Borgi氏らは、今回、一般的なジャガイモ料理(焼き、ゆで、マッシュポテト)やフライドポテトをよく食べる人は、高血圧の発症リスクが増大するとの研究結果を報告」というもので、「焼き/ゆで/すりつぶしジャガイモを非でんぷん質野菜に置き換えると、高血圧の発症リスクは有意に低下した」ともあります。ただ、これって、結局調理法や量の問題か炭水化物の食べ方の問題(食後高血糖)が大いに絡んでくるので、短絡的に「ジャガイモを食うと高血圧になる」というわけにはいかない様に思うんですよね。

まあ、私の場合、フライドポテトとか食わないけど、ポテトサラダはつい大量に食ってしまうなあ。

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コトバの順番

某セコい都知事のワラワラで、第三者弁護士が調査をした結果とやらの報道が毎日うるさいです。正直云ってどうでもいいことなので、東京都内で審議して結論だけ教えてくれたらそれでいいわ(教えてくれなくてもいいけど)と思っています。

ただ、そんな報道を何となく眺めていたのですが、何度も繰り返される『不適切だが、違法ではない』という言葉遣い・・・気づきましたか? これを、『違法ではないが不適切である』と表現したら、全く同じことなのに、印象が大きく変わってしまうということ。

ある程度マスコミが意図的に情報操作した可能性も無きにしも非ずではありますが、ここに、担当した弁護士さんの依頼者に対する配慮の姿勢がうかがわれます。結局、弁護士さんの云いたかったことは、『違法ではない』ということだったのか、『不適切だった』ということなのか。おそらく、意識するしないに関わらず、依頼者に対しての慮りが入り込んでいます。もし『違法ではないが不適切である』の表現をしたら、弁護士さん方の株も一気に上がったでしょうに。それを後で本人が釈明するときに『不適切だが、違法ではない』の表現に変えればいい(本人は何を云っても悪人だから、自分で背負っておけば済みます)のだから。

日本語って難しい、ではなく、コトバはうまく使ったもの勝ち。そして、世間の大人たちはそんなことくらい重々承知の上で、うまいこと弄(いじ)っているのでしょうね。

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フルネーム

どうでもいいことなんですけどね。ある組織からわたしに依頼されている仕事の担当者が新年度になってまた替わったそうなんですね。担当変更の挨拶に来たいと云われたけれど「わざわざ挨拶に来ていただいても話すこともないから、メールで大丈夫です」と事務方を通して連絡したら、先日メールが届いたんです。で、『この度、担当になりました○○と申します』と苗字だけ書いてあったんです。最後のスタンプも住所や電話番号やメアドの後に『●●課○○』ってあるだけなんですね。

「こいつ、初対面のくせに、フルネームを語る気がない、ってどうよ?」・・・この若干上から目線の若造の態度にちとカチンときてしまいまして。まあ、ここの組織は誰もが名字しか名乗りませんし、公務員でもないのに昔からこういう公務員的なことをしても気に留めてもいないみたいで、仕事の打ち合わせに来て最初から最後までマスクを外さない担当者とそれに何も注意しない上司のいる組織ですから・・・さもありなん。でも、この担当者(噂では多分若い男性)、社会常識として、今後仕事で絡む相手にくらい自分のフルネーム名乗れよな、少なくともオレは、そっちから頼まれて仕事してるんだぞ、と思うわけです。

先日、添付ファイルで返信する時に、『一体、わたしの担当者の下の名前は何と云うんだろうな?』と書き足してやろうかと思ったけど、面倒くさくなってやめました。どうせ、世間の公務員さんと同じで何も響きゃしないんだろうから、云うだけ無駄だわ。関わらないのが一番。と、ここまで書いて読み直したら、公務員の悪口ばかり書いているような錯覚にとらわれましたが、そうではありません。『公務員でもないくせに』です(笑) 公務員は、あの無意味に上から目線で一般庶民にイラっとさせるのも仕事の一部ですもの、仕方ありません。

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酒と肝臓と痛風

ネタがない時の次の頼みは保健指導リソースガイド。ちょっと覗いてみたら、面倒くさいことが書かれていました。

お酒に弱い人は酒を飲まなくても肝障害になりやすい

お酒に強い人は痛風になりやすい

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールを分解する酵素=アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)が少ない人ほどなりやすく、さらに酒も飲まないのにγGTPが高い人ほどNAFLDになりやすい、という研究報告をしたのは熊大と日赤熊本健康管理センターです。日本人の40%がALDH2低活性、10%が無活性というのだから、2人に1人は酒と関係なくNAFLDになるぞ!と警告していることになります。

