一番えらいのは、僕
借りていた一軒家が2度の大震災で崩壊して住めなくなった義母はしばらく我が家に同居していました。新居を借り直したのでいろいろ家財や衣類の買い直しをするために私たち夫婦や友人と一緒に買い物に出かけることが何度もありましたが、先日、一緒にデパートに出かけたときのことです。
ふと気づくと、妻と友人が小物売り場でブレスレットか何かを楽しげに見て回っていました。彼女たちは、世の女性たちがそうであるように、そういうウインドーショッピング的なことが好きで、買うわけでもないのに「ねえねえ、これかわいいよね」「こっちの方が良くない?」などと騒いで回ります。
そんな姿をわたしと並んで遠くから眺めていた義母がつぶやきました。「あの人たちはえらいと思う。わたしにはあんなこと絶対できない。わたしは目的のところに行って、目的を済ませたら脇目も振らずにさっさと帰らないと気が済まないの。買うわけでもないのに、あれこれ見て回る時間がもったいないのよ。だからあの人たちと街に出るのは好きじゃない」
確かに。わたしもそのタイプですからその気持ちよく分かります。「でもね、お義母さん、本当に一番えらいのは、僕ですよ。毎回毎回、あんなことやっているのを文句もいわずに終わるまでじっと待っているんだから」「そうよねえ、あんたたちはみんなえらいわあ(笑)」
そう云いながら出口近くの椅子に腰掛けた義母を置いて妻たちのところに行ってみたら、レジでお金を払っています。「え、買うの?」「いいじゃないの、この震災で毎日頑張ったわたしへのご褒美」・・・見ているだけじゃなかったのね。「はいはい、どうぞ」・・・わたしって、ホントにえらい!
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