一方、防衛医大の研究によると、このALDH2は痛風に関連する5つの遺伝因子の1つだそうで、この酵素はアルコールの分解が早い一方で痛風になりやすい要素を持つのだそうです。「酒を飲むと痛風になりやすい」というのは、痛風の原因が酒の飲み過ぎだというだけではなく酒に強い体質は痛風を起こしやすいのだと、そう云うてるわけでしょうか。

わたしは一体どっちなんやろうね~?とか考えながら、お酒に弱くて痛風にもなりやすい踏んだり蹴ったりの人もいれば、お酒に強くて痛風にもならないラッキー(?)な人もいるのだから、彼らにはどんな指導をするのがいいのかしらね?などと、穿った思いに馳せたりします。

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肥満とメタボ予防

ネタ切れ時のケアネット頼み。『肥満とメタボ予防にまつわるレポート5選』という報告から、日本のものだけ引っぱり出して読んでみた。

食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究
「国立国際医療研究センターの長濱 さつ絵氏らは、日本人における食べる速度とメタボリックシンドロームとの関連性を横断的研究で調査した。その結果、食べる速度がメタボリックシンドロームと関連し、この関連は主に、食べる速度による体重の違いで説明される」

中高齢女性のロコモ判定にはウエストが有用
「名古屋大学の村本 明生氏らは住民健診参加者を対象に調査を行い、中高齢女性では中心性肥満とロコモが有意に関連している」

労働者のメタボ予防に効果的なのは
「余暇における身体活動の強度がメタボリックシンドロームに及ぼす影響についての研究」「国立国際医療研究センターの桑原恵介氏らは、日本の労働者において、余暇における運動の強度、および仕事中や通勤時の身体活動によるメタボリックシンドロームリスクを比較した。その結果、高強度のみの運動、または高強度と中強度の運動の組み合わせ、および職場における身体活動への介入が日本の労働者のメタボリックシンドロームの予防に役立つ」

と云うんだけど・・・なんかね、だからなんなの?て感じなんですよね。指導する側のモチベーションを上げる資料にはなるけれど、指導される側のモチベーションがあまり上がるようなビジョンがない感じ。やっぱり、生活習慣病攻略は、むずかしい。

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残念なお嬢さん

「家の診断をしに来てくれたよ。ものすごく丁寧に床下まで入ったりヒビの1つ1つまできちんと確認して1時間くらいしっかり見てくれた。壁のヒビはどれも表面の塗り替えた部分だけの歪みで、構造材の部分には影響が無かったって。壁紙はさすがに20年以上経っているからすでに製品の寿命でそろそろ張り替えの時期かもしれないけど、壁も壁紙も今すぐ急いで手を加えないといけないレベルではないそうよ。あと、床の歪みも確認してくれたけど、経年的な歪みだけで、今回の地震の影響はないみたいです、てさ」

・・・さらに続いた、妻のコトバを忠実に記しておきます。

「その担当の人と一緒に若い女の子が付いて来たんだけどさ、この子がちょっと残念な子でさ。記録をするために来たみたいなんだけど、記録以外な~んにもしないのよ。畳を上げたり壁に近づくのに家具を動かしたりしなきゃいけないでしょ? 家主のわたしがヒイヒイ云って家具を抱えたりするの手伝ってるのに、その子、たーだそこに突っ立ってるの。『おまえ、何様だ?』と思ったよ。そりゃ、その子の仕事じゃないんだろうし手を出して間違いがあったらいけないから別にいいんだけど、私にしてみたら全部合わせて”会社の対応”なわけでしょ。担当の方がすごくきちんとしてただけに、残念な子さ加減が際立ってたなあ」

・・・最近はどこもそんな感じなのかもしれません。でも、妻の最後のコトバは大事なコトバ。うちの職場ではそんなこと云われてないと信じたい。

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飲んでも飲まなくてもいいんだったら

「飲んでも飲まなくてもいいんだったら、飲まなきゃいいのに」と、先日妻に云われました。晩酌の話です。「どうして? 飲んでも飲まなくても大差ないなら、飲んでもいいんじゃないの?」と反論。

「休肝日は作らない主義だから」と豪語したからそういう云い方をされるのかもしれないけれど、酒を飲まない人にとっては『晩酌』というのはよほど一大行事と捉えているのでしょう。あるいは、『酒=毒物』と思っているのでしょうか。他人のイベントが行われるか行われないか、そんなに気になりますか? わたしにしてみれば、飲む飲まないは大した違いではありません。『飲みたいときに飲んで飲みたくなかったら飲まない』、あ、ちょっと違います。『飲みたいときに飲んで、飲みたいと思わないときに飲まない』というのって、普通じゃありませんか? 『今日は、ケーキを食べたい気分、食べたくない気分』とか、自分でも云ってるじゃないですか。

なんか、変な文章になっちまった。

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同世代と比べて

「で、わたしのカラダは、同世代と比べて普通ですか?」

最近、こういう質問をされる人間ドック受診者の方が何人か続きました。こういう聞き方をする人は総じて立派な生活習慣病をお持ちです。それもいくつも。だから、そういうことは承知の上で、「同世代のオヤジと比べてどうなのか?」と確認したいらしい。みんなと同じくらいの悪さなら、まあしょうがないと安心できるのでしょう。「良いか、悪いか?」という聞き方は絶対しない。最悪、「まあまあですね」という範囲の返事をしやすい聞き方をします。

「どうですか? わたしは合格点ですか?」「だいたい歳相応でしょ?」「まあまあということだな」・・・そう云えば、昔からいろいろな表現法で誘導尋問を試みた方はたくさんいましたね。ウソでもいいから「そうですね」と云ってほしいのでしょう。『赤信号、みんなで渡れば怖くない』というむかしのお笑いネタの標語を思い出しました。

「少なくとも普通じゃないです。年齢よりも明らかに歳とっていると思います」・・・表情を壊すこともなくそう答えるわたしに、ちょっと憮然とした表情を返しながら部屋を出て行くアラフィフオヤジやアラフォーオヤジの顔がみな全く一緒でした。ヒトの説明を聞き流しておいて、自分の希望する返事なんかしてやるわけがない。第一、「今日の帰りに心筋梗塞で倒れても別に驚きませんよ」とちゃんと説明したんだから、同世代と同じはずがないじゃないか~!

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フレイル(後)

(つづき)

今年82歳になるわたしの義母は、いたって元気で今でも現役で仕事しながら一人暮らししています。糖尿病と高血圧が出始めた10年ほど前に一念発起して食事と運動で10キロのダイエットに成功し、今も当時の体型を維持しているのが自慢です。ところがそういう生活をしてきたためか、最近は食が妙に細くなりました。娘が作った料理も半分くらいで「もう入らん」と云い始めます。それでもその後のスイカやおまんじゅうといったデザートは別腹の様ですから、無意識に食事制限を続けているのかもしれません。

『食べないことが美徳、生活習慣病になったら将来介護を受けなきゃいけなくなるのだから、摂取カロリーに注意すべきである!』と刷り込まれていたのに、ある年齢から急に『もっと食って太らないと介護受けなきゃいけなくなるかもしれない!』と脅され始める。そんな理不尽なことばかり云っていると何も信用されなくなるぞ!という懸念が出てきても不思議ではないでしょう。目の前のアバウトな概念の受け売りだけでは対処できません。

しかも食べるという行為は、食欲から始まって、噛むという高等技術と飲み込むという高度な機能をクリアさせないとできません。咀嚼機能と嚥下機能・・・「そんなもの、意識しなくてもだれでもできるさ」と思っているのは若いヒトだけではありません。高齢者自身もそう思い込んでいるがために誤嚥するようになるわけです。栄養を摂るということは、とても大変なこと・・・それは当事者も介護者も皆が若いうちから知っておかなければなりますまい。

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フレイル(前)

生活習慣病の管理をしていく上で、最近のトレンドは睡眠と腸内フローラ。ただ、年齢とともに注目すべきはテストステロン(男性ホルモン)とフレイルやサルコペニアです。特に高齢者の人生の質を左右するのは『フレイル』だということを、もう少し強調すべき時期が来ていると痛感します。でも、何のことか知っている人自体どれくらいいるのでしょう?

そもそも、『フレイル』とはなんなのか? 日本老年医学会によると、「老化に伴い、筋力や心身の活力が低下した状態」と定義されているそうですが、じゃあ『サルコペニア』とどう違う? 『ダイナペニア』とは? なかなかきちんと表現できる日本語がない、という学者さん方の気持ちはわからんでもないけれど、それでなくてもロコモティブシンドロームですら定着しないのですから、まちっとわかりやすい用語にしてわかりやすい道標を作ってあげないと、普及は難しいのではないかしら。世がメタボ対策にすべてシフトした結果として、『やせることが善』という風潮をマジメな高齢者ほど意識してしまい、その呪縛から逃れられなくなっているのですから。

低栄養が高齢者の寿命や生活の質を著しく落としてしまいます。食べない→筋力低下→動かない→食欲低下→食べれない→動けない→活動量低下→・・・の負のスパイラルの大元は『食べないこと』なわけだから、高齢者は食べることは仕事だ!治療だ!と云ってはみるものの、当事者にはあまり響きません。 (つづく)

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